関西財界セミナー2023のプライベートふりかえり

2023年2月9日、10日に京都で開催された第61回関西財界セミナーに参加しまして。個人的な記録としてふりかえっておこうと思います。

結論めいたことを書けば、「情報って大事やな」と。

基本的に個人名や企業名、討議内容などの具体的な記載は避けてます。あくまでも自分が考えていたことを中心に。またどれも批判ではなく、実体験から得た学びを残したいなと思って書きます。

メディア報道はこちら。


参加するまで

招待参加

関西財界セミナーは関西経済同友会と関西経済連合会が共催するイベントなので、基本的には両会の会員企業がつどう場。なので、非会員は招待がなければ入れません。

今回は招待者として参加しました。

第4分科会

セミナーではぜんぶで5つの分科会にわかれて議論をすすめますが、今回は第4分科会。テーマは「30年間、我々は何を間違ってきたのか」

2025万博に向けて将来の甘美な夢を語り合いたいところですが、こういうネガティブふりかえりが必要だよね、もう今やっとかないと取り返しつかないよね、という状況がこのテーマ選定となった模様。

ちなみに会場は京都国際会館で、ここでの思い出と言えば10年以上前の日本薬学会。学生お手伝いとして動員されてました。アサインされたのは荷物預かり所。荷物をあずかり、まちがえず持ち主に返すという簡単なお仕事。ですが、数百個の荷物と人が学会のはじめとおわりに一挙に押しよせ、てんやわんやのカオスな状況になりました。

第4分科会のネガティブなテーマも進行次第ではカオスな状況に…?

1日目

失敗しよう

開催にあたり全体議論に一つの軸をつくるために特別講演が設定されてました。

失敗できる環境が大事。Talk Outside.

席次と情報

ルールメイキングはすごく面白くて、会議体でもルールが重要。どのような席どりができるかは会議自体の進行と内容を決定づける重大なルールです。

席次が重要になる理由は、各席が非対称だから。どこに座っても同じ(対称)、ではないわけです。スクリーンがあり議長がいるので前後関係が生じるとか、座った時に向きやすい方向性があるとか、対面や隣席に誰がいるとか。

今回は事務局の事前指定がある指定席で、席次の決定方法は不明です。広い会場に多数の参加者だったので決めるのは大変だったろうなと思います。

僕が座っていたのはすみっこの席で、向きとしては部屋の壁をむくような位置取り。スクリーン間近の最前列やけど。

こうなると、会議の状況や熱気みたいな情報を得る手段が制限されていました。参加するのむずかしいやん、が素直な感想。

DXというデジタル化施策も大きなサブテーマの一つですが、Web会議が(ほぼ)横並びの対称にしていたものもリアルになると如実に非対称化するなぁと思いました。

進行方法と情報

また進行方法も重大なルール。今回は挙手&議長からの指名&発言2分以内というルールでした。

開催時は「挙手順序」とか「熱意ある挙手」とか「発言者に対する議長の信頼」が指名順を左右する文化(裏ルール)も当然のように発生。複数ある挙手からひとつづつを選び取るには、なんらかの価値基準が必要だから。時間制限もあり、全部は選べない問題もこのような文化を必然的に発生させる要因でしょう。

対策として、発言したいひとは「発言ボタン」をおし、その中からくじ引きで発言者を抽選するシステム・アプリがあればなぁと思いました。

発言順の決定は人が選ぶと価値基準に左右されてしまうのだから、いっそランダムを導入するのがオモロイかと。DX、DX。

あるいは動画配信でよくあるコメント欄方式を採用するか援用するか。DX、DX。

席次との関係で、ほかの方々の挙手が見えなかったのはちょっとやりづらかったなと思うなど。

経済政策

経済政策や企業経営における短期主義がここ30年のやっかいごと、というのが共通理解。長期で見ていかんとね。

時間を味方につけるには、複利効果が重要やなと思ってました。単利の積み重ねでは複利に勝てない。

世界で唯一、情報産業を握り覇権を取ったアメリカ。アメリカ製のソフトを排除して独自の巨大市場で発展しつづける中国。ここ30年で複利を効かせられたのはIT産業で、成功者は日本ではなかった。

政策は政府が国民と握るもので、政権維持には建前が重要で、でも建前では長期志向をとりづらくって…というストーリーをあたまのなかで弄んでみたり。

日本が複利を効かせてきたのは、少子化と、医療費増大と…。

熱意あるリーダー

参加者の大半は経営層で、経営にとって雇用はつねに関心のある話題。でもなんかちょっとあれやね、むずかしい。

解雇規制の緩和はタブーな話題だったのやろか?

人事評価制度よりも大枠で話すべきやし、ここは外せへん気がしたのやけど。就職も失敗したらやりなおそと思え、採用もいくらか失敗を許容できる。そんな状況にするには雇用の流動性を確保することが必要で、解雇規制の緩和はマストで…。

***

リーダー育成も熱いトピック。滋賀から京都へ会議参加、というわけで思い起こしたのは琵琶湖疏水事業。

東京への遷都により、ひと・もの・かね・情報が入ってこなくなった明治初期の京都。なんとかせんと、というわけで流し込んだのが琵琶湖の水。豊富な水と水力でつくった電気。インフラをととのえ、まちは活気を取り戻し。

京都の命運を託されたのは、当時20代の田邉朔郎でした。

高度人材の活用に関して、示唆に富む事例だと思ってます。

2日目

挙手文化の洗練

文化進化という面白い学問分野がありますが、今回の分科会で2日目に観察した面白い事例がありまして。

テーブルにおかれた自分のネームプレートを縦に置くことで、挙手の代わりとする。

おもろい。手を挙げ続ける必要もなくなって合理的。

ずっと複利効果

昨日来、討議内容にかかわらず複利効果について考えてました。投資しかり、人材育成しかり、議事進行しかり。

はなしの穂を接ぐにも、各々が好き勝手に話すより、前の発言を受けて…の方が複利を効かせられたのではとか。モデレーターはそのような進行をしようと奮闘しているようにも見えました。

うまくいってる

「30年間、我々は何を間違ってきたのか」というテーマながら、日本がもつ基礎技術の高い競争力、グローバルな積極展開など、個別の分野・企業ではうまくやっている例もあるなぁと確かに。

まぁでも「うまくいっている」とは思いやすいというか、思いたいというか。とられなかった選択肢の結果がわからない以上、どうしたって評価は現状追認型にならざるを得ないというか。

逆にいえば、選択肢の幅を広げることが重要やなと。ある決断に際して取れる選択肢はひとつ、取らなかった選択肢はたくさん、取られず思いもよらなかった選択肢は…無限?

情報は、選択肢の幅広さに直結するなというのが学びでしたね。

選択肢の幅が広い状態はエントロピーが高く、そこから選択肢を絞り込んでエントロピーを低くするにはエネルギーが必要で、まさにそれが経営かと。

ルール・メイキング

2日目の席次は1日目と同じ。お地蔵さん席。ちょっとつらい。

けれど、もし国際社会において日本がこのような席につかせられる状況だとしたら。もし業界において自社が情報を制限された状況に置かれているとしたら。もし自身の社会的な位置取りが発言をしぜんに抑えやすい立場に誘導されたとしたら。

ルールはつくる側が圧倒的に有利になるので、やはり重要ですね。

大阪万博/expo2025

分科会での討議後、全体での講演会あり。テーマは万国博覧会の歴史。そして2025年の大阪万博。ミャクミャクさまも壇上に登場。

関西財界の期待を一手に引き受ける…わけでもないけど、素敵なゆるさのミャクミャクさま。

万博テーマソングは、コブクロ!?

未来みにいこー!

練習しよ笑

懇親会

雑談力。情報収集力。だいじ。経営者は親しげに雑談してる。

情報って大事やな。


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