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ディズニークルーズに行ってみた(後編)

キャラクターが身近に

 私は特にディズニーファンというわけではないのですが、日本で住んでいた場所が比較的ディズニーランドに近かったので、子どもが産まれてからは年に数回は行っていたように思います。日本のディズニーランドでのキャラクターとの遭遇はたまにしかなくて、あったとしてもいつも長蛇の列で一緒に写真を撮ったりしたことは皆無でした。ある意味、神のような存在と言っても過言ではない気がします。クルーズ船に乗ってびっくりしたことの一つは、その神のようなキャラクターがとても身近に感じられたこと!日に何度も一緒に撮影する機会があるし、並ぶと言っても10分程度。最終日は皆撮り尽くしたのか、白雪姫との撮影に2人しか並んでいなくて逆に気の毒になりました・・・その他にもショーなどが頻繁にあり、ミッキーやミニーなど人気キャラクターがこれまで見た中で一番至近距離で見られたことが驚きでした。

アメリカ人が熱い!

 バンクーバーから出港するということもあり、カナダ人のお客さんが多いのかなと勝手に思い込んでいましたが、乗ってみるとどうやらアメリカ人が大半を占めていたように思われました。そして、日本のファン同様、皆、ディズニーが大好き。私は子どもの為にという視点でクルーズに乗ったので、大人だけのグループが多いことにもびっくりしたし、彼らが往々にして何度もリピートしているディズニークルーズファンであることや、お揃いのディズニーキャラクターの洋服を着たりして、とても楽しんでいるのが印象的でした。facebookで同じ船に乗る人達が入れるグループが出港前から存在しており、情報交換をしたり、ワクワクする気持ちを共有しているのを見ると、このクルーズ旅行にかけている皆の情熱が伝わってきて、こちらもつられてテンションが上がりました。リピーターの人達は、自分の部屋のドアをマグネットでデコレーションしたり、キャラクターのピンを交換したり、いろんな交流があったようです。私が船内で何人かお話しした人達は皆アメリカから来ており、中にはフライト代を浮かすためにバンクーバーまで15時間ほど運転して来た、と話している方もいました。

ショーのレベルが高すぎる

 日中のアクティビティも盛りだくさんで、特にプールに入っていればご満悦な子どもは何の文句もなく日々船内で過ごしていましたが、私が個人的に楽しみにしていたのが、毎晩ウォルト・ディズニー・シアターで行われるショー。ディズニーらしいミュージカル以外にも、腹話術のショーやマジック・ショー、ピノキオ実写版映画の上映などが行われました。座席などは決まっていないので早めに行って、前の方の席をゲットしていました。ミュージカルは、船の上だからとて一切の妥協をしない、演者もセットも全力投球、という感じの内容。演者の方々は乗船している日中何をしているんだろう、とか色々不思議に感じる部分はありましたが・・・(練習かな?)。腹話術のショーもマジック・ショーも、アメリカらしいジョークをまじえた観客を巻き込む形のとてもダイナミックな内容で楽しめました。アメリカ人って、老若男女、急に指名されたりしても人前で物怖じせずに受け答えができるのがすごいし、そういう明るいノリが大好きです(中にはそうではない人もいるでしょうけども)。マジックはジョン・アームストロングさんによるものでしたが、凄すぎて、彼が出た他のミニ・ショーも全部見に行きました。コメディアン兼マジシャンって凄すぎる才能だと思います。

わかっていたけど、お腹がいっぱいすぎる

 前払いで船内で受けるサービスの代金を払っているので、クルーズ中の飲食はいくらでも基本的に全て無料です(というか既に払っている)。有料のレストランやアルコール等の飲み物もありますが、勿体無いという感覚が先立ち、手を出すことはしませんでした。ちなみにお酒は、缶ビール6缶か、ワイン2本まで持ち込めますが、それもお腹がいっぱいで持ち込んだもののほぼ手をつけずに終わりました。朝ごはんはレストランか、ビュッフェで。昼は基本、ビュッフェ。夜は3つあるレストランの指定の場所でフルコース料理・・・その間に日替わりでフレーバーが変わるアイスクリームや、プール脇のお店で提供されるハンバーガー、ピザ、フルーツ、軽食・・・常にお腹がいっぱいで、お腹が空いたという感覚が失われます。3日目くらいからは全然食べたいと思わなくなりました(笑)。そういう状態であったので、ビュッフェでは、普段は節約生活であまり食べられない魚料理や海老、カニなどを中心に少量ずつ沢山の種類を試せるように選んで食べていました。取ってきたものがあまり好みでなかった時は、少しずつ子どもにも食べさせて、なるべく残さないように頑張りました。なんとなく、周りは余裕で食べているように見えたのですが、お腹いっぱいだったのは私達だけではなかったようで、隣のアメリカ人カップルも、メインをだいぶ残して、ウェイトレスさんに「お腹が本当にいっぱいで・・・今日1日食べることしかしてなかったから・・・」と言い訳しているのも目撃しました。

クルーの勤労に感謝

 私達が乗船したディズニーワンダーにはざっくり、3000人弱のゲストに対して、1000人のクルーが乗船しているようです(他の大きめのディズニークルーズの船にはもっと乗っていると思われます)。毎晩、ディナーの時に担当してくれたサーバーさんはタイと南アフリカ出身。他にもインドネシアやフィリピン、インド、メキシコやブラジル等の国々から集まってきた人がクルーズの運営を支えていました。大体、5ヶ月乗って2ヶ月休むというスケジュールで働いているらしく、船と母国を行ったり来たりしているそうです。そして、それぞれのバックグラウンドに応じた配置場所で働いており、例えばキッズクラブ担当のクルーは保育の経験があると言っていました。
 さすがディズニー、きっちりと教育を施しているんだろうなあと思われ、挨拶や笑顔は勿論、全てのサービスはそんなバラバラの国から集まっていてもしっかりと高いレベルのクオリティで統一されて提供されており、滞在中、サービスに関して不愉快だと思う瞬間が一度もなく過ごせました。1人一日14.5米ドルというチップを有無を言わさず支払わされるシステムなので、最終的には日本円で5万円以上のチップを払ったのですが、クルーの頑張りを見ていると、妙に納得感のあるチップでした。
 年代は20代から上は50代くらいまで様々いるように見えましたが、1000人が5ヶ月同じ船に乗っていれば良い友達もできるだろうし、観光地では下船して観光できる時もあるようだし、毎日が楽しいだろうなあと想像。事実、唯一、日本人のクルーとして乗船していたショップの店員さんと話すと、とても楽しいとおっしゃっていました。あるクルーは、自国で働くよりも、宿と食事が提供されるのでお金が貯まりやすいと言っていました。職場までの通勤時間がゼロなのも、おそらく自国では市街地から離れて暮らすクルーにとってはありがたいことなのだと思います。クルーズで働くビザは、たとえば米国内で働くビザよりも取得しやすいらしく、若ければこういった形でワーホリに代わる海外就労経験をするのも良いだろうなあと思います。

まとめ

 やはり、子ども達の中では、この夏行った旅行やキャンプを全て含めても、圧勝する楽しさだったようで、降りる最中も「クルーズの初日に戻りたい」とか、帰宅してからも「また船に乗りたい」など口々に言っています。5歳の息子は、じわじわと楽しかったことが思い出されているようで、「どうしてあの船に乗れたのか」という根本を問うような質問が出てきて笑いました。本当に楽しかったんだと思います。
 ただ、あの生活をずっと続けると身体を壊す気がするし、甘やかされすぎて人間がダメになるような気がします。あと、食べ物を無駄にしないというような基本的なことが子どもに伝わらないと思いました。意図してそうなっているのではないと思う一方、クルーの人達のことを知れば知るほど、アメリカ人を主とするお金持ちの欧米人の快楽を途上国の若者が労働で支えているような図式が嫌でも浮かび上がってくるのも、ちょっと嫌だなと思いました。
 また、いくらクルーズでも大人1人で子どもを3人連れて乗り込んでいるのはおそらく私くらいだったのではないでしょうか。甘いものの食べ過ぎなのか、時にハイパーテンションになって手がつけられなくなる子ども達の制御を1人で行うのは結構大変でした。これは母子留学中につき、普段と特に変わらない点ではありますが。せっかくのクルーズ旅行で、料理や家事をしなくて良くても、育児からは免除されないんだな・・・とため息をつきたくなる気持ちになったことも一度や二度ではありません。
 また行きたいか?と言われると、行きたい気持ちもありますが、こんな贅沢をさせてもらったのでしばらくはいいかな、というのと、今度行くなら胃袋を労わるためにももう少し短い日程で十分だなという気がしています。



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