19土

毎日のように自分で食事を作るときにも感じたことはなかった。
今年になって部分的に職場のルールが変わったりお弁当を持っていくことにしたり、慣れないことを少しだけ始めた。
前職の飲食店の頃はどの店でもまかない料理が美味しく、お弁当持参などいつぶりか。
久しぶりの弁当初日は簡単なもので、おにぎりと朝に調理をしなくても持って行けるおかずを詰めた。
そんな簡易なものだったが、自分で作った絵に描いたように梅干しを真ん中に埋め込んだ塩おにぎりを食べたら、感じたことのない感情がきた。
朝に自分で詰めて来たから、その様子も特に何も込めていないことも知っているのに、食べる人を思った気持ちが伝わってきた。何度も食事を作ってきたのに、初めて作った私を客観的に見たというか、他の人が作ってくれたときみたいに感じた。
自分のことは、他の人がどんなふうに感じているのか、そこまで詳しくわからない。こうだよねと言ってくれることもあるけど、実際に感じているニュアンスまでは知らないかもしれない。
ぴかぴかに着飾ったような出来上がりじゃなくても、ホコリひとつ入れない衛生管理はいつものことで、安全面大事、それに加わって「たーんとお食べ」なのか「美味しくお食べ」なのか、私ではない人みたいな私から私への無意識の愛情が込められていた。
私から思われるのは、こんな感じなんだ、と思った。
むかしむかしもっと若い頃、母に「あんたのおにぎりはぎゅっとしてる」と言われたのを思い出した。
ぎゅっとつまっていておもい。
そんなに何度もぎゅっぎゅと握っている訳ではないから、それは単に持ち前の握力のせい。

読んでくださってありがとうございます。日常の中や旅の楽しみとして写真を撮り、日々の思いを書き、ギターを弾き歌います。いただいたサポートでは記事に書いたポストカードなど作りますね。今日も素敵な1日を。