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《神話-18》トロイア戦争

こんばんは。
Ayaです。
今日はトロイア戦争とその後のオデュッセウスの航海についてまとめます。

英雄アキレウスの死

美女ヘレネーの不倫で始まったトロイア戦争でしたが、ゼウスの思惑通り、長期戦となります。その原因の一つは、アキレウスの戦線離脱でした。アキレウスは総大将アガメムノンと意見が対立することが多く、ある日お気に入りの女捕虜を取り上げれてしまい、キレてしまったのです。ただ帰国はせず、基地でプー太郎していました。
猛将アキレウスのボイコットによって、ギリシア側は苦戦します。いよいよ危ないということになり、アキレウスの親友パトロクロスはアキレウスの鎧を身につけ、"アキレウスのふり"をして戦います。これは身内を鼓舞しようとしたものでしたが、運悪くヘクトルと戦うことになってしまいます。ヘクトルも猛将としられていたので、パトロクロスは敗れてしまいました。ヘクトルはアキレウスだと思って襲ったので、アキレウスでないとわかると怒り、パトロクロスの遺体を馬でひきづりました。
アキレウスは親友の死に慟哭し、ヘクトルの行動に激怒しました。パトロクロスの遺体はなんとか取り戻したものの、武具などは戻ってきませんでした。それでも親友の仇をとるときかないアキレウス。母ティテスはせめてもの思いで、ペパイストスに急いで作らせた武具を渡し、参戦を許可します。
久しぶりに参戦したアキレウスは無敵でした。ヘクトルも決闘をうけてたちます。ギリシア側・トロイア側双方に分かれていた神々も助力しようとしますが、ゼウスは神々の介入を禁じ二人の運命に任せるように命じました。

ジャン=オギュースト・ドミニク・アングル
『ユピテルとティテス』
息子をなんとしても助けたいとティテスは懇願するが、ゼウスは許さなかった。

ふたりは激闘の末、ヘクトルが敗れました。まだ怒りのおさまらないアキレウスは、パトロクロスがされたのと同じ辱めをヘクトルの遺体にも与えます。怒りに任せてこのような行動をしてしまったアキレウスですが、夜人目を忍んでヘクトルの遺体を引き取りに来たトロイア王の姿を見て、後悔します。
親友の仇を取ったアキレウスでしたが、戦いづつけます。トロイア側に参戦したアマゾンの女王・ペンテシレイアを下しますが、鎧の脱げた彼女の美貌に一目惚れしました。しかし、彼女は亡くなってしまいます。アキレウスはヘクトルや彼女のように華々しく散ると決意し、さらに猛然と戦います。
一方、知将ヘクトルを失い、窮地に立たされたトロイア側。パリスはアポロンの助けを借りて、アキレウスに矢を放ちます。その矢はアキレウスの急所・踵にあたり、アキレウスは戦死したのです。
彼の死に両軍は休戦し、大々的な葬儀を行い、英雄の死を悼みました。
アキレウスを殺したパリスでしたが、彼も戦いで重傷を負います。そんな彼が運ばれたのは、ヘレネー略奪以来ほっときぱなしにしていた最初の妻・オイノネーでした。パリスに捨てられる直前、彼女は「瀕死の重傷を負ったら、帰ってくるように。あなたを治せるのは私だけ」と言っていたからでした。
パリスが運ばれてくると、オイノネーは治してもヘレネーのもとに帰るだろうと治療を拒否します。オイノネーは考え直し運ばれていったパリスを追いかけますが、追いついたときにはパリスは亡くなっていました。オイノネーは罪の意識から自殺、ヘレネーはパリスの弟と再婚させられます。

トロイの木馬

英雄アキレウスだけでなく、多くの人命を失っていたギリシア側はなんとしても巻き返したいと策を練ります。
まず、神託に従って、アキレウスの遺児・ネオプトレモスが招かれました。さらにヘラクレス愛用の弓とトロイアの神像をどうにか手に入れます。
そして、巨大な木馬を作り、全軍が引き上げたように見せかけたのです。木馬のなかにはオデュッセウスをはじめ、少数精鋭の兵たちが息を潜めていました。
木馬を見つけたトロイア側は意見が割れます。これはギリシア軍の罠だから木馬を燃やすようにと主張した神官・ラオコーンの意見が通りそうになります。絶体絶命の状況に、木馬のなかのオデュッセウスは神に助けを求めました。すると、海から突然海獣が現れ、ラオコーンとその子どもたちを攫っていってしまいました。

ラオコーン像

トロイア側はこれをラオコーンへの天罰と考え、木馬を城壁のなかにひきいれてしまいます。トロイアの人々は勝利に湧き立ち、どんちゃん騒ぎをします。人々が寝静まったころ、木馬の中からギリシア兵たちが現れ、味方に狼煙をあげたあと、殺戮が始まります。トロイア側は油断していたので、全く抵抗できませんでした。こうして、トロイアの街は殺戮と略奪に覆われたのです。

オデュッセウスの航海

戦争の元凶・ヘレネーを殺そうとしたメネラオスでしたが、ヘレネーの美しさは変わっておらず、やはり殺せませんでした。
トロイアの財宝と捕虜を山分けし、ギリシア軍は帰国の途につきます。すでに出兵してから10年が経っており、1日も早く帰郷したいとの思いだったでしょう。しかし、航海は命懸けであり、中には海の藻屑と消えたり、海を彷徨った兵士たちもいました。
トロイの木馬で活躍したオデュッセウスもそのひとりでした。
オデュッセウスたち一行は巨人たちの住む島に辿り着きます。巨人の一人が彼ら一行を洞窟に閉じ込め、一日2人ずつ食べると決めてしまいます。なんとかせねばとオデュッセウスは巨人を油断させ、巨人の目を潰して、部下たちを連れて逃げます。問題はこの巨人がポセイドンの息子であったことです。ラオコーンの危機のとき、海獣を送り込んだのは、このポセイドンです。ポセイドンにとって、恩を仇で返されたようなもので、オデュッセウスを呪います。
オデュッセウスの旅は続きます。
美しい歌声で誘惑し、海に引き摺んむセイレーンのすみかの近くを通ったときは、部下たちには耳栓をさせましたが、オデュッセウスはなんとしても美声を聞きたいと、マントにくくりつけてもらってききました。案の定セイレーンの美声はオデュッセウスには聞こえましたが、部下たちには聞こえません。普段思慮深いオデュッセウスが、美声のために狂乱している姿は、聞こえない部下たちを恐怖させ、全速力で船は進み、なんとか凶事はまぬがれました。

ハーバード・ジェームズ・ドレイパー
『ユリシーズとセイレーンたち』
セイレーンは当初鳥女だったが、次第に人魚とされる。サイレンの語源であり、某有名カフェチェーンにも使われている。

また、魔女キルケーの島にも立ち寄ります。彼女は魔法で人間を動物に変えてしまう魔女でした。これを知っていたオデュッセウスは前もって魔法が効かない薬を飲んでいたので、動物に変わりませんでした。自分の魔法に効果がなかったキルケーはオデュッセウスに興味を持ち、ついには恋仲になります。オデュッセウスたちは3ヶ月だけ滞在しているつもりでしたが、この島では時間の流れが遅く、本当は3年経っていることに気がつきます。引き止めようとしたキルケーでしたが、オデュッセウスの意思の強さから諦め、これから訪れる災難とその対策を教えました。

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
『オデュッセウスに杯を差し出すキルケー』

キルケーの知恵がありましたが、災難はつづきます。部下は全員亡くなり、たったひとりになったオデュッセウスはカリュプソーという女神の島に辿り着きます。カリュプソーはオデュッセウスを愛し、ふたりは7年間も過ごしましたが、オデュッセウスの故郷への想いは変わりませんでした。アテーナーに説得されたカリュプソーは折れ、再びオデュッセウスは船上の人となります。しかし、このときにもポセイドンの鉄槌が下り、船は大敗、パイエケス人の国にたどり着きます。オデュッセウスから経緯を聞いたパイエケス人たちは同情し、彼を故郷イタケーに送り届けてくれました。こうして、10年間の放浪を終え、オデュッセウスは故郷に辿り着いたのです。
一方、オデュッセウスの留守を守るペネロペは、求婚者たちに悩まされていました。すでにオデュッセウスは死んでいるから、再婚しろというのです。勿論、イタケーを乗っ取る企みでした。「夫を悼むための織物が出来上がったら再婚します」とペネロペは求婚者たちに言っていましたが、夜中に糸を解いていたことがバレてしまい、求婚者たちは騙されていたことに怒り、一刻も早く再婚相手を決めろと責められていたのです。
故郷にたどり着いたオデュッセウスは、まず信頼する部下に接触し、息子のテレマコスに引き合わせてもらいます。父を知らないで成長したテレマコスは偽物ではないかと疑っていましたが、詳しいエピソードを聞くにつれ、本物であると確信します。そして、母ペネロペが追い詰められているので助けてくれと懇願しました。
息子から話を聞いたオデュッセウスは老人に変身して、求婚者たちが滞在している館に潜入します。
息子から説得されたペネロペは結婚衣装で現れ、オデュッセウスの弓を使えたものと再婚すると宣言します。求婚者たちは我こそはと挑みますが、硬くて弦すらはれません。そこに老人が登場します。求婚者たちは嘲笑しましたが、その老人は弓を見事に射抜きました。変身がとけてオデュッセウスは正体をあらわすと、逃げ惑う求婚者たちを射殺しました。
ペネロペはやっとオデュッセウスに会いましたが、信じられず、ベッドを運んでくるよう召使に命じます。夫婦のベッドはオデュッセウスが木を彫って作ったものなので、動かせないのです。オデュッセウスは冷静にそれは動かせないよと突っ込んだので、ペネロペはやっとオデュッセウス本人であると確信したのです。
オデュッセウスがイタケーを出てから20年の月日が経っていました。ふたりは抱き合い、語り合いながら夜を過ごしました。

フランチェスコ・プリマティッチオ
『オデュッセウスとペネロペ』

トロイア戦争、以上です。
戦争の原因になったのに、殺されないヘレネーすごいですね。しかも、スパルタに帰国後、ゼウスによってオリュンポスに引き上げられてしまったといわれており、大戦争はなんのためだったの?と言いたくなります。
オイノネーは可哀想です。捨てられると分かってて助けるとか無理だよね‥。パリスが自業自得なんでは←
さて、なんとか帰郷したオデュッセウスでしたが、衝撃的な後日談があります。キルケーとのあいだに生まれた息子テーレゴノスが父に会いたいと、イタケーにやってきました。しかし、外敵だと勘違いしたオデュッセウスはテーレゴノスを襲撃し、反撃されて重体に陥ります。テーレゴノスはこのときになってやっと父であると気が付きましたが、オデュッセウスは亡くなってしまいました。
悲しい死に方ですが、なんとテーレゴノスはペネロペと、テレマコスはキルケーと再婚して、キルケーの島で余生を過ごしたのだそうです!どういう関係やねん!と突っ込みたくなります笑
次回は『トロイア戦争の女性たち』を取り上げます。

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