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”見つからぬ搦手”J1 第31節 鹿島(H)vs横浜FC(A)マッチレビュー

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鹿島 1 ー 2 横浜FC

 逆転勝利を収めたアウェイ・セレッソ戦から中5日。連戦も終え、6位につけてACL出場権内を睨む鹿島はホームで最下位・横浜FCを迎えました。最下位といえでも降格圏脱出まで必要な勝ち点は8。まだまだ残留の可能性を秘めているだけに、彼らは大きなモチベーションを以て試合に臨んでいたことでしょう。結果的に、その勢いに圧し負けてしまった印象もありました。

鹿島アントラーズは10月1日でクラブ創立30周年を迎え、新たなスタジアム建設構想も発表されました。新クラブハウスもスタジアムに隣接して建設され、現クラブハウスはユース本拠地として機能していく予定とのこと。まだまだ先のことで現実的な話(立地など)は未発表ですが、クラブ周りをはじめ30周年記念試合と銘打った今節。勝ちたかった、ですね。

虎口を攻めれず、野戦にも持ち込めず

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 失点の多さに苦しんでいる横浜FCということもあってか、5-4-1に近い恰好で彼らは鹿島を迎え撃った。前半において鹿島はこのブロック攻略に苦しみ、効果的な攻撃を繰り出せず。横浜FCが中央を閉めてきたこともあってか大外のレーンは空きがちだった為、安西の縦突破を仕掛けてクロスを送るも中央は火力不足。流石にターゲットが上田綺世のみ、付近でのセカンド回収が荒木のみの展開では苦しかった。

大外への展開が多かったこともあり、選手間の距離調整にも苦労。川崎戦、セレッソ戦と比べると選手間距離が長く、ボールロスト後のカウンタープレスが効かずに相手のカウンターを諸に受けざるを得ない状況も多々あった。外を攻めようと人を割けば中が足らず。中を攻めようと集まれば意図が合わずロスト。外も1対1に持ち込むしかなくジリ貧。横浜FCがどうすれば嫌がるか、という答えを見出せなかった。

 堅牢な城に正攻法で挑み跳ね返され、手痛い反撃を喰らう状況が続いた序盤。横浜FCがボール保持攻撃に入ると怖さを発揮してきたのがMF瀬古で、鹿島の選手間を通す縦パスが猛威を奮う。サウロへ通した縦パスがファウルを誘い、得たFKを瀬古が沈めて17分に先制。試合通して瀬古は鹿島のブロックのズレを見逃さずパスを通してくるので厄介極まりない。ただ、瀬古は足下に通すのが抜群なものの、受け手のジャーメイン、サウロ、松尾らは皆足元よりもスペースで受けて縦突破が得意そうなのでほんの少し残念。そもそもボール保持攻撃<トランジション攻撃のコンセプトなんでしょうね。瀬古くん、川崎にだけは行かないでね?行ったら怒るよ??

 先制して堅守速攻がより固まった横浜城は更に門を閉ざす。鹿島からすれば野戦に引っ張り出そうにも相手を動かせないし、出てこない。3CBをサイドに引きずり出すにはカウンターが有効なものの、その状況を作るには自陣での攻めを受けてポジトラに持ち込む必要が。そうこうしているうちに40分、CKからジャーメインに追加点を奪われ更に追い込まれてしまった。

CKの守備に関しては、試合通してGK前に立つジャーメインにマーカーを当てず、クロスの瞬間ラインを上げてオフサイドポジションにする意図、というか戦術を敷いていた模様。失点シーン、ラインを上げきれなかった安西に咎は無く、ニアで高橋に逸らせてしまった事が最大の要因だと思う。ライン上げてファーサイド空けるなら、ニアはやられちゃダメだよね。

総大将、虎口と裏攻めを下知

 前半セットプレーから2失点を奪われた鹿島。相馬監督はハーフタイムで2枚代えを決断し、両翼を交代。土居と松村を入れて活性化を図った。ハーフタイムコメントでもあるように「3CBの裏攻め」を指示。特に松村はロングスプリントでライン間を強襲するシーンが目立ち、DFラインからのビルドアップでもロングボールの多用された。得点にこそならなかったが、前半で停滞していた攻撃に喝が入ったことは確かだ。

 そして代わって入った2人が仕事をやってのける。右サイドのスローインを受けた松村がマイナスクロスでチャンスを演出、エリア内で土居が打ったシュートはGKに弾かれるも荒木が拾って折り返し。上田綺世が前節に近いような形でニアで合わせて追撃弾。1点を返すことに成功した。

後半の立ち上がりこそ幸先よく点を獲れたものの、裏抜けの狙いを感じ取られてスプリントを警戒されると流石に塞がれていく。続いて鹿島は安永・瀬古が近い距離を保ってブロックを敷くため、その脇ハーフスペースを突いて橋頭保の構築を目指す。前半からハードワークを強いられていたこともあり、横浜ボランチ脇には突けるだけのスペース自体はあったと思う。実際にそこで受けてターン、ミドルシュートまで持ち込めるきらいはったのだが・・・そういったプレーが得意なのは土居はともかく和泉やアラーノでして・・・松村君はタイプ的にちょっとその・・ね?和泉再登場をちょっと願った自分がいた。いました、はい。アラーノは前半も頑張っていたけれど、引いた位置からのミドル打てるほどのパンチ力はない。ないな。荒木にミドルの才能開花が待たれる。兆しはある。でもそうなったら最後、海外クラブが黙ってるわけがない。間で受ける才能があって、ターン早くて、そのまま打てちゃったら攻撃完結しちゃうじゃん。

 正攻法における火力不足を否めないまま試合終了。追加点のチャンスもあったけれど、綺世にうまくボールが収まらずフイにしてしまう場面が惜しかった。悔しい。

代表ウィーク挟み、23日FC東京戦へ

 まーた堅そうな相手が次節に当たることに。幸いなのが代表ウィークを挟む為、コンディションの調整にあてられること(相手も同じだが)。セットプレーからの2失点は正直割り切って、少しでもポジティブにこの中断期間を過ごしてほしい限りだ。

 ・・・この勝ち点を足掛かりに今季横浜FCが残留を決めたら、来季は勝ち点を奢ってくれるんでしょうね?

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