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自分嫌いがステージで輝けるようになった訳


私は、バーレスクダンサーというお仕事をしています。バーレスクというのは、お洋服を焦らしながら脱いでいくエンターテイメントです。全裸になることはありませんが、お肌や身体を魅せるお仕事をしております。スポットライトを浴び、妖艶に踊りながら、笑顔を振り撒くショーガール。そんな仕事が出来るなんて、さぞ自分の身体に自信があるのでしょうね?そう思われましたでしょうか。今では、自信を持ってそうだと言うことが出来ますが、初めからそうだったわけではありません。この物語は、自分が大嫌いで、いつも自信がなかった私が、ステージで輝けるようになるまでのストーリーです。

長くなりますので、コーヒーでも飲みながら、ごゆるりとお読みくださいませ。
私は、長い間、自分の容姿が大嫌いでした。丸い顔、肉付きの良い身体(今では、そこが魅力!って思えますけど、当時は全然思えませんでした)全てが嫌でたまりませんでし。
何故なら、当時は、痩せていればいるほど美しいと持てはやされる時代だったからです(ギャル文化があったあの時代です)テレビ、雑誌、広告、そこに映る全ての女性は細く華奢で、私とは似ても似つかない容姿をしていました。私はいつしか彼女たちに憧れるようになったのです(刷り込みの憧れですが)

そして、高校生の時に、ダイエットを始めることになります。最初は、軽い気持ちで始めたのですが、体重がみるみるうちに落ち、それが数字で明確に表示されることに、徐々に快感を覚えていくことになります。(理系ですので、数字で確認できると興奮しちゃうんですよね(笑))当時、どんなダイエットをしていたのかというと、シンプルに減食です。最初は、お弁当を8割程度に減らす、その次は半分、その内、食べることが面倒になり、昼はヨーグルトのみで過ごすようになりました。もはや、ダイエットではなく、懲罰です(笑)どんどん痩せていきました。この減食は大学生まで、続くことになります。大学生から一人暮らしを始めたので、減食がさらに加速しました。高校生までは、家族と一緒に暮らしていたので、ご飯を抜くのは昼だけだったのですが、一人暮らしを経て食が完全に自由となり、私は、全ての食を減らし始めます。1日の中で、自分に食べることを許していたのは、おにぎり1個とカップスープのみ。そして、たまに食べるチロルチョコ。当時、常に飢餓状態だったので、すぐに栄養へと変換される甘いものが手放せませんでした。それでも、痩せるためにもっと厳しくしなければと、有酸素運動を毎日3時間ほどしていました(時代を感じさせますが、ビ◯ーズブートキャンプとか、ズ◯バとかです)あの時は、大学、音楽活動、バイト、そして運動と常に忙しくしていて、睡眠時間も3時間程度しかとっていませんでした。ですが、そんなに辛くはありませんでした。ランナーズハイのように脳内ホルモンが出ていて、なんだかどこまでも動けてしまいまそう!楽しい!と思っていました。今思えば、死にかけているので、身体が必死に私を守ろうとしているだけなのですが。。そんな私にある日突然、異変が訪れます。いきなり食べきれないほど大量のご飯が食べたくなり、それを胃に詰めると、苦しさのあまり吐き出してしまったのです。たくさんのご飯を食べて吐いてしまう。何かがおかしい。だけど、止めることができない。遂に、私のおかしなダイエット生活が祟り、身体に異常が現れたのです。吐いてばかりいるので、大量に食べている割には、手足は痩せ細り、唾液腺の異常でリンパが腫れ、顔は異常にまん丸で、身長も小さかったので、友達と並ぶと完全にロズウェル事件でした(笑)私は次第に衰弱していき、まともな思考力もありませんでした。ですが、なんとか力を振り絞り、このままではいけない!と、意を決してご飯を食べることにしました。

私は、久しぶりにまともな食事をとることになりますが、その時のご飯がなんとまあ美味しかったこと!!ご飯に敵意を剥き出しにすることもなく、自然と受け入れることが出来たのです。そうすれば、ご飯はこんなにも美味しく、私を幸せにしてくれるのだと思いました。

この時の想いがあるので、私は飲食店で働かれている方、毎日ご飯を作ってくださる方をとても尊敬しています。私自身は、料理が苦手であまり料理をしません(今思えばセルフネグレクトだったからかもしれません。しようと思えば出来ますから)生きることは食べることなのだと改めて思うことになります。ご飯をきちんと食べ始めると、だんだんとまともな思考になっていきました。そして、なぜ、そもそもこんなになるまで自分を追い詰めてしまったのだろう?と思いました。私の頭の中には、美しい=良い、美しくない=ダメという図式がありました。ですが、そもそも美しさの基準は、それぞれなはずなのに(スレンダー好きもいれば、ぽっちゃり好きもいますよね?)、何故か美のスタンダードが用意されていて、そこから逸れてしまえば醜いという烙印を押されてしまう。それは、全くもっておかしいことなのではないだろうか。

何故、美のスタンダードを用意するのか、それは物を売るためではないのか。肌が汚いと脅せば、化粧品が売れる。太っていることがいけないことだと恐れさせれば、ダイエット関連商品が売れる。この資本主義社会では、そういうことがまかり通っているのではないだろうか、と思いました。だって、絶対おかしいじゃん!!なんで、生きてるだけで、こんなに言われなくちゃいけないの〜〜〜!!って。ならば、その思いこみを外せばいいのでは?と考えました。そして、ふと「もういいや。私、太っててブスでいるの飽きた。これからは美人として生きる」と、ある朝、突然そう決意したのです。鏡を見れば、いつもの顔がまんまるで大きく、身体はガリガリのチュッパチャップスみたいな私がいますが、それは一旦無視して、今日から、私は美人なんや!!と強く思ってみることにしました。正直、めっちゃ楽しいです美人ごっこ(笑)美人だったら、お洋服を楽しんで着るよね?きっといつも穏やかで笑顔でいるよね。言葉遣いも美しいよね。と、想像出来うる限りの美人を演じました。

そうすると、だんだんと自己肯定ができるようになり、他人に美しいと思って貰えないと愛されないなんておかしい、世界中が私を醜く思い愛してくれなくても、私だけはいつも自分を愛するんだ〜〜〜!!と、なんだか世間一般からは嫌われそうな自分大好き人間へと変貌するのです。ここで私の鋼の自己肯定感が形成されます(笑)理由は、そのほうがなんだか生きるのが楽しそうだったからです。そんなことを続けているうちにある日こんなことを言われました。「あなたって美人ね」と。私は、耳を疑いました。私が美人だなんて言われる日が来るなんて!?衝撃的でした。

やっぱり内面が変わると外側が変わるんだなと。そうやって、美人になったつもりで生活を続けているとある思いがけない出会いをすることになります。それが、バーレスクです。以前の自分になら絶対に出来なかったと思います。人前で肌を晒すなんて、見てる人の目が潰れちゃう!!って、本気で思ったと思います。でも、やってみたら意外と向いてました(笑)美人になったつもり生活で得た経験を生かして、今度は一流のバーレスクダンサーになったつもり生活を始めました。まだ、ペーペーですが、心は一流のつもり。私は、みんなに笑顔を振り撒くエンジェルなのよ!って思ってます。お客さんの反応が薄い時も、どやさ!どやさ!って心の中のいくよ師匠に鼓舞してもらいます。ね?最初から、自信を持っていた訳ではなかったでしょう?様々な経験を経て、今は、とってもニュートラルな気持ちになりました。美しくても醜い瞬間があっても、私だもの。それで良いのよって。どんな瞬間も私はあなたを愛しているわって。

私がバーレスクダンサーとして、踊るのは生きる喜びです。(一回、命を落としかけてますからね笑)そして、社会へのアンチテーゼなのです。これが私なりの戦い方なのです。いいですか。あなたは誰がなんと言おうと美しいのです。あなたは信じられないほどかわいいです。周りに惑わされないでください。自分で思い込む分には自由じゃないですか。楽しく生きていこうよ。人生というステージで輝けるかどうかは自分次第なのです。私はこれからも踊り続けると思います。同じ苦しみや悩みを持つ誰かの背中を押せることを願いながら。


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