祭音に佇む、闇深さ。
考えれば考えるほどわからなくなる、それが3景。
初めて拝見する鈴木千里さん、そして3景を見た女子たちが「あれ見て、全オタク女子が恋するやつ」と遺言を残し萌えの墓へすっ飛んでいく姿を見ていたので、自分はどうなるのかと思っていましたが、まぁ闇と沼が深かった。
私は個人的に戦争映画とか好きだったりする。国外問わず結構見ていると思う、今月末も新宿まで戦争ものを見にいく予定にもしている。それを踏まえて語っていこうと思います。
3景は沙羅さん演じる色っぽい愛人がスポットライトで照らされるところから始まります。場内に響く何かを叩く音、本舞台盆がぐるりと回ると独軍服に身を包んだ金髪ボブの男装姿の千里さん。咥えタバコで冷たく愛人の剥き出しのお尻を叩く。愛人もまんざらでもなく微笑んでいる、あやし。
はぁっ?あれなに?!わいは何を見てるの!?
かんっぺきな第二次世界大戦中の独陸軍将校の軍服ですねありがとうございまーーーーす!!!(早口)
愛人はしっかり詰めまでブラウス着込んでるのに、タイトスカートに真っ赤なショーツ、そしてスケスケの黒パンストとか、もうなんなん!?しかも相手役が沙羅さん!?は?いい女すぎるやろ!
2人で踊るフィンガーダンス、千里さんの手首の柔らかさとキレに脱帽。
ここで一点だけ、M1はどちらかというと女性の姿が鮮明で記憶に残りやすかった。将校はどちらかというと姿は見えていてもぼんやりして感情までまるで伝わらない。
閑話休題。
戦時中のプロパカンダ的な意味合いも踏まえて、独軍服はデザイン重視で作られていたため「うわ、かっけぇ、入隊したら俺もあれ着るんだ」と人々に思わせるための服だった。
だから今だに根強い人気を誇っているし、スタイル悪い人も着るとほどほどに、スタイル良い人が着るとえげつなく絵になる。
今回の場合はスタイル良い場合。
金髪、小柄、細身、煙草、碧眼。
萌えしかないよ、オタク窒息して死ぬ。
閑話休題、そんなこんなでステージは続き2人は戦時中にも関わらず、部屋で前から後ろからファックし、口移しでブランデーを楽しみ悪戯に時間を過ごす。
愛人の手の甲にキスをすると彼女は去る、ここからが大切。
1人残った将校は軍帽をすっと取ると髪をぐっと掻き上げる、先程までの色香どこいった?妙に哀愁が漂う、移動盆に乗りながら洋服を脱ぎ去っていく。
ここで刮目したいのは
軍服を、しっかりきっちり身につけていること!!!!
意外と分かりにくいかもしれないが、ストリップの洋服のイメージとして脱ぎやすい、取りやすいイメージがあるのですが、このM2ではたっぷりと脱ぐ箇所として時間が演出として取られているので、コート、真っ赤なロンググローブ、ロングブーツ、詰襟シャツ(首元、手首まできっちり。ポイント分かってる)サスペンダー、乗馬ズボンまで丁寧にじっくり脱ぎ捨てる。すると現れたのはボンデージ、まるで身体を縛り付けているかの様な、結構えぐめの首輪がついた衣装(?)
クールで冷たいSっ気が見た将校からはまるで想像がつかない姿に唖然。
すると引き出しから黒いロングドレスを取り出すと身に纏い盆へ。
今回、楽曲は全て同じアーティストで縛り。ドイツ語のごりごりロック。これが非常によかった。
M3では一見美しい楽曲をゆったりとした動きで魅せる。ドレスはすぐに脱ぎ捨てる。何かを求める様に、渇きを訴える様に。
M4では一気にパンクな楽曲に合わせて、キレ良くポーズを次々と決める。女性らしさというよりナイフの様な鋭さ、性別ではない「何か」。
立ち上がりではふっと一瞬だけ微笑み、本舞台へ戻っていく。唯一見せる感情。
何かを訴えるわけでも、伝えたいわけではない。
まるで思い出を拾う様に、綴る様に、過ぎていく時間。
そこで私は1つの考察に辿り着きました。
ここから個人的感想になります。
それが
軍人将校=既に戦争であっさりと死んだ
1景の愛人と踊る金髪将校は同一人物で、今は首輪をつけ亡き美しい軍人の男を追い彼そっくりに化ける女(だが心は既に将校になりきっている)
です。
ここでM1から再び辿りたいと思います。
はじめにスポットライトに映されたのは女、対して男は女に移し煙草をし(沙羅さんのタバコを手にする姿カッコよかった)酒を口移しし、女の下着を広げ、身勝手に身体を弄ぶ。
だけど男性が洋服を脱ぐことは一切せずどちらかというと女性主体でした。
M2で女性が退場してからは、戦果に沸いた時は目一杯栄華を楽しみかつて「彼の女」だった彼女は、彼がいなくなること、戦争に負けることに現実逃避し、彼の所有物だとボンテージを着込み軍服をきっちり着込み、彼の匂いを追い続けている。M3ではゆったりと盆を漂う様に、まるで繰り返しの日々。希望を見つけようとするも見つけることはできない。M4では何百回目の目覚めたいという気持ちはあるものの、結局現実を見つめることを拒否して物語はM1へ...。
彼はもう存在せず、洋服を脱ぎ捨てても映るのは自分だけ。
心まで彼になりきり「自分」を捨て、毎日「彼」に弄ばれ、弄び、狂った毎日を過ごす。
第二次世界大戦後、数々の戦争犯罪で問われた独はその後、敗戦国として国民は記録に残っていないこともあり、戦後直後は何があったかは詳しくは残されていません。だからきっと「彼女」にも何かあったのかもしれません。
しかし現実は甘くなく、狂った彼女は病院に幽閉されているか、家族が危機を感じて部屋に閉じ込めているか、自分で閉じこもっているかも。
外からは大砲の音が絶えず聞こえてくる、彼女の戦争はずっと終わらない。
例えばオルゴールの様に「繰り返しの物語」
エンドレスエイト。嗚呼、気づいても、あとの祭り。
以上が、私の勝手な見解です。特に3景は色々な人の意見や考察があるのでぜひお読みくださいね、楽しいぞぅ。
うまく伝わればいいのですが。とにかくめっちゃいい軍服見れましたわ、死ぬ。
一瞬、3景と7景が同じ世界線ならどうしようとか思いましたがやめました。
地獄だわ、それ。
とにもかくにも3景は突き刺さる人にはぐっさり逝くので、軍服、男装、病みとか好きな方なら見ることをお勧めします。萌えの墓に飛びたくなります。
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