産婦人科医としての決意。
はじめまして。医師10年目、産婦人科医の三輪綾子です。
現在臨床(実際クリニックや病院で診療をすること)をしながら疾患の啓発、女性ヘルスケアの底上げを行っています。もっと具体的なタメになる話を書こうと思ったのですが、まずはじめに自分自身の中でも整理する目的で自己紹介を兼ねて今までの経緯を書きます。
なぜ産婦人科医になったか。
もともと学生の時は内科を考えていました。外科は男性が多いし、大変と聞いていたからです。それだけの理由。
ただ研修医時代に自分の手術好きが判明し、外科にしぼりました。手術に入っている時の集中力、没頭している感覚は何にも代えがたい時間です。恐らく、アーティストが絵を書いている時や、作家が文章を書いている時、その集中力なんじゃないかと。中毒性のあるものです。
所属科を決めるにあたり、「今何が好きか」ということと「何に興味を持ち続けられるのか」は別だということを考え、とても迷いました。
周りには最初から科を決めている同級生がいて、その人たちを羨ましく思いました。なぜ今後末永くその科を愛し続けられると、働いてもいないのに判断できるのか、不思議で仕方ありませんでした。色んな人に相談しました。「何がしたいのか、どういうふうに生きたいのか」そう問いかけられながら悩みました。
あれこれ悩み、研修医が終わる2年目の3月最終日。
「産婦人科にしよう」
そう決断しました。
一生涯どこを切り取っても産婦人科は女性にとって必要である。自分の興味の対象が変わったとしても必ず産婦人科は必要とされるはずであり、
全てのことが役に立ってくるはず。
やることを絞っているようで絞っていない。お産でも癌でもホルモンのことでも化学療法でも緩和医療でも何でもできる。「これで良い!」その日に医局長に「産婦人科に入局させて下さい」と言いに行きました。驚かれましたが、暖かく迎え入れてくれました。
産婦人科としての10年間
産婦人科として働くにはまずお産を取れないといけない。
当直メンバーとしての戦力にならない。早く一人前にならなくては、と自分に言い聞かせていました。
1年目の市中病院勤務では病院の横にマンスリーを借り、夜中でもお産のときは呼び出してもらいました。「見習い当直」という立場で当直中はその日の上級医についてまわる。上級医が夜中呼ばれたら一緒に起こしてもらって見学をする。そういうのを月10回自分に課していました。(決して強制されてたわけじゃないです!辛くない程度に無理しないで頑張って、と言われていました)
産婦人科半年で帝王切開の執刀を行うようになり、病院で行われるほとんどの帝王切開、分娩を担当させてもらいました。
2年目は大学病院。婦人科腫瘍班に配属。手術や化学療法で入院される患者さんのお手伝いをさせていただきました。腫瘍班は人数が少なかったため、ここでもほとんどの開腹の手術にはいらせていただきました。この時が一番大変でした。月12回当直。プライベートも何もありませんでした。周りも同じ条件。円形脱毛になりながらも頑張っていました。
3〜5年目は手術、手術、手術。
好きだったので毎日充実していました。今までの辛かった経験が生きて、上の先生に褒められるし、頑張ってきてよかったと思いました。外科医として最も成長した時期でした。
そして専門医取得。
専門医までは何者でもない、辛くても振り返ってはいけない。
そう思ってきました。資格が取れて一つ階段を登れた気がしました。
でも結局また振り出しに戻る。私は何がしたいのか、再度考えるようになりました。
「病人がでないようにしたい」
誰しも医師ならば思うところです。ちょうどHPVワクチン問題が起きていた頃で、次々と病気になってくる若い患者さんたちを病気になる前にどうにかしたい、そう思っていました。病気になって今後の結婚や出産、家族の悲しみと向き合わないといけない患者さんにたくさん会い、自分自身も消耗していきました。そんな悲しい思いは1つでも減らしていきたい、と強く思いました。
予防医療普及協会へのお誘い
ちょうどその時に堀江さんからお誘いをいただき、予防医療普及協会へ参加することにしました。「子宮頸がんを減らしたい」そういうと「それやった方がいいじゃん」そういってくれました。
自らアクションを積極的に起こしたわけではないけれど、自分のやりたいことを「これがしたい」とそういうだけで導いてくれる人がいる。人前にでるのとか、人と違うことをするのとか、画して日本人は「恥ずかしい」と感じてしまう。ただ、だいたいそんなことを覚えて気にしているのは自分だけです。
今活躍してる人たちは、そういう小さなことを気にせずに手を上げてきた人。
私もそういう人たちに憧れるから、そしてなにか社会に価値を提供できるようになりたいから、今後も地道に活動していきます。
長文読んでいただき、ありがとうございました。産婦人科への愛を語るのは次回にすることにします!!
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