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交流磁気治療器は、単なる電気カイロにすぎない

生命現象は生体分子機械といわれるタンパク質分子が、機能を発現することによって進行する。タンパク質分子の機能異常が病気ということになる。タンパク質分子は骨格構造と官能基からなる複合分子であり、固有の立体構造になることによって機能を発現することができる。どのような治療法であろうが、タンパク質分子の機能を制御することは同じである。

薬物は化学反応が起きる官能基に結合して機能を調節する。物理療法では分子の形を決める骨格構造を構造相転移させることによって機能を制御する。骨格構造は多数のペプチド結合が単結合でつながっており、遠赤外線レベルの振動数で振動している。骨格構造の周囲を電子が周回しているが、その電子も振動しており振動数は近紫外線レベルの振動数である。

交流磁気治療器では、どのようなメカニズムで骨格構造を制御することができるのか。交流磁気治療器は50ヘルツ、または60ヘルツの家庭用交流電流をコイルに流して交流磁気を発生させているので、鉄の粒子でも近づければ、粒子が運動することを観察することができる。

タンパク質分子の骨格構造を周回する電子は磁性を持つが、共有結合であるためにスピンによる磁性は打ち消されており、軌道運動による磁性だけである。その電子も振動しているが、家庭用電源の振動数とは違いすぎる、これでは電子と交流磁気の相互作用は起きず、骨格構造が構造相転移することはない。つまり、磁気による治療効果は現れず、磁気治療とはいえないことになる。

しかし、この治療器にもある程度の効果はある。それはなぜだろうか。交流電流をコイルに流すことによって、コイルが発熱する、60度くらいまで上がる設定になっている。この熱エネルギーが骨格構造に吸収されると、骨格構造の構造を変化させる。つまり、交流磁気治療器は単なる電気カイロであったのである。電気炊飯器が1万円もしないことを考えると、単純な構造なのに価格が高すぎる、10分の1くらいが適正価格かな。使い捨てカイロでも十分治療はできる。

症状は多数のタンパク質分子の機能異常の組み合わせによって決まる。温めることによって、機能が正常化するタンパク質分子もあるが、冷却しなければ正常にならないタンパク質分子もある。温めるだけでは、すべてのタンパク質分子を正常化することはできないので、機能異常の組み合わせが完全に解消されることはない。一時的に症状が軽減しても、完治に至ることは難しい。交流磁気治療器に有効性があるとしても限定的であり、温めることによって症状が悪化する場合もある。

先述しているが経頭蓋磁気刺激法は、磁気治療ではなく誘導電流による電気刺激であった。交流磁気治療器も実際には温熱療法の一種にすぎず、磁気治療といえるものではない。本当の磁気治療、つまり、タンパク質分子に磁気が作用しているのは、永久磁石からの静磁気を加える「量子磁気医学」だけであり、多くの病気を確実に治療することができるのである。