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手袋をさがす

2021/01/24


手がかじかむほどに、寒い寒い雨の日。向田邦子さんの没後40年特別イベント「いま、風が吹いている」へ。手袋もせずに。


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向田さんがものすごい速さで書いたであろう原稿の上の書き文字...堂々と、素敵に凛と写っていてかっこよかったポートレート...向田さんが旅先で撮影した、いわゆる旅の写真というより、現地の人たちの暮らしぶりが分かるような日常を切り取ったフィルム写真...みんなにとってのいいものではなく、向田さんが自分で選んで愛用されていた暮らしの品々...。

そして言葉の数々。

書くことは、感じること、想うこと、考えることで得られる氷山の頭のほう。
たくさんの中のほんの先っぽ。



会場で流れていた向田さんが生前に出演された「徹子の部屋」で、彼女はそんなことを話していました。


人でもものでも場所でも何でも、目に見える部分が全てじゃない。

それなのに時々、目に見えるわかりやすい、日の当たった部分がメインで築かれる、即席の関係性が今の時代的には好まれているように思うことがあります。

時代の流れに逆行しているかもしれないけど、私は、時間をかけられる、かけたいと思う対象にはじっくり時間をかけて、深いところで繋がれる関係性をより大事にしたい。

そして、分かりにくくても、一生懸命伝えようとしている対象には、より真剣に受け取り、自分も伝える姿勢を大事にしたいとも思うのです。


たとえ周りに誰もいなくなっても、自己表現下手の自分を諦めず、せめて自分のことは自分でちゃんと分かってあげられたらいいな。

向田さんのエッセイ「手袋をさがす」のように、自分に合う手袋は妥協したら見つけられないと思うし、やっぱり妥協したくないから。


#exhibition #spiral #向田邦子 #手袋をさがす #いま風が吹いている

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