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"急戦策”J1第33節 鹿島(A)vsFC東京(H)マッチレビュー

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鹿島 2 ー 1 FC東京

 代表ウィークを挟み、前節から約3週間ぶりにリーグ戦が再開しました。前節横浜FC戦は降格争い真っただ中の相手に勝ち点3を与えてしまう波乱の結果となりました。そこからいかに修正し、気持ちをまた立て直すかが重要だったと思います。この中断期間で負傷組もトレーニングに合流が開始された模様。シーズン最終盤に向け、また足並みを揃えていかないといけませんね。

 今節戦うFC東京もリーグ戦は約2週間ぶり。試合前に長谷川監督は「打ち合いにいく」と強気なコメントを不敵な笑みと共にされていたのが印象的です。確かに前回対戦時、FC東京は鹿島に対してかなり引いて守ってきました(連敗中のアウェイ戦という点も大きかったか)。鹿島は当時大きな課題だったビルドアップに苦戦することなくリズムを掴み、勝ち切った試合だった印象が残っています。

非破壊検査㈱さんのCMめっちゃ久しぶりに観た。

懐かしすぎて変な声でた。

怒涛のカウンター合戦

 長谷川御大将の言葉通り、ホームのFC東京は試合開始のホイッスルと同時に攻勢を仕掛けてきた。キックオフから相手陣内へのロングボールで敵陣侵入。永井、オリヴェイラ、アダイウトンの馬力でぶん回して鹿島をボコろうという気である。弱肉強食という自然の掟をその身に叩き込まれるが如く、関川&町田のCB陣は激しいコンタクトの伴う守備を強いられた。

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 立ち上がりの激しい時間帯を経て、徐々にFC東京もボール保持を開始(とはいえ本音は前線が過労死しないなら90分間蹴っ飛ばしたいんじゃない・・?)。青木がサリーダ、高萩がボランチまで下りることで3-4-3に近い形に布陣。両SBを高い位置まで押し上げた。攻撃性能の高い中村&長友という両SBを活かしつつ、3トップのプレースペースも確保。1対2程度なら単独でもゴリ押せる最前線のメンツなだけに、動き出しさえ合えば躊躇いなくロングボールを送った。落ち着いてボールを保持しようとする姿勢こそ見せるが、狙いはあくまで相手DFの背後へボールを送ることだった。

 対する鹿島は端からボール保持で主導権を~なんて頭に無かったようだ。DFラインを高い位置に留めながらも、前線は緩めのプレッシング。「どうぞ蹴ってください」と言わんばかりのライン調整は正直ヒヤヒヤものであったが、単純なハイボール勝負なら分がある関川、町田が奮闘。後ろ向きでの対応が非常に多い試合だったものの、全体的に素晴らしいパフォーマンスだったと思う。それでも彼らが剥がされた時は即ピンチなのに変わりはなく、その隙を突かれて失点仕掛けたシーンもあった。是非もなし。

「とにかく奪って即カウンター」というのが相馬監督のプランニングだったんでしょう。ボール保持攻撃時、左SB安西はいつも通り突貫スタイルだったが、右SBの常本は攻撃には消極的。常時後ろにDF3枚を残してネガトラ対策を打った相馬監督、エラい。いつもそれでいいのに(殴

とはいうものの、左ばかり攻めていても流石にラチがあかず手詰まり。とうとう常本も攻撃に動員しはじめ、見事ロスト→即カウンター→常本の空けたスペースをアダイウトンが蹂躙と危うくジ・エンドしかけたとさ。

加速する両軍のフラストレーション

 両軍共に先制するのが至上命題なわけで。しかもお互いポジティブ・トランジションに光を見出しているとあれば肉弾戦は必須。フィジカルコンタクト上等なメンツがお互い揃っていることもあって、序盤から球際では激しい競り合いと怒号が垣間見えた。

 更に両軍選手の火に油を結果的に注いでしまったのがおそらく主審・岡部さんのジャッジ。立ち上がりからジャッジが難しい場面(3分あたりのPK疑惑判定など)が発生。28分には町田が足を上げて永井の顔面を蹴り上げてしまうシーンが起きるも警告なしにFC東京側が猛抗議(そりゃそうだ..)。鹿島サポーターとしても町田が軽率なファウルをしでかしたことには代わりがなく、警告で済んだとしてもホッとするレベルに見えた。FC東京は前述した疑惑のシーンで負傷していたディエゴ・オリヴェイラが35分に交代。挙句の果てには前半ロスタイムに失点。F東選手らのメンタルに相当キていたのは想像に難くない。さらに後半も長友が倒れてあわやPKという場面であったり、GK児玉と上田が交錯→児玉に警告など物議を醸しそうなジャッジが続く...。

 主審が試合の主役を張るという、まるでプレミアリーグの審判団が笛を吹いているかのような状況に陥ったのは驚いた。いっそアンソニー・テイラーとジョナサン・モスをJリーグに招いたらいいのに。毎試合荒れるぜ(ピッチとSNSが)。何はともあれ、タフな試合を裁いた岡部主審にはお疲れ様ですと言いたい。

前後のバランス調整に苦しんだFC東京

 前半ロスタイムにまさかの失点を喫し、ますます攻め手を強めざるを得ないホーム・FC東京。鹿島はハーフタイム、顔面シュートブロックで右眼の視界がぼやけていたらしい三竿に代えてMFレオ・シルバを投入した。

推して参る!と言わんばかりのゴリ押し特攻が主な攻め筋となっていくFC東京。両サイドバックはもはやウインガーに近い形で攻撃に関与しはじめ、彼らのクロスから決定機も多く作られた。反面、彼らが空けた大外のスペースをCB2人(森重、オマリ)で塞がなければならなかった。ボランチの安部、青木も懸命にギャップを塞ごうと走り回っていた気がしたが、如何せん後ろに抱えたスペースを埋めきるのは困難だったか・・・。ボランチがネガトラ意識で後ろ重心になってしまうと火力低下を招いて元も子もない。65分、追加点を我らが上田綺世に奪われるまで相当シビアなポジショニングを強いられていたことだろう。

 鹿島は相手の攻勢を凌ぎ、返す刀で切り裂くカウンターが猛威を奮っていく。55~60分くらいには自陣に押し込まれてかなりキツい時間を強いられたが、そこを無失点で乗り切ったご褒美に上田綺世が追加点ゲット。3戦連続の今季13得点目は貴重なダメ押し弾となった。これを受け長谷川監督はすぐさまMF東、三田を投入して更に大攻勢を仕掛けていく。流石にこの火力には鹿島も根負けしたか、長友→中村へのクロスから折り返され渡邊に目の覚めるようなボレーを叩きこまれた。たらればだが、相馬監督が早めにSHを代えて守備への貢献度を高めていればあるいは...とちょっと悔しさもある。アラーノ、カイキも相当頑張ってたんですけどね。

83分には荒木がカウンターから絶好のチャンスを迎えるもシュートは枠外へ。10得点目の呪いでもかけられてるのかよ・・・・。

いざ、天皇杯準々決勝・川崎戦へ

 今現在、鹿島に残されたタイトル獲得の望みは天皇杯だけ。クラブ創立30周年の今季、タイトル獲得をテーマに掲げながらも苦しいシーズンを過ごしてきた鹿島。タイトルを獲って終われば良いシーズンだったと言えるだけに、ぜひとも川崎を下して準決勝へ駒を進めたいところだ。

それとおかえり染野。待ってたぜ、ヒーロー。

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