事務の仕事

30代初めのころ、大学という場所で働いてみたくなり、それまでの仕事を辞めてとある私大の契約職員になった。職種はいわゆる事務の人である。契約満了までの数年間を働いた。

その仕事で毎日のように業務連絡のメールを送り、毎月の打ち合わせで顔を合わせた先生がいた。昨日その人の訃報を聞いた。

「こんなにいい人だった」と、良いところ探しをして報じたりすることで、それが殺されてはならない理由みたいになってしまう。それは逆に「生きる価値」というものを狭く規定してしまう恐れがあります。
よいところがあろうが悪いところがあろうが、誰にもどんな人であろうと生きる、殺されない。ちゃんと暮らせるようにすればよいし、それはまったく可能です。

長谷川豊アナ「殺せ」ブログと相模原事件、社会は暴論にどう対処すべきか?【インタビュー】

事務的に処理するような書類仕事の中ですら、独特の文体の、こんな言葉に何度も接した。事務仕事をしながら世界への不安が取り払われるというのは不思議な経験だった。そのことをここに記録します。

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