床寝
この記事は「床寝 Advent Calendar 2015」7日目の記事です。
あわゆきさんのいい話からのこれです。
やばい、このままではやばい。
明日には送ると言ったあのデザインがまだキマらない。
デザインには終わりがない、キマるかキマらないかである。
何がどういけないのか、とにかくイケてない。
とてもじゃないが眠る気になれない。
しかし疲労から瞼は重くなるばかり。
決められた時間に起きるという能力の欠如した人間ゆえ
いまから寝て朝早く起きて仕上げるなんていうのは
このままデザインがキマるより絶望的である。
そうだ、この仕事場の絨毯の上なら
熟睡することなく数分だけ目を閉じることができるはず。
崩れ落ちるように横たわり、呻くようにこう囁く。
「Hey Siri! 30分で起こしてくれ」
床寝、それは生還したものがない地獄の底。
数分だけ…目を閉じるだけ…
己に甘いものが足元をすくわれる悪魔のささやき。
気がつけば朝、眩しい光に青ざめる後のフェスティバル。
しかし抗いきれないデカダンス。
そこに床があるから。
床寝は「強大な力に最後まで抗った成れの果て」である。
そこにはなけなしのプライドと意地がある。
愛してはいけない、しかし愛さずにはいられない禁断の果実。
床寝あいしてる。
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