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ある春。 私は麗らかな陽の射す通学路で、血も凍らせるような妖気と、身も心も緩むような陽気じみた芳香を纏う歪な怪異と出会った。 ――これは、自分の居場所を探しているかわいいかわいい白猫の、何百年にも渡る伝説の続き。 * * * * * はり【玻璃】 1.七宝の一つ。水晶のこと。 2.ガラス。 * * * * * 猫又。桜。海。子供。幼猫。人。境界。想念。葬送。幻想。 ――きっとこの心についた玻璃色の傷は、消えることはないだろう。 §