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武蔵村山市議会 一般質問【特別支援教育について】

障害者権利条約の理念を踏まえ、国連の掲げる「共生社会の実現」を目標とし、障害がある人もない人も同じように社会で活躍できるようにしていくためには、世界中の誰もが共通のビジョンを持つ事が重要であり、国、東京都、武蔵村山市も、子供たち一人一人の幸せな未来のために、目標に向け一体となり特別支援教育を様々な角度がら支える必要があると考えます。

「文部科学省 障害者活躍推進プラン」の6つの政策プランの一つに「発達障害等のある子供達の学びを支える共生に向けた学びの質の向上プラン」が示され、具体的な方策として「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」が作成されました。また、学習指導要領の改訂では、インクルーシブ教育システムの構築、子供の障害の重度・重複化、多様化、社会の急速な変化と卒業後を見据えた教育課程のあり方などに対応しています。

武蔵村山市では、令和3年を初年度とする「第五次 武蔵村山市特別支援教育推進計画」が策定され、特別な支援が必要な児童・生徒が、一人一人に合った支援を受け、障害の有無に関係なく共に学べる教育体制が整備されていきます。そうしたことから、武蔵村山市の特別支援教育について伺います。

【教育長答弁】
現在の特別支援教育の動向といたしまして、国では、平成24年7月に「共生社会」の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のため、特別支援教育の推進が示され、平成28年4月には、「障害を理由とする差別の解消に関する法律」が施行され、公立の学校において「合理的配慮」の提供が義務付けられました。
東京都では、平成28年度以降、通常学級に在籍する発達障害の児童・生徒の支援の充実に向け、全ての公立小・中学校に特別支援教室を設置するとともに、平成29年度には東京都特別支援教育推進計画を策定し、共生社会的の実現に向けた特別支援教育を推進しております。
本市におきましては、特別支援学級の児童・生徒や通常の学級に在籍する発達等に課題がある児童・生徒への指導、支援の充実に向け、国や東京都の推進状況を踏まえ、令和3年度より第五次武蔵村山市特別支援教育推進計画に基づき、児童・生徒の能力を最大限に伸長し、社会的自立に向けた力を培う、特別支援教育の推進に取り組んでおります。


【再質問】

(清水彩子)
①幼稚園等から、小学校、小学校から中学校、中学校から高校について、どのように連続性を重視した対応をしていますか。

(教育部長)
児童・生徒の自立や社会参加に向け、連続性を重視した切れ目のない指導、支援に取り組んでいくことは大切なことであると考えております。
本市の幼稚園や保育園と小学校の接続では、「就学支援シート」や「むさしむらやまマイファイル」を活用したり、幼稚園や保育園の職員と小学校教員の情報交換に取り組んだりしております。
小学校から中学校の接続では、「学校生活支援シート」や「個別指導計画」「むさしむらやまマイファイル」の活用や小中学校の教員同士の情報交換に取り組んでおります。
中学校から高校の接続では、「学校生活支援シート」や「個別指導計画」「むさしむらやまマイファイル」の活用や中学校と特別支援学校教員の情報交換に取り組んでおります。

(清水彩子)
②そのように連続性を重視した対応がされているということでわかりました。
「むさしむらやまマイファイル」は、障害福祉課の窓口でいただけるようですが、学校では保護者に「むさしむらやまマイファイル」の活用の案内はどのようにされているのでしょうか。

(教育部長)
武蔵村山市就学支援員会での判定又は転入により、都立特別支援学校、市内特別支援学級へ就学、転学した児童・生徒を対象に、「むさしむらやまマイファイル」を活用していただくよう、学校経由で保護者への案内、配布をしております。

(清水彩子)
③教育委員会では、そのように対応していただいているということでわかりました。障害福祉課が教育委員会とも連携している「むさしむらやまマイファイル」ですが、いただいたファイルの通りに使わなくてはならないというよりも、各機関、事業所、個人が原本を基にして自分達で使いやすい形にアレンジしていってもいいと思います。

「むさしむらやまマイファイル」の活用により、早期から成人に至るまでの一貫した指導・支援ができ、子どもの成長記録や指導内容等に関する情報が共有できることは、保護者への支援として、説明の負担の軽減が図れます。

より普及するには、会議等で進捗状況をチェックし、啓発活動を行ったりしながら、定着するまでフォローをし続けるよう、PDCAサイクルを回し続けるといいのではと思います。使い方により、ライフステージが変わる時に、「むさしむらやまマイファイル」がこれまでの記録として役に立つと思いますので、担当である障害福祉課をはじめ、関係する機関は、引き続き啓発を宜しくお願いします。

続きまして、指導についてお伺いします。特別支援学級の指導については、特別支援学校教育要領・学習指導要領を参考にしていると聞きましたが、インクルーシブ教育システムの推進により、連続性について改善がされ、段階ごとの内容を充実されるとのことで、また、小学部でも幼児部教育要領に示す各領域のねらいの一部を取り入れたり、中学部の外国語科については、小学部の目標などを取り入れたりできるようになりましたが、特別支援学級でも同じように特別支援学校教育要領・学習指導要領を参考にし、そうした面からも連続性を重視した対応がされていくという認識で宜しいでしょうか。

(教育部長)
特別支援学級の指導では、特別支援学校教育要領、学習指導要領や、小・中学校学習指導要領を踏まえ、児童・生徒の障害の程度や発達の段階等を考慮しながら、適切かつ効果的な指導計画を作成し、実際の指導に取り組んでおります。

(清水彩子)
④学年ごとで区切られている学習指導要領とは違い、一人一人の発達に合わせ、学習が進められているということでわかりました。
学校・家庭・地域及び関係機関の連携はどのようにされていますか。

(教育部長)
市教育委員会では、特別支援教育連携協議会を年2回開催し、教育、保健、医療、福祉等の関係機関の連携により、教育上特別な支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対して、乳幼児期から学校卒業までの各段階における連続性のある適切な支援を充実させる取組を進めております。
また、特別支援学級における教育内容の充実を図るために、都立特別支援学校から様々な指導・助言をいただきながら、連携を活用した授業改善への取組も進めております。

(清水彩子)
⑤様々な機関と連携をとっていただきありがとうございます。

学校では、教育、医療、福祉、労働等が連携協力を図り、学校が中心となっている「学校生活支援シート」が作成されているのでしょうか。自立活動の指導計画の作成や指導に当たっては、専門の医師、その他の専門家との連携をしているのでしょうか。

(教育部長)
児童・生徒の実態に応じ、保護者の了解を得た上で、通院している病院の医師などと連携を図り、学校生活支援シートを作成したり、指導に反映したりするケースもございます。
自立活動の指導計画の作成や指導については、ケースによっては専門家の御意見を聞くことはありますが、日常的な連携はございません。

(清水彩子)
⑥平成15年から実施された障害者基本計画においては、教育、医療、福祉、労働等が連携協力を計り、「個別の教育支援計画」、現在でいう「学校生活支援シート」を作成することになっていると思いますが、社会的自立を促進するために行われている取り組み、労働との連携というものはどのように取り組まれていますか。

(教育部長)
小学校、中学校での学習では、「自立活動」を取り入れ、学校の教育活動の中で、社会的自立に向けての学びを深める学習に取り組んでおります。
また、校外学習や宿泊学習、職業体験などを通じて、身辺自立や将来業種に関する学習にも取り組んでおります。

(清水彩子)
⑦一人一人の発達、学習・生活経験に相応の態度、知識、技能の獲得や役割を果たすことの支援をするとともに、 勤労観、職業観の育成が必要だと思いますので、そのように取り組んでいただきありがとうございます。また、コミュニケーション、集団のルールの理解など、将来を見据えた指導、支援を宜しくお願いします。

特別支援学級の児童、生徒が増加傾向にあり、各校の特別支援教育を充実させる必要があると思いますが、今、若手の教員が増えてきていると聞きますが、若手教員に対する特別支援教育に関する研修についてはどのようにされていますか。

(教育部長)
初任者研修での「特別支援教育の理解」をテーマにした研修の実施、特別支援学級及び特別支援教室の教員を対象にした「特別支援学級研修会」の実施、夏季教職員研修の一環としての特別支援教育講演会を実施しております。
また、学校の要請を受け、都立特別支援学校の特別支援教育コーディネーターによる、特別支援教育の理解向上研修や、配慮を要する児童・生徒への対応などの研修、相談も実施しております。

(清水彩子)
⑧若手教員を含め、教員それぞれが担当する役割によっても、理解すべきことも異なってくるとは思いますが、障害者の権利に関する条約に掲げられたインクルーシブ教育システムの理念を踏まえて、一人一人の子どもの障害を理解し、発達段階に応じた指導ができるようこれからも多職種の方々とも協働し、取り組んで行っていただきたいと思います。これからも、心理、教育的なアセスメントを行い、個別の指導計画の作成と実施を行っていただきたいと思います。
放課後等デイサービスや保育所等訪問支援事業を含む障がいのある子供に係る福祉制度について、どのように保育士、教員、指導員などに周知していますか。

(教育部長)
教員への福祉制度の周知については、武蔵村山市教育委員会の第5次特別支援教育推進事業の新規事業にも示されているものであります。
教育委員会としましては、担当課と連携し、教員研修等を通じて周知を図っていきたいと考えております。

(清水彩子)
⑨様々なサービスや新しい事業所の把握は難しいと思いますが、保護者と共に支援を考えられることに繋がりますので、これからも連携し周知していただければと思います。

各校の特別支援教育コーディネーターの専門性向上を図るため、特別支援教育推進委員会を「特別支援教育コーディネーター連絡会」に移行し、内容の充実に努めるとのことですが、この連絡会について詳しく教えてください。

(教育部長)
特別支援教育コーディネーター連絡会は、担当校長と市内小中学校、全校の特別支援教育コーディネーター、教育委員会指導主事のメンバーで構成され、連絡会では、東京都の特別支援教育に関する最新の動向の確認や情報交換、事例検討などを行っております。また、令和3年度は、「特別支援教育コーディネーター連絡会だより」を作成し教員向けに情報発信もしております。

(清水彩子)
⑩横の繋がりを深めながら、連絡会のメンバー以外も情報が共有されているということで、非常によい取り組みだと思います。ありがとうございます。

障害者の権利に関する条約第24条によれば、「インクルーシブ教育システム」とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的のもと、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が教育制度一般から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされていますが、本市の学校教育において「合理的配慮」「基礎的環境整備」として、児童・生徒の個別教育ニーズに対応した教育環境の整備・推進をされていることがありましたら教えてください。

(教育部長)
「合理的配慮」「基礎的環境整備」の観点から、児童・生徒の個別の教育的ニーズに対応した学校での取組を紹介しますと、まず、合理的配慮の取組では、例えば、「学習内容の変更、調整」への配慮として、教材や問題文の漢字にルビを振ったり、「学習上または生活上の困難を改善、克服するための配慮」として、大人の指導に対して抵抗感のある子供に対して、活動でつまずいているときは、教員や支援員が急かしたりせず、最後までやり遂げるのを待つように心がけるなどの取組があります。
基礎的環境整備への取組では、「専門性のある指導体制の確保」として、学校が専門性のある指導体制を構築するため、その中心的な役割となる特別支援教育コーディネーターを育成するため、特別支援教育コーディネーター連絡会を実施したり、「令和3年度武蔵村山市公立学校特別支援教育コーディネーター実務手引き」を作成し、学校に配布したりしております。
 
(清水彩子)
⑪きめ細やかな支援をしていただきありがとうございます。平成28年「障害者差別解消法」が施行されたことに伴い、学校においても「合理的配慮」「基礎的環境整備」が充実されることになりましたが、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて柔軟に対応していただいていることがわかりました。これからも、少し配慮することにより、「皆と同じようにできる」という体験を増やしていただき、児童・生徒の自己肯定感を育んでいただきたいと思います。
GIGAスクール構想がが始まりましたが、特別支援教育におけるICT教育について教えてください。

(教育部長)
特別支援教育、特別支援学級でのICTの活用ですが、タブレットや大型テレビ等による拡大画像や動画などを用いた授業の工夫を取り入れ、児童・生徒の興味、関心を高めたり、理解を深めたりする学習に取り組んでおります。また、令和3年度は、一人一台端末の整備が完了し、特別支援学級の児童・生徒も自分のタブレットで文字入力や情報検索行いながら学習に取り組むなど、段階的な活用に取り組んでおります。

(清水彩子)
⑫GIGAスクール構想は始まったばかりですが、アナログがデジタルに置き換わるのではなく、多面的な教育が進んでいくのだと思います。社会では、ICTを活用した在宅就労など新たな職域に係る人材育成の強化が進められているため、ICTで学習を理解するだけでなく、仕事で活用していくことも考えられていくと思います。
 自閉症などのお子さんの中には、ICTの活用に優れているお子さんもいますので、子供の特性を活かし、能力を発揮する指導をしていただけたらと思います。

この項目最後の質問になります。令和5年度に、中学校における自閉症・情緒障害特別支援学級が開設されますが、検討委員会の会議などはどのように進んでいるのでしょうか。 
また、学区外の通学を希望する場合、保護者の書類提出が今月の9月30日まででありますが、設置される学校にあらかじめ入っておきたいという声もありますが、来年度中学校に入学する児童の保護者に対し、9月30日までにはお知らせされるのでしょうか。

(教育部長)
本市、中学校の自閉症・情緒障害特別支援学級の開設については、令和3年8月5日に開催した武蔵村山市、自閉症・情緒障害特別支援学級開設準備委員会にて、令和5年度に小中一貫校村山学園第二中学校に開設することについて決定し、令和3年8月20日に開催された第8回教育委員会定例会において報告をさせていただきました。
この中学校の自閉症・情緒障害特別支援学級の設置校の周知につきましては、市報やホームページ、学校からのお便りや保護者会等を通じて行っていく予定です。

(清水彩子)
令和5年度に、小中一貫校村山学園第二中学校に開設されること、入学が検討できる時期までに周知されていくとのことで安心しました。ありがとうございます。

全ての障害児・障害者が、障害がない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられるには、学校教育における合理的配慮、インクルーシブ教育などによる、真の理解が不可欠であると考えます。
これからも子供たちの自己肯定感を育みながら支援していただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
以上で1項目めの質問を終わります。
 
 




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