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クトゥルフ神話TRPGにおける、魅力的なNPCとは

はじめに

 クトゥルフ神話TRPGには、必ずと言っていいほどNPCが存在します。名有りのNPCが数十人も存在する大規模なシナリオもあります。
 NPCはシナリオを彩り、盛りあげる役割を果たします。NPCが魅力的なら、キーパーとしてロールプレイを楽しめ、プレイヤーはNPCを含めてシナリオを好きになってもらえるでしょう。
 筆者は3本のシナリオを執筆し、どれもNPCにはこだわりました。
 この記事では筆者が考える魅力的なNPCについて語ります。なお、用語は”新クトゥルフ神話TRPG ルールブック”に併せたものとなっております。ご了承ください。

ステレオタイプなNPCは馴染みやすい

「高飛車なお嬢様」、「良い奴だけど、どこか頼りない依頼人」、「ぶっきらぼうに見えて面倒見の良いヤンキー」など、ステレオタイプなNPCは馴染みやすいです。
 ステレオタイプなNPCだと、「あの高飛車お嬢様!」と言うように、プレイヤーになんとなく覚えてもらえます。キーパーも「オーホッホ、わたくしに掛かればこんなこと、朝飯前ですわ」と、ロールプレイをそれっぽく行えます。
 クトゥルフ神話TRPGは情報量が多くなりがちなシステムなので、覚えやすさは大切です。

NPCに呪いをかける

 クトゥルフ神話TRPGは、秘密、神秘、そして恐怖に満ちたゲームです。ステレオタイプなNPCを登場させて、ロールプレイするだけでは物足りません。そこで、NPCに呪いをかけましょう。
「周りの人に笑顔を振りまく、優しくて笑顔なAPP90のお姉さん」という一見完璧そうなNPCに、「人から嫌われるのを嫌悪している。だからみんなの理想の存在を演じる」という呪いをかけましょう。
 NPCにかけられた呪いは、クトゥルフ神話的事象で、”狂気”という形で現すことができるのです。
 また、探索者がNPCに介入することで、呪いを解くチャンスもあります。
 NPCに呪いをかけると、クトゥルフ神話TRPGとして、シナリオの深みが増し、ドラマチックな展開を楽しめます。

味方NPCは友好的に

 探索者の味方となるNPCは、探索者に友好的に接したほうがいいです。
 NPCが友好的だと、探索者もNPCに友好的になり、協力しやすくなります。
 シナリオ想定が探索者の味方NPCなのに喧嘩腰だと、プレイヤーは「あいつはウザいし放っておこう」という気持ちになるかも知れません。こうなると、プレイヤー・キーパー・作者、どの視点からしても嫌な気持ちになってしまいます。
 お互いにフレンドリーな関係を目指しましょう。

ほどよく探索者のサポートをする

 味方NPCは、探索者のお株を奪わない程度にほどよく探索者のサポートをしましょう。
 断片的な情報提供、交渉のサポート、敵の陽動、治療など、部分的に役立つ程度におさめておきましょう。
 また、1人のNPCが全部の情報やサポートを行ってしまうと万能感が出るので、NPC役割は散りばめましょう。

救われるべきヒロインをメンヘラにしない

 ヒロインポジを救うシナリオの場合、ヒロインをメンヘラにするべきではありません。
「私なんて生きている価値がないし、このまま死んだほうがいいんだ」とか言われると、人によっては「こいつウザいし放っておこうぜ」と思ってしまいます。プレイヤーの“救いたい”という気持ちが失せてしまいます。
 また、探索者と関わりの少ないぽっと出てきたヒロインに、助けを求められても、どうでもいいと感じるプレイヤーもいるでしょう。
 救われるべきヒロインは、探索者にとって大切な存在でかつ、ちゃんと「私を助けて!」と主張しましょう。

黒幕はおぞましく

 黒幕の野望を打ち砕くシナリオの場合、黒幕の企てを止める必要性を出しましょう。

 悪いパターンを挙げます。「生活が貧困していて、生活水準を上げるために神話的事象に手を染めようとしている」黒幕が居るとします。その場合、社会保障を勧める、お金を渡すなどの方法でも解決します。
 黒幕に悲しい過去があり、常識的な範囲内で解決可能ならば、「これは社会が悪いし戦う必要はなくない?」と感じるプレイヤーもいます。クトゥルフ神話TRPGとしての面白さが薄れ、倫理観ゲームになってしまいます。

 黒幕に悲しい過去や正当性は多少ならあってもいいです。それはそうとして、黒幕の企ては人類悪で、排除すべき存在にしましょう。
 クトゥルフ神話TRPGのおいて、対立構造はシンプルなものが良いです。

能力値、技能値を設定する

 シナリオで重要な役割を持つNPCに、能力値や技能値を設定しましょう。そこからキーパーはNPCの人物像を読み解けます。
〈芸術/製作(料理)〉を40%持つ探索者がいるとして、能力値によってどんな料理が得意か想像できます。高INT低EDUなら、「感覚で料理を作ることは得意だけど、レシピは見ない」。高EDU低INTなら、「レシピをたくさん知っているが、レシピが無いと料理をうまく作れない」、高STRなら、「重い中華鍋を使った豪快な料理が得意」というように想像できます。
 キーパーはデータを読み解くことで、状況に応じたNPCのロールプレイや、探索者のサポートが行なえます。データも立派な個性です。

おわりに

 NPCのバックボーンをしっかり設定して、それぞれの立ち位置を明確にすると、シナリオは魅力的になります。
 ちょうどいい塩梅のNPCを創造するのは難しいですが、うまくできるとシナリオは楽しくなります。
 筆者の最新作『わすれゆき』ではNPCの設定を試行錯誤しました。興味がある人は無料公開なので、ぜひとも下記のリンクからシナリオを読んで下さい。

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