うたかたの夢

20代後半の時 すらりとしたスタイルで どこか陰を持った同い年の彼と知り合ったのでした。


そこは地元のゲイの人が集まることで知られる公園で 彼がノンケ(※恋愛対象が女性の男性)なのか ゲイなのか バイなのかは分からなかったのですが 何ともいえない魅力がありました。


車から降りてきて 公園の生い茂る草木のある石段に腰かけてタバコを吸いはじめた彼に 思い切って声をかけてみたのです。


一瞬戸惑った表情を見せながらも


「よく来るんすか?」


と私に尋ね お互いにぎこちないながらも会話を進めて行ったのでした。


時どき仕事帰りに公園に立ち寄り しばしの息抜きをしているのだとか。


ある程度に会話が弾んできたところで 夜が明ける前にお開きにしようと(本当はもっと一緒にいたかったけど・・)握手を交わしたその時


「んっ? 結構白いよね?」


と私の手を見て 驚いた様に彼がいったのです。


私の肌の白さに反応する彼が何とも可愛らしく お互いに顔を見合わせ笑顔でその場を後にしました。


それからというものは 彼のことが忘れられず その後に何度も公園に足を運んだのですが 残念ながら彼の姿はありませんでした・・。


それから3ヶ月以上経ったある日 外出先から真っ直ぐに家には戻らず その公園に立ち寄った時のことです。


なんと 駐車場に彼の車が停めてあるではないですか!


その車は特徴的な色合いのステーションワゴンだったので すぐにわかりました。


彼がこの公園のどこかにいる!!


そう思った私は 広い公園内を捜して歩きました。


その公園は(敷地内にある)児童遊園地に抜けていく地下道などが複雑に入り組んでいるため 容易にはみつかりません。


しばらく捜し続けて諦めかけたその時 スラリとした若い男性のシルエットを発見!


ついに彼を見つけたのです!!


ちょうど地下道へと続く階段を彼が降りようとしているところだったので 少し離れた場所からそれを見つけた喜びから 思わず駆け出してしまった私・・。


ところが 追いかける不審人物?(私)に気づいた彼は 一目散に走りだしてしまったのです。


やっとの思いで見つけた彼を必死に追いかけ 閉園後の無人の児童遊園地までたどり着いたとき 彼の足は止まりました。


彼は無言のまま立ち尽くしていたので


「久しぶり・・」


と私が声をかけると 一瞬驚いたような表情を見せた後 安心したように


「なんだ 君だったんだ」


と ほっとした笑顔を見せてくれたのです。


彼曰く 完全に私を見知らぬ不審者だと思い 「ヤバイ・・」と思って逃げてしまったのだとか。笑


確かに 夜の公園で自分に目がけて駆け出してくる人を怪しいと思うのは当然ですよね。爆


遊園地内のベンチにお互い腰かけ 他愛も無い話をしているうちに うっすらと夜が明けてきました。


前回と同様にスマートにその場を後にしようと思っていたのですが 今回久しぶりに会えたことが本当に嬉しくて その思いを彼に明かし 私の方から軽くハグをしたのです。


すると 意外にも彼の方からも力強いハグで返してくれ とても驚きました。


その時の彼の表情が まさに真剣そのものだったから。


私は 彼がノンケであろうとなかろうと 既にどうでもよくなっていたのです。


純粋に再会できた喜びのほうが大きかったので。


こんな恋する乙女みたいな自分が 恥ずかしくもあり 愛おしくもあり。


今回の彼との会話のなかで いつ頃にどんな時間帯に公園に訪れているのか聞き出していましたので その後に再び会うことが出来ました。


そのお話は次回にでも☆






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