「光る君へ」を見て、『源氏物語』を読みたくなった方へ

そんな人はいないかもしれないけど。

「光る君へ」には、山程『源氏物語』『枕草子』『大鏡』などのパロディ(と言って良いのかな?)が埋め込まれているので、とりあえず『源氏物語』を読むとだいぶ分かるようになります。
とはいえ、「とりあえず」読む分量じゃないんですよ。全部通しで読もうとすると、『指輪物語』全巻とか、『ハリー・ポッター』全7巻とかに匹敵する分量と人間関係の複雑さがあります。

『源氏物語』のストーリーは全く好きじゃないのです。だって、幸せそうな人がひとりも出てきません。でも、ドロドロの政治と恋愛の人間関係と、美しい自然描写、掛詞を駆使した場面にぴったりの和歌、これが溶けあった文章は、やはりすごいです。私が言うまでもないことですが。
(ちなみに、好きな日本古典文学作品を挙げよと言われたら、『うつほ物語』敏蔭巻です。後半はあんまり好きじゃないですけど、敏蔭巻だけわくわくする冒険ファンタジーです。)

というわけで、いきなり原文は難しくとも、ぜひとも教科書に載る「犬君が雀の子を逃がしつる」のその後も読んでほしい!
というわけで、独断と偏見で紹介します。

漫画

『まろ、ん?』
源氏物語54帖の1帖をひとつの4コマ漫画で描いた本。1冊で済みますけど、原作に忠実で重要な場面は網羅していて、侮れません。とりあえずあらすじを抑えたいならこれ。

『あさきゆめみし』
定番。ただし、少女漫画の絵柄なので私には登場人物全部同じ顔に見えます。(私の漫画リテラシーの不足……。)

現代語訳

これもいろいろあるのですが……。
個人的に角田光代訳か萩原規子訳がおすすめ。児童書の作家さんですから、分かりやすいです。
このうち、萩原規子訳は物語を登場人物別に再編してあります。登場人物がめちゃくちゃ多いので、分かりやすくするための配慮です。原作の順番で読みたいなら、角田光代訳ですね。
与謝野晶子訳なども有名ですが、戦前の文章なので、現代語訳とはいえ古い文体なんですよね……。読みやすさという点では新しいものが良いと思います。

原文

原文で物語を読むなら、新潮古典集成シリーズがおすすめ。分かりづらい部分の訳が原文の横にあるので、カンニングしながら原文を読んだ気持ちになれます。1冊ずつ小さめで持ち歩きもしやすいですが、ハードカバーで高いので図書館推奨です。

注釈書としては新編日本古典文学全集(小学館)が良い本ですが、全訳が下段に別でついているので、ついつい現代語訳を読んじゃいます。(そして、正確だけど美しい現代語訳ではない。)

ひとまず以上です。
走る走るわづかに見つつ、とハマる人が増えますように。

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