姉が過保護すぎる上に、周りの女の子のアタックがすごいのだが…
「ねぇ、お弁当持った?」
〇〇:うん、持ったよ
「ネクタイとかちゃんと締まってる?」
〇〇:大丈夫だって…
「あと…他には……」
〇〇:大丈夫だからっ!! 行ってくるね!
「あぁ、待って…!」
何か言いたげな姉を無視し、扉をガチャンと閉める
はぁ…本当に姉は過保護すぎて困る…
僕の姉は"乃木坂46"というグループで
キャプテンとして活躍している梅澤美波
仕事で忙しいはずなのに、いつも弁当を作ってくれたり…
他には困ったことがないか定期的に聞いてくるような
優しくて頼れるけどちょっぴり過保護な姉だ。
もう僕も高校二年生になるし
そろそろ姉離れをしっかりしないとな…!
「おっはよー!! 〇〇今日も好きだよー!」
〇〇:う゛っ…いきなり抱きついてくるなよ…咲月…
咲月:いいじゃん!だって好きなんだもんっ!!
〇〇:嘘つけよ…
咲月:ほんとだってばー!
はぁ…いつになったら信じてくれるのかな…
〇〇:信じられるわけないでしょ…
咲月みたいに可愛い子が僕なんかを…
咲月:ち、ちょっと…急にそんな事言われたら照れる…
お互い無言になり気まずい空間が生まれる
〇〇:あ、その…学校始まっちゃうからさ…早く行こ?
咲月:う、うん…
咲月は姉と同じ"乃木坂46"のメンバー
同い年とは思えないくらいの美貌を持ち合わせている
毎日のように僕の事を好きと言ってくれるが、
こんな可愛い子が僕の事を好きなわけが無いと思い
軽くスルーするようにしている。
咲月:ねぇ…〇〇…
〇〇:ん?なに?
咲月:私…本当に〇〇の事……
咲月の声を遮るようにチャイムの鐘が鳴る。
〇〇:やばい!チャイムなった!
次の授業あのだるい先生だから早く行こ!!
〇〇は咲月の手を引っ張り教室まで走る。
咲月:(もう…そういう所だよ…バカ…)
咲月が〇〇を見る表情はまさに恋する乙女だった
______________
一方で姉の様子は…
美波:もー!折角仕事休みなのにっ…
〇〇ともっとイチャイチャしたいよー!!
人形を抱きしめながら、〇〇への思いを叫ぶ美波。
美波:早く帰ってきてよ〇〇ぅ……
そんな美波に追い打ちをかけるように一通のメールが来る
美波:はっ! 昼休みに〇〇と会う!?
ちょ、ちょっと!そんなの絶対許さない!
急いでメールを返す美波
だが既読はつかない。
美波:もう…私の〇〇が取られちゃうよぉ…
早く帰ってきて愛しの〇〇ー!!
______________
お昼のチャイムが鳴り、一斉に教室がガヤガヤし出す。
咲月:はぁーやっとお昼の時間だよ…
もう勉強したくないよぉ…
机に突っ伏す咲月
〇〇:咲月ってさ、すごい頭良さそうに見えるのに…
…いややっぱなんでもない
咲月:ねぇ!なんて言おうとしたの!?
〇〇:普通に咲月は綺麗だよねって言おうとしただけだよ
咲月:えっ! ほんと!?
じゃあさ、私のどこ…どのパーツが綺麗!?
咲月は前のめりになり、〇〇に顔をグッと近づけた
〇〇:ち、ちょっと…顔近いよ……
咲月:あ…ごめんっ……
朝みたいに気まずい雰囲気になりそうになったが
良いのか悪いのか分からないタイミングで乱入者が来る。
「〇〇!ご飯一緒に食べようよっ!!」
お得意のアイドルスマイルを見せるのは
一つ上の学年で姉と同じ3期生として活動している
"れんたん"さん だ。
"れんたん"と呼ばないと怒られるためこういう呼び方をしている
咲月:ちょっと!蓮加さん!
今私が〇〇と喋ってたんですけど!
蓮加さんは好きですけど……邪魔しないで貰えますか!?
蓮加:後輩の癖にうるさいなぁ…
〇〇は蓮加の彼氏なんだから、蓮加が1番優先なのっ!
咲月:〇〇は蓮加さんの彼氏じゃありませんからっ!!
将来の私の夫です!!
蓮加:違うもんっ!
〇〇と結婚するのは蓮加だからっ!!
2人はお互いを睨み合っている
あーあ…
こんな事僕の周りでされると…
周りをチラッと見ると
男子達の視線から負の感情を感じた。
やっぱりそうなりますよね……
はぁ…なんか居心地悪いし早退しよ
れんたんさんと咲月は……
気づいてないし放置でいっか。
〇〇は2人に気づかれないように
そっと雰囲気の悪くなった教室を出た
___________________
〇〇:はぁ…あの二人の事は嫌いじゃないんだけど…
好きって感情を持つ事が出来ないんだよな…
あの一件があって以来…
〇〇は過去のトラウマのせいで
簡単に好きという感情が持てなくなっていた
〇〇:あーあ。疲れたしもう昼寝しよ…。
玄関のドアを勢いよく開け、家の中に入ろうとしたら…
〇〇:うわっ!!何してんの姉ちゃん!?
泣きながら死んだように突っ立っている美波の姿が
美波:うわぁぁぁん…
寂しすぎて遂に〇〇の幻覚が見えるようになっちゃったぁ…
抱きついて来ようとする姉を必死に止める
〇〇:ちょ、幻覚じゃないっつうの!!
美波:えっ、本物の〇〇…?
帰ってくるの早すぎない? もしかして…
少し姉の表情が強ばる
普段は優しいのだが礼儀やルール・マナーに対してはとても厳しい
怒られるのか と思い身構えていると
美波:私に会いたくて早く帰ってきちゃったんだー!
先程よりも早いスピードでこちらに迫ってきた
当然予想もしてない為、避けられず押し倒されてしまう
〇〇:は、離れろよ姉ちゃんっ!!
美波:無理っ!最近疲れてて〇〇補給しないと死ぬっ!
ギューっと更に力強く抱きしめる美波
〇〇:ちょっと!! 誰か助けてっ!!
「言う事を聞くなら助けてやろう」
鍵は閉めたはずだし、侵入できる場所もない
だがなぜか真後ろから「助けてやる」という声が……
〇〇:なんでもするから!!
早く姉ちゃんを引き剥がしてくれっ!
「了解っ!!」
〇〇は先程よりハッキリと聞こえた声で
ようやく正体が誰なのか理解した
〇〇:"れんたん"さん!? なんでここに…
蓮加:まぁまぁ!とりあえず梅を剥がそっか!
そういうと"れんたん"さんは
僕達の写真を何枚も撮り始めた。
美波:はっ…! 蓮加なんでここにいるのっ!?
蓮加:それは置いといて…
梅、早く〇〇の事解放しないとこの写真後輩に見せるよ?
蓮加はハッキリと2人が写った写真を突きつける
美波:べ、別にそんなのっ…
蓮加:じゃあ今外に咲月いるし見せちゃおっか!
キャプテンのだらしない姿知ったらどう思うかなぁ〜?
美波:わ、分かった…! お願いだから後輩にはっ…!
蓮加:ふっふーん!分かればよろしい!
美波は〇〇から渋々離れた
〇〇:ありがとうございます…"れんたん"さん…
それにしてもなんで家に入れたんですか?
蓮加:ん?だって合鍵持ってるし!
蓮加はチャランチャランと音を鳴らし、鍵をアピールする
〇〇:な、なんで合鍵なんて!?
もしかして姉ちゃん?
美波:わ、私も合鍵なんて渡してないよっ!!
〇〇:えっ!? じゃあそれどうやって作ったんですか!!
蓮加:まぁまぁ!細かい事は気にしないのっ!
それよりさ? 〇〇さっき自分がいった言葉覚えてる?
〇〇: ……いやぁなんの事だったかなぁ、、
蓮加:忘れたとは言わさないよ!
なんでも言う事聞くって言ったよね!?
大人しく蓮加とイチャイチャしろーっ!!
〇〇:ちょっと!これじゃあさっきと変わらな…
美波:蓮加ずるいっ!
私も〇〇とイチャイチャしたいもんっ!!
2人が物凄い勢いで僕の事を押さえつけてくる。
〇〇:ちょっとぉー! 本当にやめてくれー!!
咲月:どうしたの〇〇っ!!
えっ…一体どういう状況っ…!?
〇〇の悲鳴を聞きつけた咲月も家に侵入してくる
〇〇:さ、咲月…ちょうどいい所に…
咲月:先輩達ばっかずるいですっ!!
わ…私も〇〇とイチャイチャしたいもんっ!!!
2人に加えて咲月も参加してきてカオスな状態に…
〇〇:もう勘弁してくれぇぇーっ……
_____________
「〇〇…随分と楽しそうにしてるね。私という者がいながら」
「誰が"彼女"が改めてちゃんと分からせてあげないとね?」
陰で〇〇達を覗いていた不気味な人影は
不敵な笑みを浮かべながら去っていった。
続くかもしれない………
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