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男の傷は男で

男の傷は男で癒そう。

この世界の鉄則です。

特定の男から受けた傷は、現実的には他の男が現れるまで癒えることなどない。
どれほど仕事をしようが、旅にでようが、ひとりで過ごす夜の寂しさからは抜け出せない。

だから、ひたすら抱きしめてくれる男か、ひたすらキスしてくれる男か、前の男より数倍セックスのうまい男と寝るしかない。
たった一夜のアバンチュールで、前の男なんて忘れられてしまうのが、女の上書き保存システムなんだと思う。便利だな。

ただし危険なのは、前の男よりも抱きしめてもくれなくて、キスが合わなくて、セックスが下手な男を選んでしまったときだ。
傷がいえるどころか、あの人はあぁだったこうだったと、永遠に比べて、頭の中ですべてのあんなことやこんなことを再放送することになる。
悪夢だ。

ちょうどいい男と出会うのに、現代社会にはアプリというものがある。
間違ってもヤリモクのアプリはやめておこう。
あくまで、気が合って、可愛いい可愛いと言われながら、流れで抱かれるくらいがちょうどいい。
そしてそれ以上もそれ以下も求めてはいけない。

かくいう私は、傷心したその勢いで登録して、2日後には笑顔の可愛い男とアイスでも食べていた。
画期的なシステムに半ば驚きながら、世界が心配になる。
けれど世界を心配するよりも、たった今夜を乗り越えたかった。

男で傷ついたなら、騙されたと思ってアプリを登録してみてほしい。
世の中にはこんなにも飢えた男がいるんだと気づくことができる。
別にその向こうの登録者と会わなくても、なんかいつか誰かと出会うし、まぁいっかと思えたりする。
そうやって、誰でもない男に、男の傷を癒やしてもらえばいい。
そして夜を乗り越えればいい。



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