描くようになったきっかけ
ちいさな子どもと見る世界
私が描き始めたきっかけは、初めての育児でした。
もちろん、子どもの頃から絵を描くことは大好きで、学校でも、家でも、画用紙に何枚も飽きずに描いたものでした。
それがいつしか、自分の絵は手帳の片隅やノートの余白に、こそこそっと描くようになっていきました。社会人として忙しくなり、毎日が自宅と職場の往復だけという頃には、あまり描かなくなっていました。ノートやスケッチブックの類が大好きで、当時もよく買っていましたが、いざ白いページを目の前にすると、
「何を描いたらいいか分からない」
通勤途中で寄り道したり、休日にどこかへ出かけたり、といったこともせずで、思わず描きたくなるような刺激がなかったのかもしれません。では頭の大半を占めている仕事や職場での失敗や悩みを面白おかしく描いてやろうか、と意気込めどもやはり、私の手は動かないのでした。
「心が喜ぶような絵が描きたいなぁ。第一に自分が」
ちいさな子どもを中心とした暮らしは、私が眺めていた世界を彼の視点で見つめ直すきっかけとなりました。たかだか数百メートルの距離にあるスーパーまでの道のりが、たくさんの発見に満ちていること。出会う事柄に対して何の先入観も持たず、素直に心を動かすこと。芝生のひんやりした感触、傘を叩く雨の音、お風呂の温かさ。暑い、寒い、過ごしやすい、それぞれの季節を感じること。
気づけば毎日は、ささやかに輝く瞬間でいっぱいなのでした。
私はそれらのひとつひとつを丁寧にすくい取り、自分なりの表現に落とし込めたらなぁと思っています。
ありがとうございます!自分も楽しく、見る人も楽しませる、よい絵を描く糧にさせていただきます!