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お母さんへ

私の母は、私が小学生の頃おニャンコクラブで
人気が爆発していた国生さゆりさんに似ていると言われていた。

当時、街の中でおいしいと評判のケーキ屋さんで売り子をしていて、テキパキとニコニコ働く母は、娘ながらに魅力的に見えて自慢の母だった。

私が物心がついた時から、今に至るまで彼女はいつも働いていて、その姿から私も働くことが生きることということを学んだのだと思う。

基本的に、クヨクヨ悩まずあっけらかんとしており、明るく強い人だ。

私がまだ小学生にも関わらず、クリスマスに
「Aちゃん、(私の名前)お母さん忙しくて行けないから、Rちゃん(妹の名前)のクリスマスプレゼントを駅前のおもちゃ屋で買って、押し入れに隠しておいて。絶対バレないようにね。」
とサンタの下請けをさせたりした。

実家が火災で全て消失した時に、慌てて駆けつけた私に、
「お父さんには内緒だけど、高いパックを買ったのが燃え残っていないか探しに行こう。500円玉貯金もあるかも。」
と囁き、2人でこっそり焼け跡に行ったこともあった。

切ないことや悲しいことの中に、どこか救いのあるユーモアをぽとんと落とす人だ。

100%はない。どんな出来事の中にも小さな光は必ずある。私は、母の背中からいつもその希望を受け取りながら生きてきた。その波紋のおかげで、思い出すいろいろなことが、一色ではなくカラフルだ。

今日、母は大きな手術を控えている。
コロナ禍で、私はその手術の間、病院から
遠く離れた今いる場所で、普通に仕事をしなければならない。

手術は、母の命を長らえ元気に毎日を過ごすことを目的とした前向きなものだが、その後大きなライフスタイルの変化を求められる。

健康が取り柄で大きな病気もなく、70代を迎える手前で挑む手術に、母も緊張しているだろうな。

心配するしかできない娘に、電話で
「大丈夫よ、やるしかないからさ」と
元気な明るい声を出す母に、娘孝行が過ぎるな
と思う。

お母さん、がんばれ。
何にもできない娘は、ただただぎゅっと手術の無事を祈り、お母さんが強く願う「また職場に戻りたい」という未来を信じているよ!


お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。