第4回 関西エクストリームウォーク100に参加しました。
いきなりですが、私の100kmウォークデビューは2023年10月開催の『第7回 東京エクストリームウォーク100』でした。
運動経験ゼロで、ちょっと歩く楽しみに目覚めた程度の元インドア人間には無謀に思えたこの大会。
やっとの思いでボロボロになって完歩したにもかかわらず、
それからすっかり”長距離を歩くこと”の楽しさに魅せられてしまったタイプです。
興味の赴くままにさまざまな大会にエントリーしていった結果、
この『第4回 関西エクストリームウォーク100』が100kmウォーカー1年目ラストにあたるイベントとなりました。
偶然にも、エクストリームウォークに始まって終わる1年間。
こんなのトップゴールで有終の美を飾るほかないじゃないですか!
(100kmウォーカー人生そのものが終わるわけではないですけどね。1年目の締めくくりとして。)
結果的に、あと一歩及ばずこの夢は叶いませんでしたが、
総合2位・女性1位と参加者1,033人中の”ほぼ”トップを勝ち取ることができました・・・!
悔しさがまったくないわけではありませんが、
最後まで続いたトップフィニッシャーとの熱いデッドヒートによって思い出深い一戦となり、
今となっては、この結果にも案外満足していたりします。
今回のレポートでは、普段とは一味違った熱意を胸に奮闘してみた100kmウォーカー1年生の行動の軌跡をお届けしたいと思います。
【大会概要】
大会名 :第4回 関西エクストリームウォーク100
開催日 :2024年10月26日(土)~27日(日)
開催地 :兵庫県 / 大阪府
距離 :100km
制限時間:チャレンジクラス26時間・エキスパートクラス24時間
※完歩率 81.3%
姫路城がある『姫路公園東御屋敷跡公園』から大阪城近くの『ツイン21』までの100kmを徒歩で目指します。
『お城からお城まで』というコース設定が魅力的かつわかりやすいですね!
フラットな市街地で歩きやすく、コンビニなどが点在して道中の飲食物の補給にも困りにくいため、初心者の方にもおススメできるコースです。
なお、あくまでもタイムや順位を競うことを目的とした大会ではないため、順位発表や表彰はありません。
(タイム計測と完歩賞の発行はあり)
【今回のウォーク方針】
唯一にして最大のミッションは、先述のとおり『トップでゴールすること』です。
そのため、自己ベストとなるタイムを叩き出すことや観光気分でコースを楽しむこと、それらは一旦気にしないことにしました。
大前提として、私にとってのウォーキング大会は"自分自身との戦い"。
タイムの自己ベストを更新することに内なる喜びを感じても、他人と競い合うことにはむしろ消極的で、
順位を意識して大会に臨んだことはこれまで一度もありませんでした。
今回も、『現在の歩行スキルを確認することの延長線上に"トップを獲る"という目標を据えてみた』感覚が強く、つまり、他者よりも自分自身を見つめるものであることに変わりないのです。
なお、サブ16(16時間を切るタイム)を目指す方が出場することを事前に知っていたため、 私も必然的にそのラインを意識することに。
信号待ちで時間を奪われる都市型コースでのサブ16は、上級者向けの目標です。
序盤から飛ばしすぎても、各CPごとに設定された開門時間より前に到着してしまい余計な待ち時間が生まれるため、
キロ9分ペースで全体進行+各CP休憩10分が基本。
脚の余力を残していき、最終第5CPを出たあとの残り10kmでスパートをかけて追い抜く。
そして、ゴール会場の開門時間(23:30)までに完歩するという流れを想定しました。
コースについては、初参加でまったく土地勘もないため、遠方とはいえ本気なら試歩しておいても良かったかもしれません。
コースマップと試歩した方の投稿を数件読む程度の浅いリサーチでした。
【大会前日】
前々日24日(木)発の夜行バスにて大阪入りし、この日は一日観光に充てました。
行き先は兵庫県丹波市/丹波篠山市。
大阪駅や、前泊予定の姫路駅からは片道約2時間と遠いのですが、個人的に好きなまちで自然とグルメを大満喫してきました。
なるべく公共交通機関を利用したものの、結局約15km歩き回っていました。
大会前日としてはきっと歩きすぎ。
姫路駅前のホテルには、20時頃到着しました。
「あとは翌日の準備を済ませて寝よう」と諸々の充電を始めたところで、Garminの充電ケーブルがないことに気付きます。
もともとホテルで充電する予定だったため、自宅を出る前に充電しておらず、日中も普通にウォークのワークアウトで計測を行っていました。
この時点でのバッテリー残量は『46%』。普通に考えたらさすがに100kmもちません。
9月に同じく前泊した別大会のときもあったんですよね、Garmin関連のトラブル・・・。
知り合いのウォーカーさんとスタート前に合流して充電させていただけることになり、どうにか事なきを得ました。
Garminの充電ケーブルは取り扱いが少なく現地調達が難しいため、忘れてはいけないものの最上位ですね。
遠征時の持ち物を見直さなければと深く反省しました。
普段使いのものと兼用していましたが、今後は「遠征用セット」としてケーブル類をもう1組用意しておこうと思います。
(ただ、バッテリー消費を最大限抑える設定で挑んだところ、37%の消費で済んだことをここに記しておきます。)
【大会当日】
1.スタート前
AM7:00。
気温20℃・曇りとウォーキングに最適な陽気です。
受付後は、お声がけくださった方と少しお話したり、件の方と合流してGarminを充電させていただいたりしました。
(8:00スタートのブロックで参加される方なのに、早い時間に本当にありがとうございました!)
私が出場するAブロックは、7:30~7:48の間で3分おきのウェーブスタート。
順位を最優先としたときに出発が遅れるのは結構な痛手で、充電時間とのバランスは悩みどころでした。
経験上、「60%あれば最後までもつだろう」という判断で、ギリギリまで充電を優先して7:45の組でスタートすることに決めました。
この遅れが、良くも悪くも先の展開に影響していきます。
ここからどのように巻き返していくのか。
いざ、スタートです。
2.第1CP 鶴林寺公園(17km)まで[区間ペース:6.6km/h]
この区間の当初計画では、第1または第2ウェーブで出発し、CPの開門時間(10:00)に合わせて到着するつもりでした。
遅れ分を考慮すると、信号で止まりながらもキロ8分切りのペースで進む必要があり、私にそれはおそらく不可能。
無理しすぎない程度に挽回のターンとすることにしました。
先に出発した約240人をじわじわと追い抜きながら進みます。
直近の2大会で最終ウェーブや最後尾からの追い上げを経験したことである程度自信はあったものの、やはり精神的に疲れますね。
この区間、いわゆる見どころは少なかったとはいえ、写真を撮る精神的な余裕がありませんでした。
…あ、加古川と播州大橋だけは押さえました。橋好きウォーカーなので。
10:12 第1CP 鶴林寺公園(17km)到着
トップウォーカーさんの姿は見えないままですが、この時点で2番目まで追い上げました。数分後に2名到着。
給食のハモカレーをいただきます。
エクストリームウォークでは珍しく、地元のグルメが楽しめるのも本大会の魅力ですね。
約5分滞在し、後続の2名とほぼ同時に出発しました。
まだまだここから。追い上げ再開です。
3.第2CP 上ケ池公園(36km)まで[区間ペース:7.5km/h]
引き続き信号で足止めを食らいますが、追い抜く必要がなくなったことで気分もいくらか晴れました。
テンポよく後続との差を作っていきます。
26-33km区間の約7kmは海岸沿いを歩きます。
信号で止まらない貴重なボーナスタイム、7:30/km前後で進みました。
東京コースよりも海岸線から距離があり、『茅ヶ崎サザンC』のような定番フォトスポットもないため、やや単調で盛り上がりに欠ける気はします。
でも、歩きやすいのはありがたいことです。
海岸沿いを抜けて市街地に戻ると、鉢合わせた誘導員の方から
「誘導員は持ち回りで移動しているので、もしかしたら次のポイントには間に合わないかも。今から急いで移動します!」
という旨のアナウンスが。
約34km地点を12:30頃に通過した私、ちなみに第2CPの開門時間も12:30。
このペースで運営側の想定ギリギリだったようです。
この先誘導員はいたりいなかったりで、Googleマップの確認頻度を増やして対処しました。
ようやくトップウォーカーさんの後ろ姿も視認。
無理に追い抜くときではないため、適度な間隔を保っていき、
12:53 第2CP 上ケ池公園(36km)到着
ほぼ同着のトップウォーカーさんと軽くご挨拶。
先に出発されたので、あえて私は少し間隔を空けようと考え、食事とSNSの実況投稿で約10分滞在しました。
給食の明石焼きと鯛めしをいただきます。
すでに後続とはそれなりに差がついた感覚があり、この調子だと最後までトップウォーカーさんと一騎打ち状態になると予想。
実際にそうなりました。
4.第3CP 妙法寺川左岸公園(56km)まで [区間ペース:6.6km/h]
出発後ほどなくして、走る・自転車やトラックを利用するなどして次のポイントへバタバタと移動する誘導員の姿を見かけました。
一参加者としてはこれはこれで貴重な経験でしたが、同時にとても申し訳なくもあります。
一旦トップとの距離感を掴めたことで、私はようやく精神的な余裕が生まれてきました。
43-55km区間は再び海が見えるエリアで、信号が少なめで歩きやすいです。
ただ、その分コンビニの数も少なく数kmない区間もあります。
約45.5km、明石海峡大橋を間近で見ることができます!
橋長3,911mの世界最大級のつり橋、圧巻ですね。
薄日が差した曇天ですが、対岸にある淡路島のシルエットもしっかりと見えました。
50km時点で15時過ぎ、スタートから約7時間15分経過。
ここまでのペースから「もう少しペースを落とすべきか」と愚考して若干緩め、特に目的なくコンビニに寄るなどしました。クーリッシュおいしい。
※後半の信号地獄に備えて貯金を作っておくのが正解で、後々考えるとあきらかに失敗でした。
開かずの踏切と有名らしい(?)47-48km間の『西天神踏切』では、3-5分ほど足止めを食らいました。
16:04 第3CP 妙法寺川左岸公園(56km)到着
トップと約15分差。
この段階ではまだ「のんびりペースを調整しよう」という考えで、また、スタッフさん方がとても気さくだったこともあり約10分滞在しました。
給食は長田ぼっかけコロッケ&そうめん。
ぼっかけとは、神戸・長田のご当地グルメで牛すじ煮込みのことだそうです。
運動中の身体に甘辛い味付けがたまらない。
他参加者と出会わない孤独な道のりは、なによりも人との交流に元気をいただきますね。
5.第4CP 津門中央公園(80km)まで[区間ペース:6km/h]
第3-第4CPの区間距離は24km。
この先はなかなか長い道のりです。
信号待ちでふとSNSを開くと、トップウォーカーさんの「誘導員の配置を諦めた模様」という悲報が・・・。
「初見コースでこれから夜になるのに、大丈夫だろうか」と不安になりつつも、この2名だけのために特別体制を敷けないのも当然なので、改めてマップ確認を徹底することに。
実際、ときどき私服のスタッフがいたりいなかったりという具合でした。
海岸沿いに若干飽きていたため、神戸の街並みを抜けるのが新鮮に感じ、気分は自然と”気ままな観光ウォーク”にシフトしていきました。
61-62km区間で神戸の元町商店街を通過するあたりや元町の夜景が特に良く、東京コースで言うみなとみらい的な盛り上がりがあるように感じます。
ここから先は信号地獄で、細かい信号の連鎖が増えていきます。
東京コースの国道15号のような感じ。
好調なつもりなのに、実際はどんどん失速している現実に焦り出したのは65kmあたりから。
遅くとも20:30までにCPに着くことを意識し、ペースを上げ気味に歩みを進めました。
20:17 第4CP 津門中央公園(80km)到着
トップの方と約15分差。
給食のうどんを急いでかき込み、約5分で出発します。
6.第5CP 佃ふれあい公園(90km)まで[区間ペース:6.3km/h]
さあ、信号地獄はまだ続きます。
幸い脚には余裕があり、信号に引っ掛からないテンポを意識して進みました。
(どの程度の歩速なら信号をパスできるのか確認したかったのですが、GPSがブレまくりでGarminはアテにならなかったのが残念)
「22:00までに第5CPに到着しないと間に合わない」
その一心で焦ってペースを上げているためか、本来は過ごしやすい気温のはずなのに夜でも暑さを感じてのどが渇きます。
一度コンビニに立ち寄って飲み物と再度クーリッシュを補給。
87km以降は、早くもラストスパートの心持ちで臨みました。
21:58 第5CP 佃ふれあい公園(90km)到着
トップの方と11分差。
過去大会の中で初めてチェックのみで滞在しないという判断し、即出発しました。
給食は塩むすびと味噌汁だったようです。
(後々考えるとエイド食の完食はしておいてもよかったですが、これは事後だから言えること。)
7.ゴール ツイン21(100km)まで[区間ペース:6.6km/h]
出発後すぐに神崎川を越え、
91-92km区間で淀川・淀川大橋を渡ります。
淀川大橋は貴重な信号なし区間、かつ景観が良いのでぐんぐんと脚が進みました。
状況的には相当追い詰められているはずなのに、橋だけは逃すまいと撮りました。ここを犠牲にするのは橋好きウォーカーの信条に反するので・・・(また言ってる)。
東京コースの豊洲大橋から望む景観に似た、高層ビル群の明かりに吸い込まれるような夜景が素晴らしい。
以降は他区間に比べれば楽になるものの、やはり定期的に信号で足止めを食らいます。
相変わらず焦りながらも、都会的な街並みとライトアップされた川沿い、特徴的なデザインの橋が気分を盛り上げてくれました。
トップウォーカーさんに追いつけないことはさすがにもうわかっていましたが、開門時間前ゴールはまだ狙えそうだ。
できるだけのことはやろう、どうなってもいいから。
23:26 ゴール ツイン21(100km)到着
タイム:15時間43分
順位 :総合2位・女性1位
トップの方と4分差、あと一歩力及ばず・・・!
この1年間一緒に頑張ってくれた相棒のちゅんすけにトップゴールの景色を見せてあげられなかったことが残念ですが、 これが今の実力ですね。
第3CP出発時点で25分以上開いていた差をここまで縮めただけでも、善戦したと言えるでしょう。
お疲れさまでした!
こんな時間にゴールしてしまうと、電車が動き出すまでの待ち時間が長すぎます。
東京コースなら終電、または最悪歩いてでも帰れるのですが。
ツイン21内で仮眠・食事・ゴールした方々と会話するなどして過ごし、5:00前に施設を後にしました。
そして、日の出前のライトアップされた大阪城と、川と橋を眺めながらのんびりと歩き、淀屋橋駅から電車で帰路に着きました。
11月にまた大阪を訪れる予定があるので、観光はそのときまでお預けです。
【雑感】
・これだけ最後まで粘りに粘ったのは初めての経験だった。
なりふり構わずに全力を出し切ろうと思った。
これはひとえに「有終の美を飾りたい」思いの強さゆえで、やはりあと一歩の差を作るのは気持ちなのだろう。
・中弛みの失速(故意、気の緩みともに)がなければ終盤焦る必要はなく、トップゴールも叶ったかもしれない。
コースの理解不足、詰めの甘さ、第5CPを過ぎるまではトップになりたくない(追われるよりも追うほうがラク)と考えた事前計画が原因。
再挑戦したらもっとうまくペース配分できるとは思う。
・ときどき誘導員が不在になる中で、初見コースでロストなく歩き通せたことは評価したい。
・関西のほうが一度止まると長い信号が多いのか、東京コースよりも信号にストレスを感じる場面が多かった。
きちんと比較したわけではないが、同意見をしばしば見かけた。
・私の場合、信号待ちはただ待つよりもSNSを眺めたり実況投稿したりする時間に充てるのがストレスなく済む。
・これはトップフィニッシャーのレベルの高さがあってこそ達成できたタイムだと思う。
(16時間台でトップになれるなら、今回はそもそもサブ16を狙う必要すらなかった)
事前計画に沿って終始先頭を維持し続けられた、この方の高い精神力に感服した。
・スタート時間が遅かったぶんタイム的には一応私のほうが速いことになるが、私が先頭だったら同じ結果を出せたかどうかは自信がない。
・苦手な都市型フラットコースでも一定の結果を残せることが証明できてよかった。
今回の結果を踏まえると、コース慣れしたTXW100ではさらに上を目指せそうな気もする。
ただ、少なくともアーリースタートでのタイムアタックはここまでにしないと運営の迷惑になる。
(もし挑戦するならエキスパートでの出場になるが、その前に出発したビギナーズ含む2,000人近く?をぶち抜きは精神的にキツすぎる・・・。)
・Garminの計測結果によると、移動時間は14時間10分とのこと。
コース次第ではサブ15も射程圏内に入ってきたか。
100kmウォーカー1年目の振り返りと2年目の方針は別途まとめるが、2025年上半期のうちにサブ15達成を目指したい。
・完歩後は燃え尽き症候群に陥った気がするも、数日でまた早速100km歩き出したい気持ちになった。我ながらタフだなあ。
100kmウォーカー2年目もやりたいことだらけ。
熱い野望を胸の内に秘め、これからも歩みを止めずに精進したいと思います!
2024.11追記
トップフィニッシャーSさんによる回顧録です。
(回顧録内で本記事をご紹介いただいたので、こちらでもこっそり紹介させていただきます。)
貴重なトップ目線の景色を垣間見ることができ、また、綿密なコース調査に基づいた攻略法が非常に参考になります。