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〈検証〉長谷川幸洋Tonight第45回(YouTube配信 2023年12月15日)における、ROLESに対する言及について

こんにちは、Awiです。

今回は、ROLESについての言及がある動画配信について検証していきます。
YouTubeの動画配信で、チャンネル名は「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」。
今回検証するのは、2023年12月15日YouTube配信の「長谷川幸洋Tonight第45回」(無料部分)です。

出演は、長谷川幸洋氏、飯山陽氏。二人の対話形式で進みます。

注:動画内では「I教授」と何故かお名前が伏せて会話がなされておりますが、ROLESの代表は池内恵先生ですから、これは池内先生のことで間違いがないという前提で私は書いて参ります。どうぞよろしくお願いいたします。
(もし違う場合は、どなたを示しているのかご教示くださいませ)

まず、長谷川氏・飯山氏は、外務省の外交・安全保障調査研究事業補助金の話から入り、先端研について、そしてROLESについて語り合っています。

それではここで、先端研とROLESについて。
長谷川氏と飯山氏の会話をまとめてもいいのですが、大変僭越ながら、ROLESについては公開情報をもとに私がまとめたものがあるので、こちらが正確かなと一応リンクを貼っておきます。


さて、動画内の長谷川氏・飯山氏の発言を要約してみます。(時系列でピックアップ)

①I教授がやっている研究資金の流れについては、先端研の事務員補佐3人が経理全体を仕切っているという形になる。

②ROLESがシンクタンクだというが、外務省補助金はROLESではなくて先端研に出ている。外務省の理解では補助金を交付する資格を満たしているのは、ROLESではなく、あくまで先端研ではないのか。そうなるとROLESとは一体何なのか。

③大学とシンクタンクは別。大学がシンクタンクの機能を果たせるのか

④ROLES自体の財務状況が出ていない。外務省から交付要項は出ているが、何に使われたのか金額がわからない。

⑤外交・安全保障調査研究費事業は、御用学者の為の補助金である。


今回は、以上の内容について、検証していきます。

順番が逆になってしまいますが、大枠から説明した方が早いので、②から。

②ROLESがシンクタンクだというが、外務省補助金はROLESではなくて先端研に出ている。外務省の理解では、補助金を交付する資格を満たしているのはROLESではなく、あくまで先端研ではないのか。そうなるとROLESとは一体何なのか。

先端研は、東大の附置研究所です。
ROLESは、池内先生の研究室が中心となって先端研に設置されたプロジェクトの1つです。なので、ROLESという単体の組織ではなくて、ROLESは先端研の中にある。

外務省HPでは、リンク付きでこのように示されております。

リンクから、ROLESのホームページへ飛ぶことができます。

ROLESのURL見るとわかると思うんですが、

後ろから、東大ー先端研ーROLESって、なっていますね?

先端研はもともと理系の研究所です。現在は理系・文系の垣根を超える取り組みをしているとはいえ、人文系の研究室はそれほど多くはありません。
学部のように同じ分野の研究室がたくさんあるということはないので、先端研で外交・安全保障関係を研究しているのは池内研だけです。
先端研で外交・安全保障の話と言ったら、池内研=ROLESと捉えて間違いは起きないでしょうね。

外務省としては、プロジェクト名のROLESではなく、東大先端研という名称の方がわかりやすいと捉えているだけではないでしょうか。そうでなければ、外務省HPに貼られたリンクが謎のものになってしまいます。

そしてROLESは何故採択されたのかという疑問ですが、これは外務省補助金募集要綱(2023年)に載っている情報を見ていきます。

直近の過去3年間に、外交・安全保障に関するあれこれを行なっていることが補助対象資格になっていることがわかりますね。
これについては、池内先生が言及されていました。

ROLES設立前の池内研での国際会議実績があることで、補助金申請の要件を満たすことができたようです。

次に補助金の流れについて。

両氏は、ROLESが外務省補助金事業の審査に通って補助金が交付されることになった。しかし補助金の受け取り先はROLESではなく先端研である、という会話をしています。

実は、それ、ちょっと違います。上記、外務省補助金要綱(スクショ部分)の一番下の欄を見て下さい。
“ただし、代表法人を必ず定めること。本補助金は、代表法人に交付される。また代表法人が本補助金を適切に管理する責任を負う“

外務省補助金は、代表法人に交付されます。ROLESにおける代表法人と言えば、これはもちろん、東大になりますね。東大には、財務会計事務を行う事務局(本部)があります。補助金はここに入ると。
そして東大では、どのような補助金であろうが寄付金だろうが、あらゆる資金は全て、会計を行う事務部門で管理する為、ROLESには補助金は渡りません。

それが東大の規則だからです。

東大規則集より、東大研究費補助金取扱規則。

補助金を受け取ることになったら、研究者代表は、経理事務を部局長に委任することになります。この場合は、ROLESの代表(=研究者代表)である池内先生が、補助金の経理を先端研所長(=部局長)の杉山正和先生に委任するということ。
もちろん杉山先生が補助金の出納をするわけがないので、補助金の管理は所長の責任下で、実務は事務部門がやることになるわけです。

そして、外務省の要綱では、東大事務局(本部)も補助金を適切に管理する責任を負うと決められています。

決算関係の書類でも、それは確認ができました。
経理関係は、私が調べたので、良かったらどうぞ!

以上のことから、ROLESへの補助金交付がされても、それは先端研が責任を持って管理(経理事務)するということです。

ここで①に戻りますね。

①I教授がやっている研究資金の流れについては、先端研の事務員補佐3人が経理全体を仕切っているという形になる。

これは情報の引用元がよくわからないんですよ…探せませんでした。無念。

ROLESでも事務補佐スタッフは在籍していますが(HPに載っています)、それは、プロジェクトにかかる費用(支出)に関しての経理事務などです。

ここで、外務省補助金 評価結果 2022(令和4)年度より抜粋。

“支出の依頼は事務補佐員が行うが、支出の承認は大学事務部門が行う。“

どういうことかというと、例えば…
ROLESで衛星画像の研究をしようとすると、外部企業と衛星画像契約が必要になります。当然、契約費用が発生しますね。
「研究に衛星画像契約が必要です。それにはこれだけの費用がかかります」と、東大の事務局に申請するのがROLESで行われる経理事務です。
その後、大学事務局が補助金の使途として適正かどうかの承認を行い、認められば補助金で交付された予算から衛星画像を配信する会社へ支払いをします。

逆にいうと、ROLESの事務が研究に使うと言って申請したものでも、大学事務局が認めないものには補助金を使うことはできません。つまり、「ROLESでは補助金の管理はしていない」ことが外務省にはっきりと報告されているのです。

さて、動画で示されていた事務補助員3名の引用元がわからないので、先端研の構成人員を見ます。

事務職員31名。
元々が理系施設だった先端研ですので、巨大な補助金がやってきても事務処理が可能なのだそうです。


先端研の事務局の実務内容は部外者の私には全くわかりませんが、年度の終わりには東大事務局(本部)にて、とても詳細な決算書類が作られてホームページに公開されますから、会計事務は非常に厳格に遂行されていると言えます。
その上、東大には研究費の補助金、寄付金、その他とても厳しい規程が作られています。いくら大規模予算を獲得しても、好き勝手使えるかといったら大間違い。旅費や宿泊費も上限が決まっています。
ちょっと脱線しますが、東大の規程などに触れている話はこちら。

以上、様々な情報で示して来た通り、ROLESでは補助金の管理をしていません。

さて、お金の話続きで、④にいきましょうか。

④ROLES自体の財務状況が出ていない。外務省から交付要項は出ているが、何に使われたのか金額がわからない。

これも調べております。外務省HPに載っています。

行政事業レビュー

⚫︎2021(令和3)年度 行政事業レビューシート(2020年度実績) 事業番号0048
⚫︎2022(令和4)年度 行政事業レビューシート(2021年度実績) 事業番号0078
⚫︎2022(令和5)年度 行政事業レビューシート(2022年度実績) 事業番号0084
 *レビューシートは全てExcelファイル

データをいちいち開くのは大変なので、まとめました。
今年度(2023年)の実績はまだ出ていませんので、過去3年分です。

表作成 Awi
注:金額は概数

表を見てわかりますが、人件費が多い。
そうだねえ、人件費、多いですよねえ…
ここでROLESのHP、設立のご挨拶を見てみましょうか。

設立時点で、何よりも優先して人件費に予算かけるぞ、と宣言されております。宣言通り予算運用されておりますね。

さて、人件費については「若手、女性、地方在住者」という枠にはなりますが、外務省の評価に入っています。これは2022(令和4)年分。

ROLESの評価はA。
A:補助事業の事業計画に照らして、期待された以上の進展が認められる。
ということです。

はい、というわけでお金の話はここまで。

次は、③に行ってみましょうか。
③大学とシンクタンクは別。大学がシンクタンクの機能を果たせるのか

ROLESの設立のご挨拶では、このように書かれています。

この検証ではまず、シンクタンクってなあに?という話になります。
これは私も全然わからないのでとりあえず検索だ!

…これがシンクタンクの内容をたくさん書いてあったので引用
(すみません、ド素人なのでこれが資料として適正なのかどうかは全然わからないです)

政府系シンクタンクに防衛研究所が入っているのは、わかりやすいですね。
国際関係だと、ロシアのウクライナ侵攻を機に、防衛研所属の方々をテレビで見かけた人も多いのではないかなと。
日本のシンクタンクについては、とりあえずこの資料でわかりました。

けれどROLESは海外発信もしているから…(海外向けの情報発信は、外務省補助金の評価要綱にも入っています)。
海外のシンクタンクってどうなのかな?

あちこち探していたのですが、いいところにいい資料がありました。

ROLESの動画です。
大国間競争時代の世界と向き合う 大学発シンクタンクROLESの挑戦(東大駒場リサーチキャンパス公開2021)


この第2部「グローバルセキュリティの新地平」にて、ROLESシニア・プログラム・コーディネーターの伊藤和歌子先生のお話がシンクタンクにまつわるものでした。こちらを引用させて頂きます。

伊藤先生は、日本国際フォーラム研究主幹、未来工学研究所主任研究員など、シンクタンクでの勤務経験をお持ちです。

その中で、シンクタンクの分類という資料がありました。これはご覧の通り、「Global Go To Think Tank  Index Report」という引用元があります。
大学系のシンクタンクもここに書かれていますね。

海外だと大学系のシンクタンクがあるんですね。
伊藤先生、大学シンクタンクの強みと課題もまとめて下さっています。

以上から、大学のシンクタンクは、課題があるものの、民間シンクタンクにはできないことも可能であり、その機能は果たせると考えることができます。

それでは最後です。
⑤外交・安全保障調査研究費事業は、御用学者の為の補助金である。

この根拠について両氏は、外務省補助金の評価要項(2023年)を元に説明し、これが御用学者の補助金であるとはっきり述べています。

ちょっと長いですが評価要項を全部載せておきますね。

今年度分、これは3月末までの事業ですから、まだROLESの報告が外務省から公開されていないので実績についてはわかりません。長谷川氏、飯山氏の主張をもう少し見てみましょう。

両氏は特に➓について指摘しています。
➓外務省等の関係部局とのコミュニケーションを構築し、政策立案上のニーズを把握し、それを踏まえて効果的にアウトプット・政策提言を行ったか。

両氏の会話によれば、「外務省の政策立案をよく理解して、それをちゃんと宣伝する、それが御用学者である」と。

「効果的にアウトプット」は確かに宣伝と言えるかもしれませんが…その後に続く「政策提言」は…一体どうなるんでしょうね?

ところで、両氏は、池内先生やROLESのメンバーが発信している研究内容のどこが御用学者であるのかは全く指摘していません。
研究者のこういう主張が御用学者なんだ!と批判してくれれば反論のしようがあるのですが…そういう点がなくて私には検証が無理でした。

さて、御用学者かどうかは、これってやはり、研究者がどういうことを発信しているかで個々が判断するべきかなと思うので、この判断は、以下をお読みになった方にお任せしようと思います。

個人的には、池内先生って、御主人様がおかしなことをしていれば容赦なくガブガブ噛みつくポチ(それをポチというのかどうなのかは知らない)だと思っておりますけれどもね。
さあ、どうでしょうね。

まだ予断を許さないイスラエル情勢ですが、ROLESの動画を活字に起こしたものをリンクにしておきます。動画を見るより、サクッと時短で読めますから、どうぞ。

さて、今回のまとめ!

①I教授がやっている研究資金の流れについては、先端研の事務員補佐3人が経理全体を仕切っているという形になる。
→外務省補助金は、ROLESではなく東大事務局の管理下にあります。

②ROLESがシンクタンクだというが、外務省補助金はROLESではなくて先端研に出ている。外務省の理解では補助金を交付する資格を満たしているのは、ROLESではなく、あくまで先端研ではないのか。そうなるとROLESとは一体何なのか。
→外務省補助金は、先端研のROLESに交付されています。外務省補助金はROLESの中心である池内研の実績があることで採択されました。
補助金は、ROLESではなく、先端研所長と東大事務局(本部)との責任において、会計事務部門の管理下にあります。

③大学とシンクタンクは別。大学がシンクタンクの機能を果たせるのか
→これまで日本には無かったのですが、世界的に見れば大学系シンクタンクは存在するようです。課題はありますが、シンクタンクの機能は果たせます。

④ROLES自体の財務状況が出ていない。外務省から交付要項は出ているが、何に使われたのか金額がわからない。
→外務省行政事業レビューシートにて公開されています。

⑤外交・安全保障調査研究費事業は、御用学者の為の補助金である。
→研究についての批判ではないので、反論のしようがない。
(御用学者と断じるなら、研究内容見て批判して欲しい)

というわけで、今回は以上です!
今回も長かった…いつも長くてすみません…
お読みくださって、ありがとうございました。

サポートいただいた場合は、すべて先端研ROLESへ寄付します。 ただし、どうも事務手数料その他で15〜20%引かれてしまうらしいのです。もし可能でしたら東大基金へ直接寄付していただくのが最も金銭的ロスが少ないと思います。よろしくお願いいたします。