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より、cooperative game へ。(その1)

株式会社アソビジでは、「それぞれにとって居心地のよい世界をつくる」ための事業の1つとして、cooperative game(協同ゲーム)を販売しています。(具体的な商品はこちらからどうぞ)

居心地のよい世界をつくるためには、まずはみんなでたくさん遊んで、互いを知って、安心して過ごせる環境をつくれたら、と考えています。
そういう環境を「学校」でもつくるためにも、「教室」をゲームがたくさん置かれるようにすべく、「対話をしたり、協力したりすると、より楽しくなったり、ゴールに行き着けたりするゲーム」を、つくったり、輸入したりしています。

弊社で初めてつくったカードゲームが「シャベリカ」であれば、
初めてつくったボードゲームが「オニミチ」。
すでに、どちらも販売を開始してから10年以上経っていますが、
今回、少しだけ視点を変えて、ユニバーサルデザインになるように、
手を加えてみることにしました。

正直言うと、数を多くはつくれません。
でも、いろんな人と楽しんでもらうためにつくったゲームが、「壁」があって届かない人たちがいるというのは情けないことでもあるので、できる限りのことはやってみたい、という気持ちで準備を始めることにしました。

最初に私が課題感を持ったのは、「色」のことです。
とある企業で「オニミチ」をつかって研修をさせていただいていた時に
「いやー、これ、僕にはしんどいや。色盲だから色の違いが分からない!」とおっしゃった方がいました。

私は、反射的に、
「わー!ごめんなさい。確かに色が分かりづらいですよね。すみません。隣りにいる方に助けてもらいながら参加していただけますか。」
と答えました。

そもそも、「オニミチ」は協同ゲームなので、ゲームに参加している人たちに助けてもらうのは自然なことです。
でも。

でも。」なのです。

次に感じた「でも。」は、特別支援学校の教員免許を取得するために、改めて学び始めてからでした。
盲児・弱視児のための学びには、手で触り、体験し、感じて、「触察」していくことが重要であることを学び、自分が、「目が見える」というだけで、どれだけ「触ること」が足りないまま生きてきたか、ということを考えさせられました。

そして、誰にでも「教室」で遊んでほしい、と思ってつくったボードゲームが、盲児・弱視児にとっては、遊びづらいものであることを認めるしかありませんでした。

ならば、より多くの人たちに遊んでもらえるように、
仕様を変えたものをつくればよいだけのこと。

ということで、具体的にどのようにしたら目が見えない人も楽しむことができる仕様にできるのだろうかと調べていたところ、大阪にある、「日本ライトハウス情報文化センター」の存在を知り、直接相談に伺えることになりました。

担当者の方は、大変丁寧に色々と見本を見せながら説明をしてくださりました。私がそこでハッとしたことは、
・絶対的なルールがあるわけではなく、「伝わること」が大事
・目が見える人も一緒に「楽しめる」ということも大事
ということでした。

色盲の方には見えづらいデザインであることについて相談した際には、
色盲については、本当に人によって見え方が違うので、色盲の人全員に合わせようとすると、この素敵なデザインが壊れてしまうと思います。それよりは、このデザインを残したまま楽しめるようにする方が良いのではないでしょうか。
と言われ、ほほぉ…。となりました。

全盲の方のための仕様も、点字にはもちろんルールはあるけれども、例えば、「”このゲームでは”天地が分かるように右上が削ってある、など、独自のルールで、その時々にきちんと分かるのであれば十分」ということでした。そう考えると、できることもたくさん思いつき、工夫していくことを想像して、わくわくしてきました。

見本などを見せてもらって、一番納得したのは、薄い透明のシールが貼ってあるだけで、その小さな段差を触って「違い」や「枠」や「強調」が伝わることや、鳥の形に切られたフェルトがページに貼ってあるだけで、絵本の内容がより楽しめることなどでした。

「これなら、私にもできるかも。」と、情報文化センターでは点字器や透明のシール(タックペーパー)を購入し、センターを出てすぐには、色とりどりのフェルトをアマゾンで購入し、コツコツと作り始めることにしたのでした。

つづく。


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