業界未経験者の宇宙ビジネス 第一回
こんにちは、アクセルスペースCPOの中西です。CEO中村、CTO宮下と技術者/創業者の投稿が続きましたので、私からは文系且つ業界未経験者にとっての宇宙業界という観点でお話しができればと思っています。技術のバックグラウンドがないことや業界未経験であることから、興味は持っていても宇宙業界へ飛び込むことを悩まれている方の不要な不安を少しでも取り除くことができれば幸いです。
私がアクセルスペースに入社したのは2020年で、もうすぐ1年半が経とうとしています。入社後はAxelGlobe事業に携わり、現在はAxelGlobe事業本部長という立場から事業を統括しています。(AxelGlobe事業については次回詳しくお話しさせて頂ければと思います)
こんな記事タイトルをつけていることからもご想像の通り、私のこれまでのキャリアは文系一筋でして、業界経験も宇宙とは無縁の業界を歩んできました。新卒でAGC株式会社に入社し化学品部門で営業と企画を経験、その後はメディカル/ヘルスケアスタートアップでのCOO業務、ボストンコンサルティンググループでのコンサルタントを経て、アクセルスペースへ入社しました。AxelGlobe事業に関連するリモートセンシングや画像処理、または衛星設計等に関する技術のバックグラウンドはもちろんありませんし、経験した業界も化学/メディカル/ヘルスケアですので、宇宙業界とは全くの無縁です。そんな私が書くのでバイアスがかかっていることは自覚しているのですが、それでもなお、宇宙業界は業界未経験者歓迎の業界であると申し上げたいと思います。
少し古い資料になりますが、経済産業省が「宇宙産業分野における人的基盤強化のための検討会」で宇宙ビジネスに関わる人材について報告をまとめています。
経済産業省「宇宙産業分野における人的基盤強化のための検討会」報告書
https://www.meti.go.jp/press/2018/05/20180501001/20180501001-2.pdf
この報告書で主要課題として挙げられているのが「人材の絶対量不足」です。皆さんも最近宇宙ビジネス関連のニュースを目にすることが増えてきたと思いますが、こうした産業の盛り上がりに対して人的供給が遅れているのが現実です。これまで様々な業界が勃興し一定規模の産業として定着してきましたが、その過程において業界の成長・認知度の向上に遅れる形で業界への人材流入が始まり、一定期間の人材需給のギャップが発生してきました。また産業自体が拡大しているので、当然業界経験者だけで人的リソースは賄えず異業種から優秀な人材が流入して業界を活性化させてきました。宇宙業界はまさにこのギャップの入り口に入っていると実感しています。特に我々アクセルスペースは、日本の宇宙業界において手前味噌ですが他スタートアップに対し事業フェーズが一歩進んでいる状況でして、幸か不幸かこのギャップが大きくなっていると感じています。他社が実証フェーズであったりビジネスを本格化する前であるのに対し、我々は既に9機の人工衛星の開発/製造/運用に成功、また5機の自社衛星によるAxelGlobe事業を実ビジネスとして拡大するフェーズにあります。ゆえに、あらゆるポジションで絶賛採用活動中です!人事部は常に大忙しです(笑)
ただこう書くと、もしかすると「人が足りないから未経験者でもいい」と聞こえるかもしれませんが、そうではなく私としては「業界経験者かどうかは重要ではない」と是非お伝えしたいのです。
もちろんアクセルスペースには業界経験者も数多く在籍し、重要なポジションや責務を果たしてくれています。業界経験者でしか担えない、もしくは業界経験者が望ましいポジションがあるのも事実です。一方で私以外にも異業界から多くのメンバーが入社し、それぞれのポジションで活躍しています。例えば、営業として活躍している一人のメンバーは、前職は自動車関連の営業マネージャーで、宇宙業界とは全く関わりがありませんでした。しかし、現在はAxelGlobe事業において誰よりも案件を獲得し、世界中で販売パートナーの開拓を行うエース営業の一人になっています。確かに彼は業界知識や技術知識は足りないかもしれません、「業界経験者と比べると」。しかし事業への情熱や行動量、もしくはどのように売るべきか考え続けることでトップの営業結果を出しています。知識がないからと社内で都度お伺いを立てていたらきっとこの結果には至らなかったでしょう。まずは自分で考え、動き、分からないことがあれば知っている人に聞くという当たり前のプロセスを止めずに動かし続けるからこその結果だと思っています。上で知識の足りる足りないを「業界経験者と比べて」と書きましたが、では「十分な業界知識」とはいったいどれ位の程度なのでしょう?長年の業界経験者と肩を並べるまでまずは学習しなければならないのでしょうか?私個人の考えを言わせてもらえば、少なくとも未経験者が相当量の知識を入社直後に獲得する必要は全くないと考えています。むしろ必要最低限の知識を獲得した後は、すぐに現場にでて業務を開始すべきです。その中で、都度必要に迫られた領域について学んでいけば十分だと思っています。そして、これこそが重要だと思うのですが、その業務の中で同僚の誰も経験していない新たな領域を掘り進め、他の誰にもない自分の専門分野をどんどん作っていくべきだと考えています。私はこれまで転職の度に異業種に飛び込んできましたが、それぞれの領域で自分だけの専門分野を確立する作業の繰り返しだったと今振り返って感じています。上で挙げた業界未経験者の営業の彼も、パラメーターにすれば歪な知識範囲かもしれませんが、新規用途や新規海外パートナーに対しては他の業界経験者にはない専門分野を確立しています。そしてそんな自分の専門領域になりうる未開拓な領域が、この拡大フェーズにおける宇宙業界、ひいては我々アクセルスペースの事業にはゴロゴロしています。拡大する産業の中では前例を踏襲しているだけではシェアは拡大できませんし、事業開発を進めれば自然と新たな市場や用途と出会い領域が広がっていきます。
アクセルスペース入社直後に自社衛星について分からないことを質問した際の回答が今でも忘れられません。
「すみません、初歩的な質問で申し訳ないのですが…」
「大丈夫、我々が世界初だからこれついて分かっている人なんて世界に誰もいないから」
あなたもいつの間にかその道の第一人者になっているかもしれません。
どうですか?こんなエキサイティングな職場に興味は沸きませんか?(笑)こういった産業の勃興フェーズに立ち会えることは人生でもそう多くないと思います。少しでも興味が湧いたら下記から応募してみてください。一度お話しできると嬉しいです!
https://www.axelspace.com/ja/career/
少し長くなりましたが、今日は一旦ここまでにします。次回はAxelGlobe事業を説明しながら、より掘り下げていこうと思いますので、是非チェックしてくださいね!
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