【うつ病は財産】②どん底

食欲は全く無くなり、動悸発作は多くなり、頭痛は続き、体力はみるみる間に落ちていった。
それからというもの、私は自分の部屋で過ごすことが多くなり、家族と過ごすことはほとんどなかった。
集中力はなく、考えもまとまらず、ただ全身に現れる様々な症状に苦しむ日々…
出口なんてないんじゃないかと絶望しかなかった。

耳鳴りや口渇、胸痛・腰痛・背部痛は常にあった。
時には手足の痛みやしびれ、つっぱり感があったりもした。
またリンパの腫れや痛みを感じることもあった。

そして、時折割れそうなほどの頭痛が襲ってくるため、恐怖に怯える日々を過ごした…
この頭痛が一度現れればどうしていいのかわからず、ただじっと過ぎ去るのを待つしかなかった。

呼吸は常に浅く、息切れや頻脈もずっと続いた。
目や目の周囲の何とも表現し難い変なモヤモヤ感もあった。
更には、落ち着きが無くなり、じっとしていることができなかった。
椅子に座っていてもすぐに立ち上がり、部屋をウロウロするといった奇妙な行動をとっていることもあった。
そんな自分に気づき、異常だと怖くなったことも度々あった。

それからしばらくすると、無気力と脱力感、全身倦怠感でベッド上にいることが多くなった。
ただ眠り、目が覚めても何も出来ず、また眠るという繰り返しだった。
眠りが浅いため、眠っているのか目が覚めているのかさえもわからない日々を過ごした…
また、尋常ではない寝汗をかいたが、この時期に始まったことではなく、診断当初よりずっと続いていた。

半寝たきり状態の朦朧とした日々のことは、正直あまり思い出せない…
食欲は全く無く、何か口に入れると吐き気や胃部不快などがあり、食事が食べられないため栄養状態は悪かった。

また、異常な痩せ方であらゆる骨が出ているため、床ずれができそうな時もあった。

日常生活でさえ送れない自分が情けなく、このまま死んでいくのかもしれないと何度思ったかわからない。

無気力…身体が痛いとか、胸が苦しいなどは感じるものの、心は何の感情も感じなくなっていた。

笑うことも、泣くことも、辛いと感じることもない。

ただベッド上で天井を眺めるだけの日々…


ご飯を口にしても味覚はなく、食べ物は喉を通らないため、一口や二口で吐きそうになり、少量の水分を摂るのがやっとだった。

お風呂に入っても体力を消耗するだけでさっぱりしたと感じることもない。

トイレは行っても、スッキリしたという感覚もなかった。

一番酷い時には一日に1回か2回しか排泄はなく、水分も飲めなかったため、「もうこのまま死ぬんだ」と朦朧とするなか感じていた。

不思議と死ぬことに恐怖はなかった…

というより、そういったことを感じることもできなかったのかもしれない。

【うつ病は財産】③気づき

#創作大賞2022

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