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”風前の灯”J1第24節 鹿島(H)vs広島(A)マッチレビュー

鹿島 0 ー 2 広島

 前節マリノスとの頂上決戦で敗北を喫したアントラーズ。完全な力負けを感じさせられるほどの積み上げの差を示された試合でしたが、まだまだシーズンは終わっておりません。

そして待望の新戦力獲得がアナウンスされ、ナイジェリア国籍のFWブレッシング・エレケ選手の加入が決まりました(待望のFW!!)。チームの状況的にも救世主になってほしいところですが、スイス時代にレネ・ヴァイラー監督の指導を受けエースとして結果を出していたそうで…更に期待が高まりますね。チームへの合流予定が未定っぽいのがアレなんですけれども。

 対するサンフレッチェ広島もリーグ戦では鹿島と同じく4試合勝ち無し中。とはいえ、ミッドウィーク開催のルヴァン杯ではマリノス相手のホーム1st legを3-1で快勝。リーグとの完全ターンオーバーを敷いたマリノスとの競り合いを制し、なおかつ今節もそのスタメンを全員連戦起用してきました。スキッベ監督大胆っすね・・・・前回対戦ではこっぴどくボコられたので、借りを返すぜ!!とはいきませんでしたー(白目)

〇前半

起点を作った対塩谷エアバトルとダイアゴナルラン

 前節から中6日と準備期間があった鹿島は立ち上がりからアグレッシブな攻守を展開。とにかくボールと人への反応が鋭く、
「相手陣内でのハイプレス」「自陣でのブロック守備」の切り替えもかなりスムーズに感じた。頭と体を完全にリフレッシュし、良い状態で広島を迎え撃てていたと思う。

 鹿島の攻めにおける起点はほとんど左サイドが中心。優磨×カイキ×エヴェラウドの三枚を中心に前進を目指した。特に目立ったのは対塩谷のエアバトルを何度か制して前進に成功できていたこと。前述の三枚がそれぞれ競り合いを制してセカンドを回収と、距離感もバッチリ。流石に塩谷もやられてばかりではなく、こと地上戦における存在感は抜群。特に攻撃時に捌きと運びを織り交ぜて局面を変えるプレーが目立った。流石。

また広島DFライン攻略の一手として、3CBと入れ替わるようにライン裏へ走り抜けてタッチダウンパスを呼び込むダイアゴナルランを意識。左で作る場面が多かったので、自然と樋口や和泉が抜ける形が多かった。残念ながら決定機とまではいけなかったものの、完全に駆け引きを制してラインブレイクできていたシーンはあったので惜しかった。正面からの力押しで結果火力負けした前回対戦からの改善点だ。決定機こそ多くはなかったものの、鹿島の攻撃に得点の匂いを感じるには充分だった。

ブロック守備をカチ割ってくる広島サイド攻撃

 広島は主に堅い3CBで鹿島の攻めを受け止めつつ、カウンターを差し込む状況。13分には自陣CK守備の流れから満田が中盤でパスカットし一気にカウンター、17分には森島が今度は中盤でパスカットしカウンターを打ち込んでいった。惜しくも得点には至らなかったが、耐えればチャンスがある自信を彼らが得たことは間違いなかったと思う。てか入んなくてよかった・・・

 ボール保持攻撃としてはまずWBに当ててシャドー、ボランチとの組み立てが基本路線。鹿島のプレスに寄せられてベン・カリファ目掛けたロングボールを蹴ることもあったが、当のベン・カリファが前半早々に警告を食らったのでプレー強度が数レベルダウン。結局彼は後半早々にドウグラス・ヴィエイラとの交代になった。

鹿島の守備がぶっ壊されるのに厄介だったのが、鹿島SBが広島WBへの対応に釣りだされた場合。特に左サイドはカイキがポジトラ要員として前目に残るので広瀬×藤井のマッチアップが増加。個人的には広瀬はかなりうまくやってくれたと思う。前節マリノス戦に続き、突破に優れた対面をいなしつつ持前の組み立て貢献もキッチリやってくれた。問題は1on1ではなく、広げられたSB⇔CB間を走りこんでくるシャドー。ピトゥカや和泉が迎撃に出るorCBがカバーするの二択で、前者が主。とはいえボランチは後追いなので完全に塞ぐのは厳しく、ただでさえ押し上げで前後動が激しかった彼らの消耗を更に強いたはずだ。和泉が鉄人すぎるだけだよこれ。

攻守に目途、相手に3枚警告、上々の前半

 スコアレスでの折り返しにはなったものの、内容的には全然アリだったと思う。とにかく体が動けていたし、決定的なピンチも防げた。逆にこっちのチャンスを呼び込んで広島3CBの要である荒木にも警告を与えられた。最前線のベン・カリファも早々に試合から消せたし、上出来の前半だったのではないだろうか。ただ、体が動けているうちに試合を動かさないといけないんすよね、我々鹿島は。

〇後半

鹿島が点を決めれず徐々に活動限界へ…

 ハーフタイムで広島がベン・カリファ→ドウグラス・ヴィエイラを交代。ヴィエイラは空中戦でも三竿相手に善戦し、自身もまた鹿島CB⇔SBを抜けてスルーパスを呼び込み起点作りに貢献した。

51分にカイキが決定機。右サイド優磨のクロスにフリーでヘディングを合わせるもわずかにゴール右へ外れてしまう。得意な形だっただけに勿体なかった。両軍お互いにチャンスを作るも決定打が出ない中、先に音をあげはじめてしまったのは鹿島の方だったと思う。

攻撃の主軸を担った三枚(優磨・カイキ・エヴェライド)らの消耗が顕著に見え始め、ロスト後のカウンタープレスが発動されない状態に。となれば鹿島は自陣後退を余儀なくされ、自然と相手に攻め込ませる時間を与えざるを得なかった。中盤選手の戻る距離も長い。特にカイキが中央進出で明けた左サイドからビルドアップされるとほぼ制限をかけることはできず。それでも68分にはエヴェラウドがミンテからのライン裏へのロングパスに反応し、マークの荒木が足を芝に足を取られたことで抜け出しに成功。が、ここを荒木の必死のスライディングに阻まれて(PKじゃない?とは思ったけど)ゴールが遠い・・・

69分に仲間(→カイキ)、舩橋(→ピトゥカ)を交代で入れたのはここらへんのテコ入れを狙ったのかもしれない。対してスキッベ監督も73分に野上(→藤井)、エゼキエウ(→森島)を交代させて右サイドを強化した。続く74分には土居(→樋口)を投入と、総力戦の様相を呈していく。

終盤に差し掛かり試合が動く

 83分、広瀬のクロスからファーサイドでフリーの優磨がクロスに飛び込むもあと一歩届かず。直後、84分には広島が逆襲。エゼキエウから右サイドフリーの野上がクロスを折り返すと、直前に交代で入っていた川村が飛び込み先制点GET。ほんの刹那に生まれたチャンスを決めきられ、絶望的な状況に追いやられてしまった。

その後も鹿島はなんとか攻め込もうとするも、後半ATには優磨のスルーパスを佐々木がインターセプトしカウンター開始。持ち運んだ佐々木から右サイドDF間を抜けたエゼキエウに最高のスルーパスが送られ、追加点。おそらく満足にボールを蹴ることすらままならなかった優磨。それだけ追い込まれた状態の優磨に、そしてエヴェラウドにフルタイム出場を強いる現状がいかんともしがたい。なんせ現時点でのスカッドに、彼ら以外のFWはいないのだから。

次節、16日福岡戦へ

 連敗、それも完敗を立て続けにくらったのはかなりメンタル的にしんどい。それも良い入り、良い攻撃/守備の連動を見せていただけに、勝ち点を奪うに値する内容だったと思う(途中まではね)。やっぱりというか、強度命の設計なだけにその強度が失われると脆いなと。満身創痍の優磨に頼らざるを得ない現状も、まだまだかつての輝きからはほど遠い状態のエヴェラウド以外にFWがいない事実もツライ。エレケが来たから問題ない、という話ではないのはみんながわかっていると思う。悲壮感は大きい。優磨が筋肉系の負傷を起こすのも時間の問題な気がしてならない。

つってもポジティブ要素が全くないわけではなく、徐々に信頼を得てきた舩橋。仲間の復帰も頼もしい。今節を終えて4位にまで転落してしまったが、チャンスはある。泥臭く勝ち点を拾うだけだ。

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