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まだまだこれから



目が覚めて、携帯の画面で時間を確認して、また目を瞑るのを8回ぐらい繰り返したと思う。
とにかく気分と体がようやく回復して、そろそろ起きてやるかという気になったのは夜になってからだった。
喉が渇いていたから、水を飲んだけれど甘いものを口にしたくて冷蔵庫から梨を取り出した。
調子がいい時にりんごを買ってきて、結局腐らせた前科があるのでまた無駄にしてしまうかもしれないと懸念していたけれど、ちゃんと私の胃袋の中に収まった。

キャバクラで働いていることも、うつ病を患っていることもnoteで大暴露したのでもうなんでも書ける。
全部を書き出したからか、不思議と今少しスッキリしている。
梨を剥くことなんて、少し前の自分なら出来なかった。お腹が空かなかったし、空いても面倒臭いが勝つと食欲のほうが負けた。冷蔵庫を開けるのがめんどくさい、包丁とまな板を用意するのが面倒臭い、切るのがめんどくさい。
あ〜もういっか食べなくて。
そうやって様々な食品を腐らせた。


シャリシャリしてほんのり甘い梨を口に含んで、ふと絶対死んでたまるかと思った。絶対に生き延びてやると思った。図々しく生きて、絶対に生きて、全部笑い話にする。
ついでにサラダとおにぎりも食べておいた。


今日までにやらなきゃいけないことあったよな、なんだっけなと考えて予約していた航空券の支払期日だったことを思い出した。
ずっと行ってみたかったんだよね、東北。
せっかく行くならば、東北1周に憧れていたけれどさすがに一度に周るのは体力的にも金銭的にも厳しそうなのでやめておいた。
来月のはじめに岩手・青森・秋田を3泊4日で観光する。
もう行きたい場所はピックアップしてあって、スケジュールを立てたしホテルも予約した。
岩手は宮沢賢治の故郷で青森は太宰治の故郷、スケジュールにもゆかりの地を組み込んだけれど、出発までにまだ未読のそれぞれの作品を1冊ずつ読みたいなと思っている。


コンビニに支払いに行く前に支払い用の番号をメールで確認しているとき、今日が火曜日であることに気づいた。てっきり月曜日だと思っていて、支払期日が過ぎていたことに気づく。
一体自分はどれだけ眠っていたんだろう。月曜日は一日中ほとんど眠っていたことになる。
航空券を予約し直して支払いに向かった。金額が変わらなかったのでほっとした。


家に帰って来る時、郵便受けを覗いて注文していた品が届いているのを見つけた。
対面の受け取りが苦手なので、ポストに投函してくれるタイプの梱包だとかなり助かるし嬉しい。
急いで部屋に戻って開封した。
今月末、友達ととしまえんに出来たハリーポッタースタジオツアーに行くのでそれに合わせてお揃いでハリーポッターの制服を買った。
映画内で登場するよく知られたローブのタイプではなく、デザイナーとハリーポッター公式がコラボした体のラインが綺麗に出るミニワンピースのデザインだった。
ウエストがキュッと引き締まって見える。
私も友達も寒色系に惹かれてしまい、物語内では割と嫌われ役なスリザリンの緑色の制服にした。


早速試着して鏡の前に立つ。
自然と笑顔が零れた。一緒に買ったタイも合わせて、友達と2人で並ぶ姿を想像してにやにやした。友達にきっと似合うだろうなと思った。
制服が届いたこと、試着してみたこと、本当に楽しみだということを友達にLINEした。


LINEを開いたときに、店長からメッセージが届いているのを見つけた。
見つけたというか、上にピン留めで固定しているので必然的に目に入った。
遅くまでありがとう、少し飲ませすぎてしまってごめん、二日酔い大丈夫?という内容だった。
寝ている間に1日以上が経っているのにまだ未返信だったから、また心配を掛けてしまうかもしれないと思いすぐに返した。
「ごめん寝てた」は信じられないとよく巷で囁かれるけれど、本当に寝ていた為「寝ていたら火曜日になっていて遅くなりました。大丈夫です」と返信しておいた。


noteを開いて、沢山スキの通知が来ていることにかなり驚きつつ嬉しくなった。
みんなにとっての今日はどんな日だったのだろうかと新しく更新されている記事をいくつか読んだ。人の思考や生活を知れるのが結構楽しみになっている。元々エッセイは大好き。

その中に、まるで自分に言われてるみたいなメッセージがあって、身近にそういう人がいるのかな、それとも自分自身に向けてのエールなのかな、なんにせよやはり素敵な文章を書く人だなぁと思いながら読んでいたら、終盤でこの願望を届けたい人がこのnoteの世界に居て、その人に向けているのだと言っていた。


私かな?わたし、?いや〜、ほんと?
いや、違うかも。いや、わたしかも。だったら嬉しいな。
でもとにかく、その温かい文章を読んで涙が溢れた。温かな水がひたひたと胸に満ちた。
あとで直接言いに行こう。あなたの文章を読んで幸せな気持ちになれたって。私の短い人生で得た教訓は、言いたいことは言えるうちに言う、感謝と褒め言葉は伝えるほどいい。


ほろほろ流れ出た涙を拭いていたら、店長から電話がかかってきた。
いつもに増して優しい声で、おはよう、大丈夫?落ち着いた?と聞いてくれた。
ゆっくりでいいから、無理そうだったら休んでいいから、シフトも減らしていいから。
次の出勤、もしも元気そうだったら出勤しておいで。顔出すだけでもいいから。
と言ってくれた。


電話にでた時、真っ先に「お風呂入った?」と聞かれて笑った。調子が悪いときの私がお風呂に入れないのを知っているのは店長だけだ。航空券の支払い前に入っておいた。
「ご飯たべた?なに食べた?」と聞くのも、私が何も食べれなかったかヨーグルトとかトマトだけとか食事とは言えないものしか食べてなかった日々を知ってるからだ。

本人にも度々直接伝えているけれど、本当にこの人の元で働くことが出来て良かったと思ってる。あなたがいて本当に良かったです。
でも、いつかは必ず自分の足だけで支えなしで立てるようにならなきゃいけない。
甘えすぎてしまわないようにしなきゃと思った。


黒服さんの一人からもインスタで体調を気遣うdmが来てた。連絡先を知っているのは店長とその人の2人だけだけど、他の人たちもきっと心配してくれてるんだろうな。


絶対にしんでたまるかと思った。






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