見出し画像

スナック社会科再開

さて、いよいよ一週間後となりました。再開にあたって思うところなど、書いておきます。

飲み屋さんで飲みながらという場ならではのスナック社会科だと思っているので、コロナが猛威を振るって以降、配信イベントが盛んになる中、リアル開催が出来る日を待とうと思っていました。
が、どうやら、そんな日はかなり先まで来なさそうです。そして、これはやらねば!と思う出来事が個人的にも社会的にも、この間いくつかありました。

個人的なことのひとつは、久しぶりに会った幼馴染とスナック社会科の話になり、
「なんで、さとまきさんは自分に関係ないことばっかりやってるの?」
と、言われたこと。

ひとつは、7月に転職した職場では異動する人に本を送るという習慣があって、私が選書係なのですが(名乗りを上げた)、先日異動があった際に磯部涼さんの「ルポ川崎」を選び、上司や先輩社員に詳細(あらすじ、選書理由など)を回覧で流したところ、上司以下、俺も読んでみたい、興味があります、のような好意的な反応だったのですが、そのうちのひとりに親が川崎出身という方がいて、
「戦後苦労して今の川崎を作って来た人たちの話を聞いて育ったので、この本のような一断片で川崎を語ってほしくないので他の書籍にしてください。」
というメッセージが返ってきたこと。

関係ないこと。一断片。

 どちらも、受けた時に木っ端微塵になって散りぢりに粉になって吹き飛んでしまいそうになったのですが、ぐっとこらえて。幼馴染とはその後2、3時間話し込み、幼馴染の身内に沖縄出身の方がいて、彼女自身複雑な思いであることを聞いて、私は戦後本州はGHQが間接統治だったこと、沖縄・奄美は直接軍政下に置かれていたことを知らない人もいるんだよ?とか、私はこっちに引っ越して来た時に、飛行機が近くにたくさん飛んでいることにびっくりしたし、怖かったよ(※)、等と話して、移民、在日コリアン、沖縄って、テーマは全部繋がっているし、自分たちの生活や未来にも繋がっていて、これからの構想の話とかもして、コメダでアイスコーヒー(大)お代わり頼むほどやいやい話して聞いて、粉から人の形に戻れて無事笑顔で別れることが出来て、
 先輩には、私も戦後の話は聞いて育ったことを少々詳細に記し、けれどそれも一断片であること、だから私は先輩と話したい。と送って、ほかの書籍にすることで矛を収めていただいたんだけど、その先輩ともがっつり話したいな、というか、話さなきゃと思って粉から人に戻ることが出来ました。(ルポ川崎は希望者に回覧することにしました。) 
 これが、SNSでFF外の匿名からのメッセージだったらクソリプ扱いで終わっていたかもしれないと思うし、粉々になって、悲しくてブロックして終わっていたかもとも。それか感情に走って応酬したか。
 でも、こらえてそこにとどまって目の前の人に話をすることで、繋がりを絶たずにいられて、私が相手の話を聞いて思うことがあったように、相手にも何か残せたかもしれない。こういうことが必要なんじゃないかな、と思いました。

 ※私は小学生の時に鎌倉市から藤沢市に引っ越してきて、転居先が米軍厚木基地の飛行ルートにあたる場所であった為、沖縄ほどではないけど日中に軍用機が飛んでいるのは当たり前だったことに驚きました(轟音で授業や会話が中断されたり、校庭や公園に出ていると轟音と影に覆われたり)。現在は、神奈川県知事が山口県知事に依頼をして岩国基地へ大半の軍用機が移設したので以前ほどの飛行も騒音もありません。それもどうかと思う。

 この件を経て、やっぱりやらなきゃって猛烈に思ったのでした。無数の「関係ないこと」「一断片」で埋もれてしまっていることがある。
 延期になっていたこの間、コロナ禍で当時通勤していた新宿から人がどんどん消えて、でも感染の危険の中通勤しなきゃいけなくて、職場は6月末で閉店が決まって、そんな人はたくさんいて、支援や制度に繋がれる人と繋がれない人がいて、感染者差別があって、政治と行政がうまく働かなくて感染も知らず亡くなる人がいて、自殺者が増えて、BLMがあって、大阪の住民投票があって、米大統領選挙があって、GoToがあって、もう全てがちぐはぐで、全てがコロナ禍の前から実は存在したことで、ヒーローが現れてばしばしっと片付くことはなくて、スイッチを押したら全てが消えることもなくて、何が必要かと言ったら、もう、ひとりひとりがちゃんと考えるということしかないかな、と。先日、「意識高い系」とクソリプa.k.a KSRP を何件か頂いたのですが、知る人が見たら笑っちゃうくらい私は「意識低い系」だし、考えることや向き合うことを「意識高い系」って揶揄してるからこんなことになってしまったと思います。

 私が「おおお!」って思ってお呼びする人は、私に届くくらい射程距離が広く遠く、深度が深いと思っています。つまり普遍。
 そして、私は物書きでも学者でもない一介の無学な非正規労働者で、私から出てくるもので差し上げられるものは何も無いんだけど、小さな場を作って、それをシェアすることはできる。

 本当にこの度は、あてのない延期と突然の再開にお応えくださった、藤井誠二さん、下地ローレンス吉孝さん、上原健太郎さん、新宿ロックカフェロフト東店長にあらためて感謝申し上げます。そして、過去ご出演下さった皆様、お声がけさせていただいてる皆様、厳しい指摘や応援の声をくださった方々にも。
長々となってしまったのでこの辺で。店舗詳細のページに書いた結びの文章で閉じたいと思います。

「今を捉えて、これからを生き抜く為に、今まで直視して来なかったことを考える。やっぱ りやっておきたいと思いました。 というわけでスナック社会科、再開します。とりあえず再会を祝して乾杯から始めましょう。」


いただいたサポートはスナック社会科運営資金として大切に使わせていただきます🍺 いつか乾杯しましょう!