【うつ病は財産】③気づき
喉と胸のつかえ感、胃痛・腹痛も続き、便秘と下痢を繰り返した。
当然、身体はどんどん痩せていき、お風呂に入るたびに全身の骨が目立つようになり、鏡を見るのが嫌だった。
体重は一番酷いときで38kgまで落ちた。
また、生理が止まったこともあった。
時々鏡を覗いても、私の顔は笑うことを忘れ、目に正気はなく目の下のクマは目立ち、肌もボロボロだった。
そんな中でも、何とかして心療内科へは通院していた。
通院日をカレンダーに印をしていたが、日にちも曜日もわからない生活だった。
唯一、外に出る通院日。
しかし、酷い健忘のため何でもメモに書き、常に目に入る場所に置いておかないと、少しのことさえもすぐに忘れてしまっていた。
例えば、受診後に薬局に薬を取りに行くといったことや、自ら用事がある銀行や職場に寄るといったことでさえ忘れてしまう。
メモに書き持ち歩いても、それすら忘れてしまう始末。
そんな自分が怖いと感じ、以前の自分には戻ることはできないと、何度も何度も自分に失望した。
物事を考えることができなくなり、考えがまとまらなくなった。
私はいつの日からか、自分を責めたり、様々な出来事について考えることも出来なくなった。
ただ天井を眺め、生きているのかどうかもわからない日々。
今思えば、生きる屍だった…
そんな日々を送るなか、何とかほんの少しずつ食事が食べられるようになった。
少しづつ物事が考えられるようになると、今度はそれがストレスとなり、動悸、頻脈、胸痛、頭痛、そして全身の痛みやしびれが酷くなった。
正直、「死にたい」と思ったことも何度も何度もあった…
「もう以前の自分には戻れないのではないか」と自分自身に失望し、何度も何度も自分を怖いと感じたりもした。
今、こうして命があるのは、そう感じる時には父の死が浮かび、当時は死ぬ気力も体力もなく、幸いにもそのことが私には救いだったのかもしれないと振り返って思う。
そんな毎日の中、家族や友人、周りの人たちがいるからこそ、自分は生きていられるのだと思い、自分自身にそう言い聞かせていた。
私は生かされているのだと…
それからは、今まで感じたことのない以上に命があることに感謝した。
そして、ベッドから起き上がれることに、疲れてお風呂に入れることに、自分の足で歩けることに、お腹が空いて食べられることに、何よりも普通に日常生活が送れることに、ただただ感謝の日々だった。
ようやく私は自分の心や身体をどれだけ酷使し、感情や身体の異変をどれだけ無視してきたかに気づいたのだ。
そしていつしか、私は自分自身を見失い、周りが自分をどう思っているのか、また周りに対して私はどう在るべきか、どうすべきかということに縛られ行動していた自分に気づいたのだった。
だからといって、簡単にそんな自分を変えられずにいた。
兎に角、私は毎日、今生きていることに感謝しようと思った。そして、すべての人たちやすべての出来事、また心と身体のサインである症状や痛みにも感謝しようと思い、言葉を口に出したり、文章にしようとした。
私がそんな風に思えるようになったのは、少し体調が良いときに読んだある本がキッカケだった。
それからは、痛みやしびれ、動悸などの症状の中、泣きながらも「ありがとうございます」と言葉に出している私がいた。
そして、覚えている範囲でこのうつ病の記録を書き始めたのだ。
ここまで綴ってきたが、正直一番のどん底の状態から、ある程度ベッドから起きたり、食事を摂れるようになるまでの過程と期間は思い出せない。
だから、記録も抜けている。
一体、どのようにしていたのか…
兎に角、ただ毎日来る日も来る日もベッドの上で様々な症状に耐え、ときには頓服薬を飲んでいた。
〈様々な症状〉
・割れるような頭痛・動悸・息切れ・呼吸困難・頻脈・胸痛・手足のしびれ・全身の痛み・リンパ節の張れ・目の周囲のもやもや感・不眠・寝汗・腹痛・注意散漫・物忘れ・倦怠感・食欲不振・耳鳴り・めまい など
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