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未来の自分が行けと言った

真夏のまちのマーケット


かつては7月の初旬なんてまだ夏本番ではなかったのにここ最近の体温超えの気温ときたら。


気温を理由に、11:00から20:00のマーケットは体力がもたないから16:00から終わりまで、雨が降るなら出店はしないと運営と相談して決めていた。
消極的なようにも見えるが、関わっている新エリアが気掛かりで自分にできる範囲を見極めた結果だった。


前日に天気予報がみるみる変わり、わたしがお店を広げる予定の16:00は雷雨。
今日はなしかなあ、と雨雲レーダーを涼しい部屋で眺めていた。

ポップや看板を用意しながら待機



Instagramのストーリーズを見ると、現場では汗を流しながら朝礼や設営している友だちの姿があった。

その姿を見て、思った。


なんか、日和見している自分、かっこ悪いかも。


「いやあ雨が降ったから出店しなくて良かったよ」より、「あのときさ、大変だったよね!」と未来の自分に、そう言って欲しかった。

すぐ雨が降るのなんてわかっているけれど、雨が降るまでマーケットに立ちたい。
わたしも仲間に入りたい。

すぐに連絡を入れて、そのわがままが通るのか運営に確認をしたらGOが出たので、三輪車に荷物を積み込み走り出す。
すこし回り込んで、他のエリアの見知った顔やキャストの子たちに三輪車から挨拶をして回った。

身長を超える積み込み荷物

自分のブースについてから忘れ物をいくつかしたことに気づき家とマーケットの2往復をして汗だくになった。
その時点で運営から雷雨予報による中止の判断に関する連絡が来てすこし心は折れたが、
忘れ物をしている間に荷物があるブースにいてくれた友だち、氷あるよ!と分けてくれたとなりのお店、水や氷を買い出してくれた友だち。

すべてが急遽でいろいろ間に合っていなかったが、たまたま通りすがってくれた友だちにすべてを助けられて、折れた心は持ち直した。

ついてすぐに氷をくれた友だちの店

お客さんももちろんだが、ほかの出店者やキャストのひとたちに倒れて欲しくなかった。

熱中症対策のクエン酸や塩分補給としてフルーツビネガーサワーや塩レモネードを用意して、大幅なディスカウントを設定した。

倒れるから飲んで!と声かけた



ひとりなようでひとりの時間はなかった


彼なりのみんなを見守る姿



利益も大事だが、やはり自分の基準はだれかのために、なのだ。
無論、だれか、は自分でもある。

満足である



おばんざいやドリンクを出し続けて2時間ほどしたころ、みるみる空が暗くなった。
運営が撤収の準備を!と呼びかける。

駆け込んで買ってくれるひとがたくさんいて、なかなかお店を閉められずまごまごしていたら、ひとりでしょ!なにか手伝うよと、それまで近くで飲んでいた友だちや、ちょうどマーケットに遊びにきたタイミングの友だちが手を貸してくれた。

これ持って!運んで!
食べちゃって!飲んで!と声が飛び交う。
吹き荒れる風、すこし顔にあたる雨粒、まだ遠くに聞こえる雷。
みんな濡れるのが嫌なはずなのに、だれかを残していってはいけない結束感がそこにはあった。

ただならぬ雰囲気に手伝いましょうかとついてすぐに声をかけてくれた
雨で取り残されたブースを手分けして救出


そう、わたしはこの光景が見たかった。
確実に近くなる雨足に、それどころではないはずだが、ねえ聞いて!と友だちに話すほど、昂る気持ちを抑えられないほど嬉しかった。
猛暑からの雷雨による中止の片付けがいちばん楽しいマーケットなんて、今まであっただろうか。


ひと通り荷物を積み込み、顔にあたる雨を感じながら、稲妻を近くに見つつ三輪車で撤収。


最後まで手伝っていた友人が送ってくれた写真



運営するスペースには、今日一緒に出店する予定だった友だちに荷下ろしの待機をお願いしていた。
彼は彼で前日の大仕事により満身創痍で、雨が重なったことは結果オーライ。
開口いちばん、楽しかった!!と伝えた。

しばらくすると大粒の雨がバケツをひっくり返したように降り、同じくして荷物を積んだ友だちの車が到着した。
雨に濡れながら荷物を下ろす。

ひと通り運び入れ、ひと息。
汗と雨でぐっちゃぐちゃな自分に笑った。
いいのいいの、こうなりたかったの。

満身創痍な友だちに、打ち上げしようごはんを作ってほしい、買い出しもよろしくと、我ながら鬼畜なお願いをしてシャワーを浴びる。
頼るというかこれはもはや甘えているだけかもしれない。

たまたま居合わせただけなのに雷雨迫る撤収を手伝ってくれたご近所さんも呼び、ミニマムな打ち上げをした。

カツオのたたきとそうめん

友だちが作ってくれたごはんは美味しかった。
ワインのボトルも2本開けて、ご機嫌だった。

梅おろしとじゅわじゅわの茄子

ゆっくり話しながら食べる食事はいつもより進む。
そうめんを何度もおかわりして、友だちと2把ずつ交代に茹でて、盛り付けるときの一巻きの量多くない?という他愛もない話が記憶に残っている。

Instagramをみると、マーケットのあとのそれぞれの様子が見えて、なんとなく、大変だったけどやり切ったよね、わたしたち。という思いが感じ取れた。

行く先々で助けられ、声を交わす。
嵐のような日でもあり、たくさん甘えられてご褒美のような日でもあった。
それはきっとわたしだけじゃないはず。

また、9月が楽しみだ。
暮らすことが楽しいなんて、こんな豊かなことがあるだろうか。

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