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【作品】心くばられ

【心くばられ】
サイズ:F50号
素材:杉線香

筑波山の麓である茨城県石岡市にあるお線香屋ニックン紫山堂(しざんどう)さんを訪問しました。
伝統技法を基に造られる杉を使った杉線香をはじめ、時代に合わせた様々な香りのお線香は、人々の心を豊かにしています。

▪️線香のうまれ
日光のお線香屋さんに作り方を教わり、線香を作るには水車が必要だったため、川(水舎)のある筑波山の麓でお線香を作り始めたそうです。

乾燥させた杉の葉を水車の力で粉状にする。その粉を練ったものを細い棒状にして作られます。
杉の葉が主流ですが、粉にできればどの針葉樹でもお線香が作れると話されてました。


▪️なぜ杉が使われるのか
お線香の原材料は高級なタブの木が主流(海外の木)ですが、ここでは杉の葉が使われています。
日本にやってきた時、建築等でたくさんの杉が使われており、葉だけ捨てられていました。
使わない部分はもったいないからと
活用したのが杉線香のはじまりです。
線香には100年経った杉が良いといわれています。建築材として使う年代としてもちょうどよい年です。

また、針葉樹は地面にそのままにしていても肥料になるのに時間がかかるため、
杉の葉を使う事は一石二鳥なのです。


杉を御神木として接するなど、自然に人格を認め、関わっている事。
身の周りの素材を、生活を豊かにする道具として活用している事。
その日本人らしさが詰まった杉線香のあり方がとても美しいと感じます。



▪️線香のあり方
線香は私たちとご先祖さまと繋げてくれるものです。
天まで昇った煙は魂となった方々のお食事となります。
お線香をあげるという事は私たちの心くばりを贈るという事なのです。


▪️100年後の未来
100年後、私たちは魂となっています。
地上を見下ろすと、現世を生きる人々からの心くばりがここまで届いています。

歴史や文化を繋げていくこと、良い社会や環境を作れるのは
今を生きている人です。

未来の人に感謝をされる人間として、
今を生きていきたいものです。

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