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【Gwent 雑記】「環境語り」(シーズン・キャット)

シーズン・キャットはオフシーズンだったことで、運良く普段プレイできないような順位帯でプレイできました。そこでプレイしていて感じたのは、巷で交わされている環境語りがだいぶ実際とは乖離して行われているのではないか、ということです。

せっかくの経験なので、書き散らそうと思ったのがこの記事。なお、良い悪いといった類の話ではない(環境は誰だって自由に語っていい)ので、お気持ち表明とかそういうものではありません。

めちゃくちゃ長い(4000字)のでグウェ雑談が好きな方のお暇つぶしに。

「4強2弱」

このシーズン、勢力については「4強2弱」のイメージを持っていた方が多いと思います。ランクマッチでの遭遇率に加え、期間中に開催された公式戦である GWENTOPEN #4 の持ち込みリストの印象も大きいでしょうか。

データを見てみましょう。次の表は、上位100プレイヤーの勢力別勝率です(GwentDataより)。棒が2本ありますが、右の棒を見てください(4勢力勝率)。

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オフシーズンだったこともあり低対戦数止めのプレイヤーが一定程度算定に入っていますが(通常は一定のMMRに達してからの対戦で勝率が落ち着くので、ノイズになり得る)、目を惹くのは、シンジケートの意外な勝率ではないでしょうか。(なお、モンスターは見たままでギャップが存在しないため記事中で触れません)

シンジケート

プレイ率は低いですが、誰も使っていなかった、ということはないのは確かです。最上位のプレイヤーで見ても、少なくとも Mya-Mon さんが採用していました。

そしてシンジケートがスコイア=テルやニルフガードと同程度の勝率(<-1%程度)という傾向はTOP500まで続いており、シンジケートは言われていたほど弱勢力ではなかったと考えるのが自然です。

自分の感覚としても、シンジケートとマッチングしたとして楽に勝負させてもらえるという感じではありませんでした。というか、上手い人のシンジケートは普通に強い。

それまでドリルのおかげで雑に使っても割と強かったのに、急に簡単ではなくなったため多くのプレイヤーが極端に弱く感じていた、というのが真相という感じになりそうです。(ちなみに自分はスキルがついていかず弱いと感じていました)

20211031_ 131202_掘削機 - 兵器, 割れ銭組 _ Mozilla Firefox

(↑《掘削機》(ナーフ前)。THE VOICE OF GWENT より(同様の画像について以下同じ))

スコイア=テル

勝率の観点ではスコイア=テルにも触れておきたいです。というのは、このシーズンについては「スコイア=テルOP!(強すぎ)」と感じていた人が一定数いたと感じるため。

これは特に、このシーズンに追加された《豊穣な収穫》及びそれを同時に2枚使う《シムラス》との強力なコンボが大きな要因でしょう。これについては怨嗟の声をたびたび見かけました。

ところが実際には勢力として勝率が飛び抜けているわけではなく、それどころか高いところから2%以上水を開けられていた格好です。

大会環境に目を向けても、GWENTOPEN #4 では被BANゼロ・勝率28.57%と弁慶の泣き所状態となっていました。

これは様々な要因が絡んでいますが、ランクマッチでの勝率も合わせて確かに言えるのは、スコイア=テルは一部で言われていたほど強勢力ではなかった、ということです。

ちなみに弱いと評価していたトッププレイヤーすらいました。

興味深いのは、《シムラス》&《豊穣な収穫》という存在があるにもかかわらずそんな立ち位置だったということです。仮に《豊穣な収穫》が無ければきっと、翼をもがれた鳥のような悲惨な姿のスコイアを見ることになっていたでしょう。

またデッキに関しては、【贈り物】が大多数ではありましたが、終盤でも【急所ノーユニット】・【闇討ちエルフ】はいました。(前半人気の【奮起ハンドバフ】は自分は終盤には当たらなかった)

【贈り物】にしても、献身/非献身、《ゲズラス》・《オーク樹》・《フィラヴァンドレル》のいずれを採用するか、各種ゴールドカード(非献身の《イースネ》や、《シェルドン》など)の要否、ブロンズユニットの最適化などなど、課題は多かった印象です。GWENTOPEN #4 において調整を同じくしていたと思われる中国勢の間でもバリエーションが別れているのを見るに、トッププレイヤーで議論しても結論が出なかったことは伺えます。

スケリッジ

スケリッジはおそらく、4勢力を使って一定程度対戦をしていたら最も強かった勢力に挙げるプレイヤーが多いのではないでしょうか。

《フクシャ》というとんでもないパワーカードを擁し散々暴れたにもかかわらず、なぜかそこまでヘイトを集めていませんでした。これはおそらくスケリッジのマナー力が高いためだと思われますが、何かとやり玉に挙げられやすいニルフガード、モンスター、スコイア=テルと較べてどこかズルい感じを受けます。

20211031_ 131747_フクシャ - 野獣 _ Mozilla Firefox

(↑《フクシャ》(戦力値ナーフ前)。デザイン的には雨シナジー、実際はあらゆるスケリッジから声がかかる)

さて、スケリッジのトップデッキは何だったのでしょう。

仮に「【風切】一択。《放浪者》採用型と非採用型があるけど、風切環境だった」と答えてくれた人がいるとします。その人は、GWENTOPEN #4 の持ち込みリストを熟知した情報に敏い方かもしれません。

しかし、大会持ち込みリストは必ずしもランクマッチ環境を投影しません。

例えば16位以内に目を向けたとき、少なくとも自分が知っているなかでは umeu さんや INeverHood さんが【栄光】、Mya-Mon さんや Spyro さんが【戦いの熱狂】を使用していました。

さらに言えば風切でも、《放浪者》入りについては試したとしても変更した人が多いと思われます。これはシーズン的にスケリッジミラーが多発し、非採用型を相手したとき採用型が一方的に不利になるためです。(とはいえ、終盤にも少しだけ採用型に遭遇したので、ミラーの不利を飲んでも採用したい価値もあったのかもしれません)

少なくとも上位に【風切】・【栄光】・【戦いの熱狂】で分割されたシェアがあり、他にも終盤で【海の怒り】の使い手もいました。言ってしまえばシーズンが終わるまで煮詰まらなかったわけです。

北方諸国

北方については、《瞑想魔術師》や《卒業生》がOPと叫ばれていた印象があります。

20211031_ 132204_瞑想魔術師 - 人間, 魔術師 _ Mozilla Firefox

(↑《瞑想魔術師》(戦力値ナーフ前)。「悪」(※ 個人の感想です))

その声が届いてか、《瞑想魔術師》については本体と相方にナーフを受けることになったわけですが、過去の《フォルテスト》もそうだったのですがナーフは気持ち程度で収まりました。これはおそらく北方のマナー力が高いためだと思われますが、何かとやり玉に挙げられやすいニルフガード、モンスター、スコイア=テルと較べてどこかズルい感じを受けます。

さて、あくまで個人的な肌感ですが次のような潮流があったと思います。
・(序盤)《瞑想魔術師》OP!
・(序中盤)《卒業生》OP!
・(中終盤)なんだかんだで【デュエル】
・(OPEN直後)やっぱり【激情魔術師】
・(終盤)各々の信じる道へ……

最終1位が2700近いMMRを稼いだ【挟撃瞑想魔術師スパム】、GWENTOPEN #4 持ち込みリストで印象的な【激情魔術師】、実績のある【激情(シナリオ)デュエル】(、個人的には当たらなかったけど配信ではいた【反乱ウィッチャー】)と色々あり、シェアが別れました。

【挟撃瞑想魔術師スパム】に関しては使うだけなら簡単なのですが、対抗する術を備える相手に勝つところまで含めるとノウハウが必要で、大きく勝てるプレイヤーはそれを知っている人間に限定されていました。さすがに色々と派手すぎたので、終盤はそうしたプレイヤーでも苦戦していたようです。

【激情魔術師】は特に OPEN 直後に使用者が多かったと思われますが、最終的には落ち着きました。リストを知られていると一部ムーブを狙い撃たれる弱みがあったり(特に《巻き上げ機》絡み)、単純に相性としてニルフやスケリッジに強くないというあたりが要因そうです。

そうしたわけで《瞑想魔術師》や《卒業生》への声とは裏腹に、両方を採用しない【激情(シナリオ)デュエル】を使うプレイヤーも少なくありませんでした。

ニルフガード

多かったのは【懐柔同化】ですが、【(献身)監禁同化】をはじめ、【奴隷化】、名采配系(特に【ハイパーシン】)、【帝陣松露亭】など、何と当たってもおかしくはない品揃えといった感じでした。

データ上の勝率は2番手グループですが、リーダーボードがニルフマーク(=トップ fMMR がニルフ)だったプレイヤーは少なくなく、多くのプレイヤーから信頼が厚かったことが伺えます。

このシーズンの話でなく余談になりますが、【懐柔同化】について。シーズン・ドライアド終盤、トップ層がほぼ全員懐柔を採用していたのですが、いわゆるメタレポートでは Nilfgaard Assimilate として【献身監禁同化】のリストが載せられ続けていました。このエピソード以外にも、メタレポートは環境の根拠として語るには色々と向いていない側面があり、単にデッキ使用の導入やエンタメとして読むのがオススメです。

まとめ

・シンジケートは言われていたほどは弱くなく、
・スコイア=テルは一部で言われていたほどは強くなく、支配的に近いデッキが存在するも研究課題は豊富で、
・勢力としてただただ強かったスケリッジもデッキタイプについてはだいぶシェアが分かれ、
・北方では強いと叫ばれた《瞑想魔術師》や《卒業生》を採用したデッキが活躍する一方で採用しないデッキも普通に活躍し、
・ニルフは色々鎬を削っていた

個人的には、一部競争シーズンのような煮詰まりすぎた息苦しさもなく、カードゲームする分にはだいぶ良い環境だったのではないかと思っています。少なくともみんな同じデッキを使っているということもなく、色々なデッキの挑戦も可能でした。

とはいっても、「モンスターが弱すぎる」、「《瞑想魔術師》が嫌」、「シンジケートが難しすぎる」、「《瞑想魔術師》が嫌」、「パワークリープが加速している(ので ① 置いていかれているアーキタイプが存在している ② 大味な進行が増えている)」、「《瞑想魔術師》が嫌」といったことはそうだと思うので、今シーズン何とかなっていて、あるいは今後何とかなっていってほしいですね。

こんな長い文章をここまで読んでくれた方がいるかはわかりませんが、ありがとうございました。

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