あるあさ

急に目の前からいなくなった彼を
わたしは追いかけた。友人を残して。
いちばんのお気に入りの先の尖ったヒールが悲鳴をあげて、わたしは泣きたい気持ちでいっぱいで。
裸足で高速道路の脇道を走って、走って。
もしかしたら身を投げてしまったかもしれない。
願った。叫ぶように名前を呼んだ。
空が青くなる前の白い世界
坂道が永遠に続くようにどこへ走っても君はいなかった。
わたしは自分の弱いところを痛いところを
全部ぐしゃっとまとめてコンビニの5円の袋に突っ込んで高速道路に投げ捨てた。
いつもそう。わたしは痛い時にそうしてる
だから強いのだ。
自分の本音は多分、滅多に開かない
なぜならば開く前に投げ捨てているから。
これがわたしの愚かさ。自分をあたたかく抱きしめることを棄てること。

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