見出し画像

三姉妹の三女は子供に見えて意外と計算高いんです。

○○:皆〜もうそろそろご飯食べたい?

蓮加:蓮加ね!もうお腹ぺこぺこ!


彩:あやもー!!



○○:じゃあご飯作っちゃいますか!
先みんなお風呂入ってていいよ?

蓮加:やったー!ご飯楽しみっ!!

彩:体綺麗にして待ってますっ!

○○:うん! …あれ、あやめちゃんは?

あやめ:私○○さんのお手伝いしますよ!

そっと僕の左手に手を重ねてくる。

○○:お、おっけー!じゃあ一緒にやろっか!
僕がお肉切るからあやめちゃんは衣付けよろしくね!

急いで手を動かし、料理に専念する。

あやめ:ふふっ…○○さん可愛いですね…
なんでそんなに焦ってるんですか?

○○:い、いや?焦ってなんかないよ!?

あやめ:○○さん…ゆっくり攻めていきますからね?


怪しげな笑顔を見せるあやめちゃん。

つい最近あやめちゃんと家で2人になる事があったのだが

その日以来、あやめちゃんはよく僕に絡むようになった。

どうやら本気で僕の事を落とそうとしているみたいだ。

恋愛経験がゼロに等しい僕はずっと心臓の鼓動が激しい。

お隣さんの大事な娘さんに手を出す訳にはいかない!

しっかり節度をもって彼女たちと接するんだ!

○○:いてっ!

余計な事を考えていたら指を切ってしまった。

あやめ:あっ!○○さん大丈夫ですか!?

あやめちゃんは急いで僕の指を口に含んだ

どうやら血を止めようとしているみたい。

○○:ち、ちょっと!汚いからダメだよ!

あやめ:○○さんに汚いとこなんてないですよ!
それより早く血を止めないとっ!

○○:いやこれくらい絆創膏貼れば大丈夫だよ?

あやめ:あっ、そっか…

○○:ふふっ、あやめちゃんも意外と天然というか
おっちょこちょいな部分あるんだね?

あやめ:は、恥ずかしいですっ… 見ないで……

顔を手で隠し、恥ずかしそうにするあやめちゃん。

○○:あやめちゃんもこんな可愛い所あるなんてね〜?

攻めるのは得意だが、攻められるのは苦手なようだ。

あやめ:も、もうっ!早くご飯にしましょ!
彩ー!お姉ちゃん!ご飯だよー!!

○○:なんか初めてあやめちゃんに勝てた気がするな〜

あやめ:さ、最終的には私が勝ちますからっ!
○○さんを私の虜にしてみせますっ!

そんな会話をしていると、彩ちゃんと蓮加ちゃんもリビングに出てきて夜ご飯の時間。

その時皆が予想もしない発言がある子から飛び出した。


彩:ねぇねぇ、彩ね!好きな人出来たのっ!!


3人とも思わず「えっ!?」と声を上げてしまう。

蓮加:ほ、ほんとっ!?

あやめ:お、同じ学校の子!?

彩:えへへ、秘密っー!!

○○:そっか…彩ちゃんにも好きな人が出来たかぁ…

なぜだか親の気持ちになって見てしまう。

そんな僕の視線に気づいたのか、なぜか彩ちゃんが睨んでくる。


○○:(えっ…僕、彩ちゃんになんかしちゃったかな…)

もしかしたら嫌われたかもという動揺により
この後のお話が全く頭に入ってこない。

い、いや…ただの気のせいかもしれないし…

でも気のせいに感じないくらい圧が来た気がするし…

彩: …さん!○○さん!

○○:へっ?

彩:早くYESかNOか答えてくださいっ!

まずい…
話が分からないせいでどう答えればいいか分からない…

蓮加:ねぇ!○○さん!

あやめ:流石に答えは…

彩:お姉ちゃん達は静かにしててっ!
彩は今○○さんに聞いてるんだからっ!!

流石にNOって答えて喜ぶ質問ではないよな…?

ここはYESが正解なはず…!

で、でももし間違えたらもっと嫌われるかも…

あぁ、どうすれば…

彩:○○さんっ!早く答えてよー!

ここは悩んでてもしょうがないっ!

○○:い、YESで!!

彩:やったぁー!○○さんありがとー!!

蓮加:ちょっと!彩の事甘やかしすぎでしょ!

あやめ:そうですよっ!ずるいです!

○○:えっ?甘やかしすぎ…?

蓮加:まだ蓮加だって行ったことないのに!

あやめ:わ、私も○○さんと行きたかったのにっ!

○○:えーっと…?

分からなかったからもう1回なんて聞ける雰囲気じゃない…

これはしらばっくれなければ…

彩:じゃあ○○さん!明日駅に10時集合でっ!

○○で、出るのは一緒じゃなくてもいいの?

彩:それじゃなんかいつもと同じじゃないですかっ!
特別感が欲しいから別々に出て集合がいいですっ!!

○○:お、おっけー!じゃあ明日ねっ!

彩:はいっ!楽しみにしてますっ!!

いったい明日何をするんだ…?

ご飯を食べ終え、食器を洗っている時も。

お風呂に入っている時も。

ずっと考え続け、気づけば寝れなくなっていた。

○○:まずい…早く寝ないと明日しんどいぞ…

と思いつつも寝れずに、悪循環にハマって…

気づけば外は明るくなっていた。

________________________

彩:おはようございます!○○さん!
なんか元気ないみたいですけど…大丈夫ですか…?

○○: …ううん!めっちゃ元気だよ?
ただ今日が楽しみすぎてあんまり寝れなくてさ…

彩:えっ!
そんなに彩とのデート楽しみにしてくれてたんですか!?

○○:で、デート!?

彩:あれ…?彩昨日ちゃんと言いましたよね?
もしかして聞いてなかったとか…

○○:い、いや聞いてたんだけどね!?
今少し頭が働いてなくてさ…もう1回聞いてもいい?

彩:もうっ!睡眠は大事なんですからねー?

○○:ごめんごめん!

彩ちゃんからの話を整理するとこうだ。

まず彩ちゃんには好きな人が出来て…

その人は大人っぽい女性が好きそう。

だから自分も大人っぽくなりたくて、大人デートの実験台に僕を選んだというわけだ。

彩:じゃあまずお洋服見に行きたいですっ!

○○:そこのショッピングモール行こっか

彩:はいっ!後…なれない靴で歩きにくくて…
○○さんの腕借りてもいいですか?

○○:う、うんいいよ!

彩ちゃんは僕の腕に腕を絡ませ
まるで恋人かのようにくっついてくる。

彩:えへへ…○○さん男らしいですねっ…!

○○:あ、ありがと…

3歳も年下の女の子にドキドキしちゃってるよ…

本当女の子耐性ないんだなと改めて実感させられる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彩:この服どうですか〜?


○○:うん!すっごい可愛くて似合うよ!

彩:じゃあこれとか!


○○:めちゃめちゃ似合ってる!!
なんか妹っぽさがすごく出てて可愛がりたい!

彩: …じゃあこれ!


○○:どれも凄い可愛いし似合ってるよっ!
あっ、せっかくだし全部買うよ!!

彩:どれも可愛いか…

○○:どうしたの?彩ちゃん。

彩: …やっぱお洋服はいいですっ!また今度にします!
早く次の場所いきましょ!

急ぎ足で歩く彩ちゃん。

○○:彩ちゃん、どうしたんだろ…?

_____________________

次に来た場所は映画館だ。

彩:次はこの映画見ましょー!!

彩ちゃんが選んだのは恋愛映画。

確かお兄ちゃんのような存在の人に好きになってもらうために、女の子が色々とアピールをするという映画だったはず……

内容はとても面白いのだが…

眠気から時々頭に入ってこないことが…

でも…彩ちゃんのデート練習なんだから!

しっかりしなければ!!

と思いつつもやはり生理現象には勝てず…

彩:あっ…○○さん寝てる…

後半の盛り上がりがマックスな部分で寝落ちしてしまった

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

○○:ごめん!彩ちゃん!!本当に申し訳ないっ!!

人の目も気にせずに地面に頭を擦り付ける。

彩: …もういいです。帰りましょ…

そりゃ怒るよな…僕のせいで台無しになったんだ…

○○:彩ちゃん!一緒に行きたいところがあって…

彩:もういいですよっ!!

彩ちゃんは泣きながらこちらを見つめてくる。

彩:全部彩が子供なのがいけないんですっ!!
彩が子供だからどんな服着ても"可愛い"って言われるし
彩が子供だから映画一緒に見ても寝ちゃうんですよ!!

だから洋服選んでる時も映画終わった後もあんな悲しそうな顔をしていたのか…

彩:彩が…全部彩がいけないんです…
子供の私になんて魅力がないんですよ…

○○:それは違うよ!!

思わず大きい声を上げてしまい、彩ちゃんはびっくりした表情をしている。

○○:今日彩ちゃんの色んな表情やしぐさを見て
少なくとも僕はもっと彩ちゃんの事が好きになった!

彩:○○さん……

○○:子供とか大人とか関係ない!
そのままの彩ちゃんが1番だよ?

彩:ぐすっ…ぐすっ……

最後にもう1つだけ寄り道させてもらうね?

彩ちゃんの手に自分の手をギュッと絡ませ歩き出す。

_____________________

○○:よし!着いた!

彩:あっ…ここって…カップルに人気の…

ここはカップル大人気で話題のケーキ屋さんだ。

彩:でも彩とじゃ恥ずかしくないですか…?

○○:ううん、彩ちゃんとだから来たいんだ!
それに今はカップルだしね?

彩ちゃんはしっかり恋人繋ぎされた手を見て顔を赤く染めた。

さっそく店内に入ると辺りはカップルで溢れている。

○○:ほらっ、今日は僕のおごりだから沢山食べな?

彩:やったー!じゃあこれとこれが食べたいですっ!

○○:じゃあ僕は違う種類の食べようかな〜

次々とケーキが運ばれてきて彩ちゃんは目を輝かせている

彩:よしっ!いただきますっ!!

小さいお口でおっきく切り分けたケーキを頬張る彩ちゃん

彩:んーうまっ!!これすっごい美味しいですっ!!

○○:ふふっ、やっぱり彩ちゃんはそれが似合うよ。

彩:えっ?

○○:背伸びしない素のままの彩ちゃんが1番ってこと!
ほら、早くケーキ食べないとお兄さんが食べちゃうぞ〜?

彩:だめっ!彩のケーキなんですからっ!!

5.6個は頼んだケーキがあっという間に無くなる。

彩:あー!美味しかったー!
なんか彩の悩みも吹っ飛んじゃいましたっ!!
これも全部○○さんのおかげですかねー?

○○:いやいや、僕なんて映画で寝ちゃったりしたし…

彩:それは本当にショックでした…

○○:ご、ごめん…
出来る限りの事ならなんでもするよ…!!

彩:なんでもですか!?

○○:う、うん……

彩:じゃあ少ししゃがんで目つぶってくださいっ!!

○○:こ、こうかな…?

彩:はい!じゃあ行きますよ?

ビンタでもされるのかと思ったが……

数秒後

柔らかい感触が唇に触れた。
それはとても甘い生クリームの味だった。

○○:あ、あ、彩ちゃん!?

彩:えへへ…○○さんに初めてあげちゃいましたっ!

○○:好きな人にやらないとダメじゃん!?
どうして僕なんかに!?

彩:えーっ…○○さんまだ気づいてないんですか…?

○○:えっ、なにが…?

彩:彩の好きな人は最初から目の前にいたって事ですよ!!これで彩にも勝ち目出来ましたかね?○○さんっ!


彩ちゃんは手で銃を作り"バーン"というジェスチャーをする。

ずっと幼いと思っていた三女はとても計算高く魅力に溢れた子でした。

彩:ほらー!○○さん早く帰りますよー!!

続く……?












この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?