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フランスから、食関連ニュース 2019.12.03

フランスにおける旬でコアな食関連のニュースを、週刊でお届けします。

1. 今週の一言

リトアニア発の中古アパレルマーケットのインターネット・プラットホームで2008年に創立された「Vinted」は、今やイギリス、アメリカ、ドイツ、スペイン、そしてフランスなど10カ国でサービスを展開。ブラック・フライデー前の調査で、1億3千ユーロ(150億円以上)もの売上を達成していることが明らかになり、話題となっています。フランスのユーザーが顕著で、2100万人のユーザーのうち、800万人がフランス人ということ。2018年から遡って10年前と比べると、2009年はフランス人の25%が中古で洋服を買っていたのに対して、今はなんと半分近くの48%にも上っています。モードの世界においても、消費体系が明らかに変わってきたという証拠でしょう。以前からフランス人は流行に流されることなく、吟味して買い物をする、ヴィンテージが好き、というイメージがありましたが、それを凌駕しています。アンヌ・イダルゴパリ市長も、地球に優しいモードを推奨しており、循環するプロジェクトを推進するスタートアップ企業の伸長が目覚ましい今日この頃。若いクリエーターが育たなくなると嘆く、批判する人々もいるようですが、それは、かえって古い考えであり、杞憂ではないかと思います。余談ですが、何故か見事にそのアクターたちは女性ばかり。ハギレ、あるいは、古着のリメイク、廃棄物から生み出す洋服のブランドなどと、様々。今やフランスでは、どんな業界においても、エコロジーは人々の共通言語となっている、当然のごとく、食の世界も、それを抜きにしては語れない時代です。折しもCOP25がスペイン・マドリッドで始まったばかり。Nous Anti Gaspiというブルターニュ地方発の食品ロスと戦うスーパーが、パリにオープンしたばかりだったので足を運んできました。当店は6軒目となるそうです。傷のついた、あるいは形の整っていない野菜や果物、小さすぎる卵、賞味期限が近づいている、あるいは少し過ぎてしまった食料品など、通常の小売店では引き取ってくれないような、しかし品質を約束できる商品ばかりが、並んでいました。商品は30%ほど安価で、どれも立派に消費できるものばかり。賢い消費者を育て、生産者を助けることができる、しかも食品ロスを削減できる一端となれるという、これから、広がっていきそうなビジネスだと感じました。衝撃だったのは、店の棚が商品でいっぱいではないということです。通常スーパーなどへ行くと、品物であふれているのが当然で、棚が空になっていると、ネガティブな印象を持つものですが、この店では、それは、品物が回っている証拠、ポジティブな証拠だと誇っています。豊かさを運ぶ、あるいは生む経済の流れが、確実に変わってきている。ものを生み出す、消費するだけの世の中が、そろそろ終わりを告げているのではないかと思う今日この頃です。経済成長、産業革命とともに生まれたミシュラン・ガイドは来年で誕生120年を迎えます。ガストロミーの世界のみに生きる人々は、一種の焦燥感を抱いていることも否めません。

2. 今週のトピックス

【A】ワインボトルのリサイクル、スタートアップ企業に関心が集まる。【B】もと3つ星シェフ、マルク・ヴェイラ✖️ミシュラン・ガイドの公判。結果は12月31日に発表。【C】「Nutri-Score/栄養価スコア」をチェーン大型マーケットなどが積極的に導入。【D】「Elles de France(フランスのエル/彼女)」トロフィーに、料理人ナオエル・デノさん輝く。

3. 今週の日本@フランス、ワールド【A】La LISTE2020 ランキング発表。日本勢4軒、トップ10に食い込む。

2. 今週のトピックス

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