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自分らしさを諦めないということ

新しい傘を買った。
明るい黄緑色で、レモンや洋ナシ、リンゴといった果物がたくさん描かれた柄。
その傘を開き、その下に入ると、私に明るくて陽気な色が降り注ぐ。

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今年のお誕生日は何が欲しい?
と夫に聞かれて、ずっと『銭湯の回数券が欲しい』と答えていたのだが、直前になって傘が欲しくなった。

私は雨女を名乗れるくらい、雨の降る確率が高い場所やタイミングを(無意識に)選んで出かける才能(?)があるのだが、それだけ雨に遭遇するくせに、ずっとビニール傘しか持ってなかった。
ビニール傘はシンプルで素敵だが、何だか雨が降りそう…な時にはやはり折りたたみ傘がよろしい。

夫がちょうど今、近所のイオンで雨の日特集していて傘もたくさん並べられてたよ、と言うので連れ立って買いに行った。

イオンの傘売場は折りたたみ傘に限ってじっくり見てみると、モノトーンか落ち着いた色合いのデザインが主流だった。
おそらく男性と、高めの年齢層向けのデザイン。

私は黄色い傘が欲しかった。
小学生の頃持たされていた黄色い傘にはずっと、こんなのダサい、嫌だ、と思っていたのに不思議だ。

雨と同調するような、落ち着いた色を好む人もいるだろう。
だけど私は傘は明るく、むしろ派手なくらいに感じる色がいい。宇多田ヒカルだって歌っている。

青い空が見えぬなら青い傘広げて
Colors

私は傘で、雨の真逆を行きたい考えだ。
※「雨の日に聴きたい曲」の選び方も同じく。

ところで私たちは、雨の日特集の売場の、裏側から見始めたらしい。
正面に回ると、そこには花柄の折りたたみ傘がたくさん並べられていた。

花柄はどう?
と夫に聞かれて、花柄かぁ…と渋い顔になった私。
花柄には何の罪もない。
美しくて、優しい花の柄。

花柄は私のキャラクターじゃないんだよね、と自分の内面に照らし合わせて意見を言うと、夫はあやちゃんの「印象」に合ってると思うけどね、と外面からの意見をくれた。

そうなんだ。
私の外観は、『優しい』印象をしている。
優しい顔つきに優しい表情、優しい姿勢に優しい立ち振る舞い。

だけど私は今、そんな『優しい』に疑問を持っているところだ。

父とのやり取りで、愛されたくて受け入れられたい自分に気づいてしまった。

私の優しさは、そんな下心で作られているものも多かったのだ。
だから今、私は愛されたくて受け入れられたい、という受け身の姿勢→能動的な生き方に軌道修正を始めたばかりだ。

だから、『女性らしくて』『優しい』花柄は私は選ばない。
私は黄色い傘が欲しいのだ。

そう、と答えて夫も黄色い傘を探してくれる。
これはどう?と掘り出してきた(まさに掘り出した)のが、冒頭の黄緑の傘だった。

傘を広げて、鏡にも合わせてみる。
(傘売場には鏡はなく、わざわざ他から移動させてきてくれた店員さんに感謝✨)

私はその傘が気に入った。

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小さな買い物だったけど、とても大切なことを再認識した気がする。

今まで身につけるものや、髪型、メイクといった外観のデザインを、『似合うか似合わないか』で選んできたけど、そこには他人の価値観が大きく入り過ぎていた。
人から好かれ、選ばれるための選択。

だけど私の中の違和感は大きくなり過ぎて、もう気がつかないフリができないところまで来てしまった。

あなたには可愛い髪型が似合いますよ、と勧めてもらっても、私は自分が格好良くいられる髪型にしたい。

※そう新しく訪れた美容院で伝えたら『ならば描いてこい』と宿題を出されて、頑張って描いたイラスト。
私のなりたい髪型は襟足をとにかくスッキリさせたいらしい。

私は本来、ハンサムなファッションが好き。
傘も、明るくて陽気な色柄が好き。
客観的な視点というのは、最後の仕上げに使えばいいよね。

私は自分らしさを諦めなくないんだなぁ、
そう気づいたら今までのアレコレが符号したような気がした。

何か引っ掛かる…と記憶を辿って出てきたのがこのシーン。
(引用の仕方が著作権に抵触していたら教えてください)

日高ショーコ「日に流れて橋に行く」より
日高ショーコ「日に流れて橋に行く」より

名作である…!
早く続きが読みたくてたまらない物語。
(「思う通りには動かない」時子を肯定できる虎三郎が推せる…!)

私は自分らしさを諦めない。

小さな買い物だったけど、とても気分がいい、良い買い物だった。

おまけ。
傘のハリ、撥水加工まで蘇るというライフハック。

ありがとうございます!自分も楽しく、見る人も楽しませる、よい絵を描く糧にさせていただきます!