27○長女の空手


私は、長女が生まれたとき、
最近のイジメは、陰湿だから、
(絶対にいじめられっ子にさせたくない!)
という思いが強く、

長女は、4歳、次女は、2歳から、
近くの空手道場に通い出した。


両親の介護で、休みがちだったけど、行けるときには通っていた。


私は、極真空手をさせてみたくなった。


極真空手は、大山倍達先生が、
亡くなってから、色んな流派にバラバラになっていた。


幸い、近くに
大石代悟師範の、北九州道場があった。

大石道場は、大石代悟師範が、
キックの名人だった事もあり、
特に、ハイキックに力を入れている道場だった。


父も亡くなり、小学2年生になってた長女は、大石道場に入門した。


入門して直ぐに、北九州師範が、
「きゆたん試合に出ましょう!」
と誘ってきた。


何でも、大石道場の本部は、山梨県にあるらしく、山梨県迄行かないといけないらしい。


両親を亡くして、抜け殻だった私は、「出ます!」と言った。


4歳に行っていた時の道場の道着しか持ってなかったので、試合に出るならと、極真空手の道着を買った。


もう一人高校生の男の子も、試合に出ると言うので、入門してから、直ぐ高校生の男の子と、長女中心の稽古になった。

長女は、試合に出ると決めて、
横内先生に、お手紙を書いた。


「ママが負けて悔しいので、ママの分まで、きゆたんが空手の試合で勝つので、応援して下さい!」

と言う内容。


すると、横内先生からお手紙が
届いた。


見せて貰ってないから、何を書いてたのか解らない。


ただ、長女は横内先生からのお手紙をビニールのプチプチに入れて、
稽古の時は、道着の中に忍ばせ、
何処に行くにも持ち歩いていた。


猛特訓のお陰で、長女は
ソコソコ
強くなりつつあった。


4月に入門して、夏には試合だった。

新幹線を乗り継いで、山梨県に向かった。

ホテルに泊まり、長女は速く寝せた。

私の高校時代の友人が、山梨県で、大石道場に通っていたので、
ホテル迄来てくれた。

試合当日、四時に起こされ、長女は朝食も許されなかった。

北九州師範の友人がビデオマンとして、来てくれていた。

車2台で、試合会場迄向かう。

暑いのでとにかく水分だけはこまめに取らせた。


長女は、空手をしているとは思えない様な、ボケーっとした顔をしており、髪の毛もおさげにしていた。

試合会場に、入ると、大石代悟師範が、来られた。

皆さん、「押忍」と挨拶していた。

北九州師範が、長女を紹介してくれた。


買った道着が、少し大きかった為、
大石師範は、長女の道着の袖を折ってくれた。

試合会場は、かなり暑かった。

一回戦目、長女よりかなり大きい女の子が出てきたので、ヒヤヒヤしたが、何とか勝てた。

何回戦目か、忘れたけど、山梨県の試合で、毎回優勝している、
強そうな女の子と当たった。

北九州師範は、コーナーに足を踏み入れて、大声で応援していた。

長女のハイキックが一本入った。


北九州師範は、「ヨッシャー」と
他の父兄が引くほど、興奮していた。

そして、北九州師範の応援通りに、試合を進めて、2本目を取った。

すかさず、北九州師範は、「もう一本!」と叫んだ。

長女は、操り人形の様に、すかさずもう一本入れた。

長女は、白帯でわけわからなかったが、
相手の女の子は、色帯(緑帯)で、
3本入れられたら、(負け)というのが解っていて、
その女の子は、もう悔し涙を浮かべてた。

そして、どんどん決勝戦迄進んで行き、今度も大きい女の子がお相手だった。


延長も入った為、北九州師範がヒートアップし、


放送で「お気持ちは解りますが、コーナーには、入らず、少し下がって下さい!」と言われていた。


延長も何とか勝てた!


長女の旗が、上がった時には、
北九州師範は、飛び上がって喜んでくれた。

長女の全試合では、たいがい声が大きい私の応援の声もかき消される程の大声で、北九州師範は、試合をリードしてくれた。

決勝戦だけは、1つのコートで、大石師範の前で、試合をするので、
北九州師範は、もう夢中だった。

私は、長女の優勝が決まった事に安心して、長女に、ゼリーや水分を沢山の取らせ、
長男は、引き続き長女とは年齢別の決勝戦の試合を見る!と言うので、友達とタバコ休憩に行った。


私が見るかぎり、北九州師範と、カメラマンの方は、一度もトイレに行っていない(笑)


全ての試合が終わり、表彰式があり、選手は並ばされていた。


放送で「選手の指導員は記念撮影があるので、選手の横に付いてください!」と聞こえた。


北九州師範は、「ヨッシャー!」と
叫んで、めちゃくちゃ高そうなカメラを床に投げ捨てて、長女の元に走っていった!


ビデオマンの方がビビって、急いでカメラを拾っていた。


全部終わって帰ろうとした時に、
北九州師範の奥さんからメールが来ていた。


何時もなら、直ぐ帰ってくるのに、
何時までも連絡が、無いので
「もしかして、優勝?」
と来たらしい!


北九州師範は、そのメールを私達に見せながら「当たり前だ!」
と返事を返していた(笑)

そこで、北九州師範達とは、お別れした。


今晩は、山梨に止まって、明日は
横内先生に会いに行くつもりだった。


温泉センターみたいな所に泊まり、北九州の道場の皆さんのお土産を買い、道着も着替えも荷物も全部宅急便で、家に送り、
荷物1つで、バスで東京迄行った。

横内先生に、報告に行く!


横内先生、スタッフの方々、
大変喜んでくれた。

そして、東京で一日遊んで、家に帰った。



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