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今はアーカイブで「おうちで美星天文台」

「美星天文台技師の中内です。この動画は職員3名で回していくわけですが、勤務の関係で、ようやくマイクの前に来ました。第一回は晴れたものの、あとは曇に覆われることも、そして第四回、とうとう雨。お手上げです。こういったときは“普段の行いが悪いから”だとか“だれそれが雨女、雨男・・・”なんて、何が悪かったのかと思ってしまいがちですが。こればっかりは不可抗力、ご勘弁願います。ドームの中で放送を続けます。」ウイットに富んだ導入。美星天文台お馴染みの中内技師が、穏やかな低音美声で美星トークを展開した。

岡山県南西・井原市“美しい星の町”美星町の美星天文台が実施した、youtubeチャンネルによる週末の星空案内「おうちで美星天文台」。コロナによる臨時休館中も美星から星空を楽しんでもらおうと職員たちが企画。実際に望遠鏡を動かしながら、1時間の生解説。晴れた日は月や星など夜空の旅を。天体、星団、惑星、ブラックホールなど、地球の向こうを易しく語る。
先日緊急事態宣言解除を受け、天文台は再オープン。動画配信は突然のフィナーレを迎えた。振り返れば、見事に晴れた第1回以外、雲に覆われたり、雨が降ったりした。それでも個性豊かな職員たちは、止まらないお喋りで視聴者を楽しませた。5月9日、雨降る夜、中内技師は施設や町を詳しく解説。

「101センチ望遠鏡について、これまでの配信で、そのスケールが分からないので人が一緒に映っていれば良いのでは?とのご意見が。ちなみに送り主は常連さんなのですが。セルフタイマーで写真を撮ってみました。望遠鏡の上の方は少しはみ出ていますが。ちなみに私は日本人の平均身長よりちょっと低めです。このへんを考慮してみてください。」視聴者からのご意見にも丁寧に対応、身長は公表しない主義。
「美星天文台から5キロ。海上保安庁が、以前、海図や航海歴など、様々なデータを作るために天体観測していた施設があります。そのうちのひとつ、美星水路観測所です。ここでも長年観測をしていましたが、GPSなどが発達し、天体観測の必要性が小さくなり、何年か前に水路観測所は閉鎖。今はそれを井原市が借り受けて星空公園に。美星天文台がここを管理していて、中にまだまだ現役の望遠鏡があります。」多岐に渡る業務や、美星の星をめぐる歴史、役割の幅広さを伝えた。

ゆるやかな口調で、手書きイラストで解説したり、アプリで宇宙旅行へ、アナログアイテムから最新技術まで扱った伊藤技師。時には研究者の立場で感じる天の川のポジションなど、“ここだけの話”も織り交ぜた。
歯切れの良い快活な語り口、晴れた日の美しい星空写真を扱った前野技師。子どもにもわかりやすい言葉で、光の強弱や速さ、見え方を丁寧に説明。最終回は流石「光害防止条例」で締めくくった。

天体や宇宙の魅力はもちろん、美星への思いをたっぷりに発信した、個性豊かな3人の職員。曇りでも雨でも、自粛生活に晴れやかなひと時をくれた。施設を支える人びとの魅力も注目どころ、幻の全6回。今はアーカイブで視聴できる。


(美星天文台は今後、感染症対策を施しながら運営。当面は休校中の学生などを除く岡山県民が利用できる。5月20日現在。https://www.bao.city.ibara.okayama.jp/)

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