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道端の保健室
運営するコーヒースタンドのある通りの先には大学がある。
大学と駅とを行き来する大学生たちをコーヒースタンドから毎朝見送っている。
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去年の冬から春にかけて、この場所をDIYしていたころ、よく手伝ってくれていたのも春休み中だった大学生たち。
彼らはたまたま遊びにきて、楽しく過ごし、居着くようになった。
お店がオープンしてからも、
実習に行ってきます、や、帰ってきましたの挨拶にきてくれたり、近況報告してくれる。
修繕があれば、声をかけると直しにきてくれる。
そして彼らは相談ごともたびたび持ってくる。
はじめにDIYを手伝ってくれたのは5.6人だったが、気づけばその輪は大きく広がっていた。
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看板を取り付けてくれた
頼り、頼られる関係性がわたしと彼らの間に紡がれている。
彼らはもう4年生。就活も終盤になり学校へ行く頻度も減ったので会うことも少なくなってきた。
寂しく思いつつも、関わったときから彼らを見送ることはわかっていたので執着はない。
たまに顔を見せてくれたら嬉しいよ、と言うくらいだ。
しかしわたしが思う以上に彼らは、この紡がれた関係性を大切に思ってくれていることを教えてくれた。
学校のこんな近くにこの場所があること。
あなたも、あなた以外にもたくさんの大人がいて、仕事だけではない日々を楽しそうに過ごしていること、学生と対等に向き合ってくれること、学校の外にも頼れる大人がいるということ。
わたしたちが卒業したら、その繋がりがなくなってしまうことがもったいないし、悔しい。
この場所を紹介する掲示物を学内に置いたり、先生にも相談します。
そんなことを、言ってくれた。
そう、たまたま遊びにきた彼らが近所の大学生、というだけで、この場所として大学に関り代はない。だからこそ、個人の確かな意志でこの場所に集まった。
だれに言われるでもなく自分の意志で、ということが大切なのだ。
ここに来る学生は、DIYを手伝ってくれたり、学生主体のイベントで関わる学生たちだけではない。
ここに至るまでの経緯は知らず、ただ通学路にあるコーヒースタンドとして立ち寄る子たちもいる。
カフェで働いている学生とコーヒーの話題、仏教学部に通う寺の子の学生と地域のひとが立ち寄れる寺活用の話題、アパレルでのアルバイトの様子を教えてくれる学生、卒業後も就活に通い進捗について話す元学生。
お金がなくて買えないんだけど、と申し訳なさそうに、それでもあいさつや近況報告、他愛のない会話をしにきてくれる学生。
少しだけ居させてくださいと、1分だけ過ごして気持ちを整えて学校に向かう学生。
それぞれの子たちとの、柔らかな繋がりが好きだ。
だからこそ、それ以上は求めていなかった。
自分が卒業しても繋ぎ止めておきたいと言う学生の気持ちはありがたく受け取り、協力できることは協力するけれど、無理なくね。と言うに留めた。
ある日、男性がコーヒースタンドに訪れた。
暑い日だったので奥の茶の間に通して、しばらく過ごしていった。
帰り際に、ここは何ですか?と尋ねられたので、至る経緯を説明した。
彼は感心、しているように見えた。
ぼくは大学の講師をしています。今度学生を連れてきてもいいですか、と。
聞くと、彼は先の学生が所属する学部の先生だった。しかしその学生から話を聞いたわけではないらしい。この場所が気になっていたと。
わたしが思うより、この柔らかな繋がりはより実体のあるものになろうとしているようだ。
そして他学部からの9月後半から始まる3期目の講師依頼はすでに受けていて、頭の片隅で構成を考えているところでもある。
苦手だと思うことが、次々と依頼がくるから不思議なものだ。
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授業はもつが、授業をもつからこそ、先生と生徒だけではない関係性を作れたらいいなと思う。できるかな、先生。
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