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クトゥルフ神話TRPGで、様々な技能が活躍するシナリオを創るためには

はじめに

 クトゥルフ神話TRPGには、様々な技能が存在します。
 シナリオを執筆する際に、技能の扱いに悩むこともあるでしょう。技能を上手く盛り込むにはどうすればいいのか、考えてみました。
 あくまで筆者であるあやさんの考えであり、これが絶対というわけではありません。ご了承ください。

技能ロールの失敗で、詰まないようにする

 技能に失敗しても、シナリオを進めるための情報は入手可能としましょう。
 重要な情報を探すためのダイス・ロールで「失敗したから、なにも見つからなかった」と処理すると、シナリオが停滞します。失敗の処理を考えましょう。
 探索者全員が〈目星〉を失敗したとき「強引に手がかりを探してしまい、部屋の物を壊して家主に怒られてしまった」というように、「情報は入手できたが、ハプニングが起こった」といった失敗の演出をしましょう。
 7版ルールブック190ページの「ダイス・ルール」や199ページの「明解な手がかり」と「難解な手がかり」が参考になります。

〈目星〉と〈聞き耳〉を乱用しない

〈目星〉と〈聞き耳〉を使いすぎると、探索のテンポが悪くなります。部屋に入るたびにキーパーから〈目星〉〈聞き耳〉を求められるとプレイヤーは「またかよ」と思ってしまい、作業感が増します。机の上に置いてあるメモの裏や、扉の先の音は技能なしで聞こえていいです。
〈目星〉〈聞き耳〉が全員失敗した際に情報が入手できないとすると、シナリオが停滞します。「技能の失敗で、詰まないようにする」の項目を参考にし、シナリオを進めるための情報は必ず提示しましょう。
 ほかの技能と同様、〈目星〉と〈聞き耳〉は緊張感があり、盛り上がるタイミングで求めましょう。 

シナリオを深掘りするために技能を求める

 学問や知識に関する技能を求めると、シナリオを深掘りできます。
 探索者が古めかしい鏡を見つけたときに、〈オカルト〉〈人類学〉〈歴史〉のいずれかに成功すれば、「この鏡は、退魔の魔術師が使っていた、もののけを封じ込める鏡だと言い伝えられている」というように、背景が分かる情報を提示しましょう。
 そうすれば、シナリオからキーパーに分かりやすく背景情報を伝えられますし、プレイヤーは基本成功率が低い技能を成功させることにより、達成感が味わえます。
 上記の例のように、情報を知るための技能の種類をいくつか提示すると、探索者が技能ロールに成功する可能性が上がっていいです。
 また、「EDUかINTロール、および知識に関する技能の成功」というように、誰もが高い値で持っている能力値ロールと、技能ロールを同列の難易度で求めないほうがいいです。基本成功率が低い技能を取得したありがたみが薄れるからです。この例では、「イクストリームのEDUかレギュラーの知識に関する技能の成功」というように、能力値ロールの難易度を高めに設定しましょう。
 さらに、Googleで検索したらすぐに出てくるレベルの情報は、技能ロールなしで提示しましょう。肩透かしを食らってしまうからです。
 シナリオ作者が想像力を膨らまし、魅力的なシナリオ背景を作ってください。

ものづくりのために技能を求める

 探索者がシナリオの真相を知り、事件解決のために作戦を立てる際、有益な道具を作るために技能を求めると盛り上がります。
〈機械修理〉で道具の改造、〈科学(薬品)〉で強力な薬品など、探索者の作戦や特技にあわせて技能を使っていくと準備が楽しくなります。
 道具を作る際に、テクノロジーや専門知識について議論しすぎないように気をつけましょう。リアルの知識が詳しい人が有利になり、それ以外の人はおいてけぼりになるからです。「リアルでこういった薬品があり、こう調合すればいい」というのではなく「〈科学(薬学)〉に成功したから、探索者の知識で強力な薬品を作った」とすればいいです。
 プレイヤー知識ではなく、探索者として物事を知っていて、実行できるかどうかを判断するのが技能です。

様々なアプローチが取れる

 様々なアプローチが取れると、探索者の技能にあわせて作戦を考えられるので楽しいです。
 3メートルの塀に囲まれ、入口に門番がいる施設の中に侵入する場合、〈変装〉で関係者になりすます、〈登攀〉で塀をよじ登る、離れた場所で騒ぎを起こしたあとに、〈隠密〉でこっそり施設に侵入するなど作戦によって、使う技能は変わります。戦闘が得意ならば、門番を倒すのもありでしょう。
 様々なアプローチが取れるシナリオにすると、セッションごとに展開が変わるのでキーパーも新鮮な気持ちで楽しめます。

技能で危機的な状況を打破する

 生死を分かつ危機的な状況を打破するために、技能を求めると盛り上がります。ダイス・ロールの醍醐味ともいえます。
〈運転(自動車)〉による脱出劇、〈登攀〉で崖をよじ登っていくなど、乗り物やアクションに関する技能を求めると、危機感が伝わりやすく、技能に成功したときの達成感を味わえるのでオススメです。
 クライマックスは、技能やダイス・ロールによるワクワクドキドキを楽しみましょう。

おわりに

 クトゥルフ神話TRPGには様々な技能があるので、シナリオのトーンにあわせて技能を盛り込んでいきましょう。
 ルールブックの技能のページを見ていると、意外な発見があって面白いです。
 筆者はBOOTHにて、様々な技能が活躍するシナリオを創っています。無料配布なので興味があればダウンロードしてください。


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