見出し画像

デザインプロセス Phase.0


*別プラットフォームで運営していた過去の記事を移行したものです (2019年)

デザインプロセス/新規プロジェクトって、どうやって始めてますか?

先日友人と話していて、「デザインプロセスで取り組む課題やドメインの設定や新規事業の領域設定」のスタート地点に話が及んだ。なんだかんだで、私が「新規事業構築」の話を聞くたびにずっと違和感を感じていた点でもある。今でも、「さあ、新規事業します!」っていう姿勢には正直違和感を覚える。事業って、既存事業の延長で感じでもっと大きな課題に取り組むのだったり、着目する課題があって始まるものじゃないの?って思ってるから。「現在のマーケットだったりプロダクトに限界が見えたから新しいビジネス始めましょう」という意気込みは理解できるけれど、拠り所になるものというか、企業の想いに沿う方向性でないと、なぜそこに手を広げる?とならないだろうか。

大学院のプロジェクトでは、思えば必ずクラス毎にテーマが設定されていて、そのテーマを深めながらデザインリサーチなどを進めていく設計が既になされていた。クラスによっては、クライアント企業(地元のスタートアップや講師のネットワークなど)が決まっていてメンバーを割り振るスタイルだったり。授業の最初にクラス全体でテーマをいくつか出し合って、興味のある所に入っていく、「スタートアップ・ウィークエンド」方式も経験した。私が呼んでるPhase 0の設定がされている状態でプロジェクトが始まっていた。

しかし最後のベンチャープロジェクトだけは、全くの自由だった。テーマは何を選んでも良い。チームも学年40人あまりで2−5人で組めば誰とでも良し。ノンプロフィットの設定でも良く、それまでに取り組んだ別のクラスでのプロジェクトを深めても良い環境だった。

結果、私たちのチームはPhase 0を定めるのにプロジェクト期間の1/5を費やす羽目になった。もちろん、リサーチをしていって学びもあったので無駄では無い。ピボットとして捉える事もできるだろう。けれど、今振り返るとその時間のロスを回避する方法もあったのは確かだと思う。

プロジェクトのドメインの決め方として

・メンバーがよく知っている分野「業界経験」
・自分がターゲットとなるもの「顧客を知っている」
・とにかく興味のある分野「想い」

のどれか又はその組み合わせを選ぶと良いとの助言をもらっていた。

私たちは最初課題としての面白さだったり、大学院のプロジェクトでしかできなさそうといった理由で選んだドメインに取り組んでいた。誰1人として直接経験した課題ではなかったし、男性女性で大きく経験が分かれるようなドメインだったので、女性4名男性1名の私たちのチームで取り組む課題として理想的なものでもなかったのだ。

Phase 0のドメイン設定が適切なものであれば、その後のプロセスが成功する確率が高まる

と思う。そして、企業が事業を展開する時も重なるんじゃないかと思ってる。既によく知っている業界や顧客の行動、課題に取り組むのであれば新規参入する他の組織よりも有利に進める事ができるだろう。そして、起業家だったら「強い想い」があれば業界を全く知らずとも成功しているロールモデルは多い。私たちのプロジェクトでベンチマークしていた、Rent the Runwayの創業者もファッション業界のバックグラウンドがあった訳ではなかったものの、あれだけの成功をおさめてる。

デザインプロセスを語るときに「調査」から始めてしまっていたけれど、実はその前のドメイン設定「Phase 0」がとても重要である。プロジェクトの成功を左右するといっても良いと思う。

手探りではあるけれど、私はPhase 0で見るべきなのは大きく2つ。道標となる企業のミッションやビジョンの策定と共有、そしてプロジェクトメンバーの選出かなぁと思ってる。一旦顧客中心主義から離れて、内なる方向性に目を向ける準備期間でもあるのでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?