どうにもならない
いざ。
姫を救いに。
張り切って乗り込んだものの。
針を剣に勇んだものの。
車輪がないのよ。靴だけに。
ローラースケートでないことにしょぼん。
コロナが猛威を奮っています。
毎日、事務所の電話が鳴ります。
家族が陽性になりました。
親戚が陽性で、濃厚接触です。
はい、サービスは使えません。
私は介護支援専門員をしています。
お年寄りとその方を支えるご家族に
必要なサービスを調整しています。
どんなに、緻密に考えて組み立てたサービスも
コロナには太刀打ちできない。
コロナだと言われた瞬間、訪問もできない。
サービスは停止。
訪問も通所もお泊まりも、コロナかもしれない。
だけで、お断りされてしまいます。
念の為の検査で陰性の後、2日後の発熱だとか
サービスを利用中に濃厚接触になり、直後の検査は陰性だったのに1週間後に陽性反応など、コロナのかくれんぼは、油断なりません。
他の病気なら、これほどまでにサービスがストップすることはなかなかありません。
1番大変な時に会えない。
1番大変な時に助けられない。
車輪のない靴の戦車は動かない。
私達は、サービスの剣を片手になすすべがない。
電話口の向こうの落胆し、悲嘆するご家族に
非情なお話を繰り返します。
本当にごめんなさい。
どうか頑張ってください。
どうにか1週間、どうにか、どうにか。
ご飯を食べているかな。
お風呂は無理でも身体を拭いてもらえるかな。
お尻はただれないかしら。
生きる最低限の支援でさえも、うまくできない
ご家族や、受けられないご本人もいます。
誰も悪くない。
悪いのはコロナ。
介護は社会で支えるべきだ。と私は普段思っていますが、それが絵空事の現実に、自分の無力に落ち込み、打ちひしがれる毎日です。
それでも、元気な人ももちろんいます。
コロナを心配していたら、急に骨折しちゃう
お年寄りもいます。
毎日、今日のおじいちゃんの報告をくれるおばあちゃんもいます。
だから、やっぱり。
落ち込んでも浮き上がり、浮き上がって、
ニコニコするのみ。
剣はいつも振り上げないと。
志も振り上げないと。
闘う気持ちだけはね。いざ。
さあ、今日も一日がんばろう。
もしも、あなたが今身体の不調と闘っていたら
私も、動かない戦車からエールを送っています。
ひとりじゃないよ。がんばろー!
お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。