本を書きたい。からの、光明が見えた話

先日、「本を書きたい。」という記事を書いた。

本を書きたいが、どんな内容の本にするかがさっぱり分からない。……という趣旨の話をした。今思えば、ああだこうだ言うばかりでオチのない話だった。

あの記事を書いたことで「本を書きたい」という気持ちには一応の整理がつき、どんな本にするかなぁ、とやんわり考えるだけになる程度には落ち着いていた。

……の、だが。

不意に、イメージが降ってきた。

「サミダレシズク」(漢字で書くなら「五月雨雫」)という言葉と、表紙のイメージ図。モノクロで、縦書きされた言葉の最後の文字から雫が滴り、波紋を作る図。フォントは割と特殊で、和風イラストに添えられていそうな類のものだ(フォント名は分からない)。

絵心皆無な私にそのイメージ図を再現できるかは甚だ疑問である。そんなに複雑なデザインではないから、もしかしたら何とか作れるかもしれない。もっともそれ以前に、既にどこかにありそうな気もするが。

そんなことを考えていたら、それこそ、ふと、思いついた。

また、SS集作ればいいじゃないか、と。

実は大学時代、所属していた創作系サークルの活動の一環として、同人誌を自作したことがある。詩とSSを収録していた記憶がある。確かA5サイズぐらいの中綴じコピー本で、大学祭で個人制作物として販売したのだ。あいにくタイトルはすっかり忘れてしまったが。

有難いことにそれは大学祭期間中に完売し、生まれて初めて自分が作ったもので売上を得たのである(もっとも制作費と差引すれば利益はないに等しかった気がするが)。

それ以降、私は自らの制作物を売る、という経験はしたことがない。後にも先にもあの一回きりである。いつか同人誌即売会で自分の本を売りたい、なんて思いを抱いたまま、何もしてこなかった。たぶん、それだから今「本を書きたい」なんて思っているのであろう。

ひとくちに本を作るといっても、内容をどうするかというところから考えなければならないのは前回の記事でも語った通りだ。そして私は、メルマガに掲載している思考メモをまとめるか、なんて考えていた。

しかし、そんなにまどろっこしいことを考えるまでもないことに気付いた。

SS集だけは、過去に作り、販売したことがあるわけである。だったら、時を経た今、もう一度そこから始めればよいのではないか。

一度経験がある分、制作のハードルは少しは低いはずだ。既になんとなくのイメージはついているし、何より多くの作品を集めて配列し一冊の本に仕立てるという作業には慣れている。上述の創作系サークルで編集担当だったからだ。それも3年間ぐらいずっと(1年目で味を占めたので続けていた)。

まったく初めての体裁の本を一から拵えるのは、相当ハードルが高い。だったら、既に経験のあるやり方で、最初の一歩を踏み出せばいいのではないか。

……今まで、どうしてこんな単純なことに気付かなかったのだろう。自分でも驚いている。

SS集なら、それこそ同人誌だ。作りたいと思っていたイメージそのものである。しかも、ノウハウは既に身についている。あとは、中身だけだ。

如何せん、SSはまだまだ書けていない。noteに公開しているのもまだ片手で数える程度だ。だからまずは、ブログなどに加え、SSもどんどん書いていく必要があるだろう。ブログなどと同様に、ネタを思いついたら断片だけでもすぐ書き留めるようにしたい(そうすれば後で見ても物語を思い出しやすくなる)。

実を言うと、あの「サミダレシズク」という言葉と表紙イメージから、既にどういうSS集にしていくかというイメージはやんわり湧いてきている。そしてそれは、記憶にあるあの自作同人誌ととてもよく似ている。

やはりもう一度、再現させるべきなのだろう。あの時も、サークル内で既に公開していた作品と書き下ろしの新作とを織り交ぜて制作していた記憶がある。今回も、そういう形で作ってみていいだろう(公開済みの作品ばかりにならないように気をつけなければ)。

これからやるべきことは、何よりも、浮かんだイメージをすぐさま書き留めるようにすることだろう。それこそが、物語の種になるわけだから。

何はともあれ、これである程度、「本を書く」ということへの方向性が定まってきた。ようやく、動き出せるのかもしれない。きっとそれは、喜んでいいことだとは思う。

実現させられるか否かという問題は残るけれども、少なくとも、暗中模索だった道程に一筋の光が差したのは間違いないのだから。


#雑記

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