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”真・佐野無双”J1第3節 鹿島(A)vs横浜FC(H)マッチレビュー


鹿島 3 ー 1 横浜FC

 前節劇的な敗戦を喫してしまった川崎戦から1週間。次なるリーグ戦の相手は横浜FC(13位)となりました。前節がショックの大きい負け方をしてしまっただけに立て直しを図りたいところです。

 今季昇格を果たした横浜FCですが今季はいまだ勝ち星なし。前節湘南戦は悪天候の中打ち合いで引き分けて勝ち点を獲得しています。特に前節2ゴールをあげたFW小川はJ2得点王の実績をぶら下げて挑む勝負の年。チームの攻撃力は決して侮れません。ポイントとしてはCBで主将も務めるガブリエウが重傷を負い長期離脱が余儀なくされてしまったこと。今節は代わりに岩武が先発していますが、ガブリエウ&ンドカの重装甲CBコンビは結構よさげだっただけに影響は大きいのかなと。

〇前半

地の利、鹿島にアリ

 現地観戦したのだが、まず会場は快晴で絶好の試合日和。14:00KOということもあり、かなり強い日差しがピッチに降り注いでいた。アウェイゴール裏にいたので私自身はほとんど感じなかったのだが、ピッチでは風も強めに吹いていたらしい。コイントスでサイドが変わったわけではないものの、前半日差しを背に、更に追い風を受けながら戦えた影響は少なくなかったのではなかろうか。

 鹿島はここまでの2試合とさほど変わらず、ハイプレスで相手のビルドアップミスを狙いながらカウンターが主武装。ボール保持攻撃ではサイドを中心に深さを取っていき、詰まればボールホルダー後方に待機するIHが逆サイドへ展開するこれまた同じ流れ。だからこその逆足IHの配置なんでしょうね。ここまでくると。

ただ本日においても鹿島の主な前進方法&アタッキングサード侵入はロングボールがメイン経路。勿論カウンター時など広いスペースがあればロングスルーパスなどを狙っていたものの、優磨&知念が今節も制空権争いに大きく貢献してくれたのでハイボール戦術は有効だった。セカンドへの反応も鋭く、実際鋭い出足から9分に藤井が先制点GET。雄叫びあげるキャラだったんだな藤井って・・・(キュン

保持or山根のランで安西裏を狙っていく横浜FC

 ホームの横浜FCはチームカラーでもあるボール保持攻撃をメインに据えつつ、ロングボールを送るなら安西ウラのスペースへという形。鹿島も3トップ+IHで前からハメに行ったものの、全部が全部ハマったわけでは当然ない。距離感の広い横浜FC4バックに対応するため鹿島側もサイドに広げられ、手薄になった中盤中央(ほぼ佐野単独対応)に下りてきた小川に起点を作られるシーンも。

ぶっちゃけ横浜FCのビルドアップに対して遅れるシーンもあったし(勿論チェイシングをぶっ続けてエラー吐かせるシーンもあった)、致命傷にならずに済めたのは佐野を筆頭に後方守備陣がデュエルで奮闘してくれたからこそかなと。特に関川と植田はまず制空権を握らせなかったし、縦パスに対しての反応もグッド。自陣エリア内での集中力も高く感じた。

 横浜FCのオプション攻撃だった安西ウラをMF山根永遠で攻め立てるプランは効果アリ。22分、右サイドのスローインから始まり山根が安西のウラを取るとPA内に侵入し安西のPKを誘発に成功する。ジャッジの成否はともかくとして、昨季から続く鹿島の泣き所の1つ。それでも安西はLSBのファーストチョイスである以上、今季も狙われる試合は続きそうだ。PKをFW小川が沈め、スコアは1-1に並んだ。

2点目を呼び込んだ常本のラン×植田のフィード

 追いつかれたもののそこまで鹿島に焦りや動揺はなく、粛々と狙った通りのプランを遂行。そんな中、38分に再び鹿島がリードを奪う。横浜DFラインのギャップを突き抜け出した常本に植田がタッチダウンパスを供給。キレイな回転のかかったボールが常本に届き、カバーに入った岩武を引き剥がすとゴール前へ折り返す。走りこんでいた優磨とンドカが競り合ったボールがゴールへと吸い込まれ2点目を奪取した。

川崎戦しかり、植田のフィード能力はやはり高いと思う。ていうかワンステップで蹴っ飛ばせるので使い勝手が良い。狙って回転をかけて落ちるボールを蹴っているからこそ常本も追いつけたし、ファーストタッチで岩武に勝負を仕掛けられた感じも。ロングカウンターで優磨を狙ったボールは精度に欠いたものの、視野も広いしマジで完成品のCBとして帰ってきてくれた印象だ・・・・マジで帰ってきてくれてありがとう・・・

〇後半

両軍HTに手を打つ

 鹿島は選手交代こそしなかったものの4-4-2へ布陣変更。これも今季よく見るシフトだが、樋口を右SHに、藤井を左SHに置いて優磨&知念で2トップ形成。立ち上がりからこれを選択した岩政監督の意図はなんでしょうね?横浜FCが何かしら対策を打ってくるとして、ひとまずブロック組みやすい4-4-2を選んだのか。前半は前プレが仇となり手薄な佐野周辺を使われたりと実際悩みどころだったので、そこらへんの調整も含んだものだったのかなと。向かい風になって前半ほどロングボールが効果的じゃなくなるのも予想できたので、優磨と知念を近い距離でプレーさせるのも理には適っている。ロングボールの送り先も、ターゲット目掛けてではなく相手DFライン裏へ「落とす」方向にシフトしたのも◎。

 対する横浜FCは選手交代。左SH坂本に代えてMFカプリーニを投入。カプリーニは右SHに入り、山根は左へと回っていた。より安西側を攻め立てたい、ってことなんでしょうね。一番攻撃の計算が立ちそうなプランでもある。

真・佐野無双ここに

 今日の佐野は2ボランチでも存在感抜群。てか前後半通してエグい出来なんかスタッツだと地上戦デュエル全勝らしい・・・?開幕2試合でもやべえと思っていたけれど、今節は文字通り無双。てか奪ったあとそのまま運べて、挙句PA内でもシュートまで持ち込めるんじゃボックス・トゥ・ボックスにも程がある。てか本当に来季には海越えそう…

個人的にピトゥカがこれだけ自由に振る舞えるのは佐野の存在あってこそだろうなとは思う。昨季はCB陣の波が荒かったし、常本も攻めに出してしまうとどうしても被カウンター時の強度不足が印象的だった鹿島。そこの問題を植田と共にクリアしてくれているし、なおかつ攻撃まで活性化させてくれるんじゃもう町田に足向けて寝れませんねこれ。てか普通にテクニカルなプレーもしてるし何ができないの佐野さん???これでインタビューでは「自分がJ1で通用している実感はない」とか言っちゃうのズルくないっすか???

ぜひこのまま今季はハイパフォーマンス継続して頂いて”真・佐野無双-猛将伝-”や、”Empires”をリリースしてくれることを祈るばかり。マジでケガだけは…(79分の負傷交代はマジで気が遠くなった)

リスク管理or特攻の匙加減

 後半は横浜FCが人も配置も変えながらなんとか橋頭堡を模索しつつ、それを鹿島がいなしつつ反撃に出るパターンがメインに。といっても鹿島が川崎戦と違ったのは完全に受けに回る状態はほとんどなく、ミドルプレス寄りの対応でボール奪取できていたことは明るい材料。実際決定機を作れていたし、VARでノーゴールになってしまったが藤井幻の2ゴール目も見事。後半に入ってもエネルギーを落とさなかった鹿島を誇りに思いましょう。

若干雲行きが怪しくなりはじめたのが79分佐野の負傷交代。ボランチを本職とする選手はベンチにおらず、コンバートできそうな樋口は既に交代で退いていた状況。ピトゥカをアンカーに仲間と土居をIHに据えるスクランブル態勢を敷くことになった。ただベンチにはミンテがいたので彼をアンカーにしたりすんのかな~と思いつつ、岩政監督が最後の交代枠で入れたのは広瀬だったのでそこは意外だった。使い勝手の問題?

試合を殺すわけでもなく、ガッツリ攻撃にシフトするでもなく、ただ時間帯は考えてボールキープは優先的に行っていく鹿島。それでもチャンスさえあれば特攻開始でピトゥカですらゴール前にいくカオスっぷりは観ていて楽しかった(怖かったけど)が、最後はカイキがダメ押し弾を決めて3-1。そのまま試合が終了した。

次節、LC柏戦を挟みホーム福岡戦へ

 ここからはリーグ戦に加えルヴァン杯のスケジュールも始まる。ミッドウィークには柏戦が予定されており、ここまで出番を迎えられなかった戦力組の出番も期待できそうだ(流石に前線は何人か入れ替えるはず)。

少なくとも今節の出来は結果で言えば文句なし満点でしょう。勿論チャンスを決めきれずに1点差リードのまま終盤に入ってしまったこと、佐野負傷に端を発しスクランブル態勢化、統制を失いかけていたことは残念ではある。結果3点目を奪えたのでよかったが、ここで追いつかれていたらよりスタメン組と控え組の印象差が大きくなっていたかもしれない。

 岩政監督は何度もインタビューで「相手を見てプレーする」という言葉を発している。だからこそ京都、川崎、横浜FCを相手にした際のハイプレス&ロングボールなのかなと。じゃあここで福岡戦どうホームで立ち振る舞うのかは気になるところで、メンツ然りどうプランニングしてくるか興味深い。

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