質問回答:低周波曝露による小児白血病発症の可能性について
こんにちは!
今日はいただいた質問に答えます。
参考文献としてこちらのサイトも送ってくださいました。
ありがとうございます。中部電力さんによる疫学研究のまとめですね。
電磁波と小児がんが問題視されてきた
小児白血病や小児がんと電磁波の関連については、質問者さんのおっしゃるとおり20年ほど前から議論されています。
それは、20年ほどまえに電磁波と小児がんの関係を問題視した論文が出て
それが一気に広まったからですね。
で、その論文は否定されていますし、
WHOでも「関連するとは言えない」としています。
送ってくれたサイトの中でもこのように述べています。
論文では否定されている
論文では否定されているけど、
また「危険だ!」と叫ぶ人がいるのはなぜか。
それは
・20年前に危険性を示唆した論文がそのまま残っていて引用されてつづけている
・危険性や因果関係の可能性は否定されているが、断定はされていない
この二つが原因なんじゃないかなーと思っています。
否定されても論文は残る
20年前の論文が、そのあとに間違いだと分かったとしても
その論文自体には「これは間違いです」と書き加えられることはありません。
上書きはされず、原本は残りつづけます。
だから、どんなにそのあとに「間違いだよー」って情報を出しても
その間違った論文だけを見た場合は間違いに気づかないんです。
発信者は元の論文だけをみるのではなくて、
その論文の論説がその後どのようにアップデートされているかを考慮しないといけません。
新しい論文だったら考慮しなくてもいいかもしれませんが、
20年前だったら論説が変わっていることは大いにありえます。
20年前と言ったら、まだスマホもなくてセンター問い合わせしていた時代です。技術はずいぶん変わっていますよね。注意が必要です。
否定はするけど断定はしていない
多分、こっちのパターンで質問者さんは不安になっているんだと思います。
否定をしているけど断定をしていないんですよね。
だから、え?本当に大丈夫なの??と思ってしまうのかなと。
難しい話になるんですけど、
こういう科学技術や医療の論説って、断定しないのが普通です。
99.9%は違うってわかっていても0.1%でも可能性が残っているかもしれないからです。
理系の世界で「絶対」と言ってしまうと、
100%を保証しなきゃいけなくなります。
でも、100%はありえないかもしれないんです。
まだ分かっていないだけで、将来的に覆るかもしれない。
99.9%はありえなくても、0.1%の例外があるかもしれないから断定はできないって感じです。
電磁波が小児白血病の原因になる可能性はほぼないと実験では出ているけど、
なにかの作用で原因になるケースもあるかもしれない(0.1%くらいはそういうことがあるかもしれない)から断定はしない。
そんなイメージです。
でも、この研究を見ていると
可能性がないというよりは
そもそもわからない、科学的根拠を出して議論するほどのデータがない
ってことを言っているように見えます。
↑これがすべてですね。
10万人に3人が発症する稀な病気なんですよ。
今年(2023年)の出生数が70万人くらいと言われているので
そのなかで小児白血病にかかる子供は約21人です。
その約21人の子を調べても、電磁波が原因なのか?というのは分からなかった。というのが結論です。
ひいき目にみたら有意差あるかなー?
でも有意差が認められるほどのデータ量がないから、統計学的にも破綻しているなー…→わからん!
って感じの研究なんだと思います。
だから
という評価が下されています。
小児がんが増えているのは電磁波のせい?
もっともらしくそんなことを言っている人もいらっしゃるそうですけど、
え?増えてるんですか?
がんの専門機関などのサイトをみても
希少疾患という記述しかないんですけど。
しかも、7~8割は医療で治ると書いてあります。
↑参考サイト
日本で小児がんが多いように感じるのは
日本の医療技術が発達していて、発見できるようになったからじゃないですかね?
医療が行き渡っていない国は、病気が分かるまえに亡くなっているでしょうから。
日本も、昔に比べて乳児死亡率はかなり減りました。
戦前は乳児の10人に1人が1年以内に亡くなっていたそうですけど
今は250人に1人です。
病気への解像度が高くなったから、多いように感じるんじゃないですかね。
散らかった部屋に住んでいると、少々ゴミが落ちていても気にならないけど
片付いた部屋にいるとちょっとの埃も気になる
みたいな心理なのかなって思います。
というわけで
あおるひとはいますけど、
そういう人は「1%でも可能性があったら100%のように言う」ので
こちらも焦ってしまいますよね。
でも、何をしていてもどこに住んでいても
100%安全というのはないんですよ。
逆にいうと100%危険というのも、普通に生活していればあまりないんですけど。
冷静に判断していきましょう。
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