見出し画像

金沢に行ってきました

 先週末、ゆさカルツアーの打ち合わせを兼ね、またも長距離バスゼロ泊3日の弾丸ツアーで金沢に行ってまいりました。当日スタッフで入っていただくちょうさんも同行。
朝イチ、モーニングはこちらで。なんと駅ビル内のカフェなのに席で煙草が吸えます!。禁煙席と完全別室なのでお互い不快にならず良いでしょう。⬇

 お値段も居心地もよく、日中のメニューも美味しそうで、売っている焼き菓子なども美味しそうで、こういう地域チェーンがしっかり入っている駅ビルは良いなあと思いました。そういうお店に出会うのも旅の醍醐味。

 そして、お腹が一段落したらバス疲れでバキバキの身体を癒やすために朝風呂ということで、目的地の一つである内灘海岸へ向かう北陸鉄道浅野川線の磯部という駅で途中下車してこちらの朝からやっている銭湯へ⬇

 古い建物を内装をリノベーションした感じで、浴場自体は古き良き銭湯のまま脱衣所や休憩所は暖かく、おしゃれにし過ぎずな感じでとても居心地が良かったです。高機能な浴槽はないけどあつ湯、普通、ぬる湯、水風呂という感じで基本それだけで良いです。

リビングのような休憩所とハンモックに乗った私の足が写っている奢侈
ぽかぽか諸江の湯の休憩所 ハンモック最高

 そして身体をほぐしたあとはまた駅に戻って、終点内灘駅へと向かいます。本当はゆさカルで読んだ内灘海岸の『着弾地観測所跡』と内灘町歴史民俗資料館「風と砂の館」に行きたかったのだけど、資料館は1月一杯工事で休業中なのと駅から遠かったので、内灘駅から歩いて行ける『射撃指揮所跡』に行くことにしました。

砂浜の写真、砂は茶系の色、波は荒く空は曇天
日本海

 太平洋側で生活しているので、日本海は全く違う海で圧倒されます。子供の頃初めて海で溺れたのも日本海です。相模湾の遠浅に慣れたちびっ子に日本海はハードでした。

あそこに見えるのが射撃指揮所
『射撃指揮所跡』近くで見るとより不穏
建物に架けられた説明看板 砂に埋もれている

 内灘闘争のことはこちらの↑ゆさカルの感想にも書いたけど、運動の成功体験として語り継がれていることや、この看板に書かれている「砂丘はその静かさを取り戻した」という言葉も、その分の負担が他所に(主に沖縄)付け替えられただけということは忘れちゃいけないし、この米軍試射場自体が朝鮮戦争のために出来たもので、人殺しの練習に使われていたものということも忘れちゃいけない。そしてもともとはひとつだった半島を二分して同胞同士で殺し合いをさせたことも。

 内灘闘争って?という方は、ゆさカルとともにこちらもどうぞ⬇


広い砂浜にはゴミが散乱


 そして、広い砂浜(津波で残されたものなのかもともとなのか凄いゴミが散乱してた)を埋もれそうになりながら歩いて歩いて猛烈にお腹が空いたのでマックスバリュでパックのお刺身(鰤とふくらぎ)、おにぎり、押し寿司などを買って、お店が全部しまっているフードコートのテーブルで広げて即食べるという贅沢。うますぎた。これで一パックどちらも398円だった。北陸の凄さよ。

俺たちの寒ブリパーティー

 しかし、開いていたのはマックスバリュとほか少々くらいで大半のお店は閉まったまま、天井が崩れてて立入禁止になっていたり、ブルーシートがかけられていたり。外の通路もレンガが浮き上がっている所や照明がぶら下がってしまっているところなど、まだまだ爪痕は残ったままな感じでした。
 そして、また金沢駅へ戻って石引パブリックに打ち合わせへ向かいます。
(つづく)
(つづき)

石引パブリック店内
(左手に写っているエヴァ初号機色のブルゾンはJaewon Kim氏)
天井の高い店内、右手は店主の砂原さん。

 石引パブリックへ到着。石引町という町名でお店の前は石引通りというのですが、その名の由来は金沢市内に鎮座する金沢城建立時に文字通り「石を引いた通り」だからというもの(お店に向かうタクシーで運ちゃんに聞いた)。また、「石引まつり」という文字通り「石を引く」お祭りが現在もあるとのこと(これはこのあと稲垣先生に聞いた)。どんな土地にも歴史と名前あり〜、うぉ〜っとなります。あと、当たり前のように「そうそう…」って感じでこうスルッと会話にそういうことが入ってくるのが良き。

 石引パブリックさんは、もともとは書店とカフェを併設するリソグラフ印刷のお店でしたが、今は印刷屋さんのみとのこと。ZINEを作ってみたい、という方は店主の砂原さんがご相談に乗ってくれるので是非に。リソグラフの独特の味わいと、様々な材質の紙がたくさんあって、ここで作れたら作る過程も楽しいだろうな!という感じ。店内にはここで作られたZINEやポストカードなども販売されていて、こういう小さな発信基地があちこちにあるの良いよな、と思いました。砂原さんは以前杉並区にお住まいだったこともあり、中央線カルチャーの話でも盛り上がったのですが、それも再開発で危機に瀕していることもあり、その土地々々で守って行くことも大事だけど、中央(東京)発信カルチャー至上主義も、もはやどうなん?と思うことも多々、昨年京都の「絵本のこたち」さんと社会科をご一緒させていただいた時も思いましたが、その土地に根ざして小さい発信基地となっているお店で開催できるのはとても嬉しいし、また新たな点が打てること、初めて知る土地や人と交差できることに興奮します。
 石引パブリックさんでは、ただいま、在庫の新刊書が全て50%OFFとなっているので、お近くの方はお早めに!。

https://ishipub-printing.com/

若葉のおでん

 そして、稲垣健志先生も合流し、打ち合わせという名の飲み会へ隣の「若葉」に移動(左隣が「若葉」、右隣が酒蔵「福光屋」という最高のロケーション。タクシーの運ちゃんにも一発で場所が通じました)。
 というか、おでん最高すぎて全然人の写真とか撮っていなくて、食べること、飲むこと、話すことに夢中でした。このおでんはゆさカルツアーイベント当日、鍋で買ってきて打ち上げに投入するのでお楽しみに。
 お店は大賑わいで、元々人気店ということなのですが、若葉に限らず観光客が押し寄せていた人気店が震災後観光客が減ったことで地元の人が行けるように賑わっているそう。また、おでんはもともと出していたものの近年「金沢おでん」として騒がれるようになり、それに違和感を感じることもあるなど、「おでん」からオーバーツーリズム問題や他者による価値づけの問題にも繋げることができるな、ムムム…となり、やはりおでんという小宇宙はさまざまなものを巻き込み交差させるな、と思いました。

 お店はコの字形のカウンターとお座敷で一人でも複数人でも楽しめるお店です。なんでも美味しかったけど、衝撃だったおすすめは「シュウマイ(でかい!)」と「蕗(しみしみ!)」です。
 イベント自体もおでんのような小宇宙を作れたらいいなあと思いました。また、私は飲むことも食べることも話すことも大好きなのですが、それがいっぺんに出来る場所というのは私のこの難聴とほとほと相性が悪く、稲垣先生に聞きたかったことの1割も聞けなかったので続きを早くやりたい!というところです。

 話は若干飛びますが、美味しいお店や楽しい場に出会った時に「ここ良かったよ!」とすぐシェアしてしまうタチなのですが、自分に良かったからと言って誰にも良いかと言うとそうでもない問題、というのもあり、それは自分が難聴を得たことで気付けたことでもあります。
 自分がどんなに良いと思ったお店でも賑わっているお客さんたちの何気ない会話にある属性の人たちにとっては凶器にもなるような差別的な言葉が含まれていることも多々あります。また、小さなお店で隣の人に話しかけられたり、会話に介入やマウントを受けたりという目に会う人もいると思います。あと、聞こえるようにルッキズムばりばりのジャッジをしてくる人にも若い時は会いやすかったな、とか思い出します。
 話はまたまた飛びますが、今度のスナック社会科にご出演いただく蔡さんを以前お呼びしたスナック社会科vol.2開催時とその打ち上げの際に「場を作ることに潜む暴力性」や「踏んでしまうこと」について、とても考えさせられる出来事がありました。自分の至らなさと足りなさにぼこぼこになったのですが、蔡さんに散々怒られて、それに応えるためには「じゃあやめる」ではなく、「それでも続ける」しかないな、と思ってやってきたところがあります。まだまだ至らないところばかりなことには代わりはないのですが、「場を作ることに潜む暴力性」を毎回意識して行く中で、自分がよそのイベントに行ったときにも意識するようになり、暴力性(加害性)や差別について考えていく中で、「そこに来れない人」「いない人」のことも考えるようになりました。
 例えば、先に書いた例えだけでなく、自分が難聴なので、音が聞こえて当たり前な設定で開催されるものには苦痛や不便と疎外感を感じます。それが、目の見えない人だったら、車椅子の人だったら、人混みが怖い人だったら、実は来たくてもこれない人、来ても我慢している人がたくさんいて気付いていなかっただけではないのか、諦めさせてしまっていたのではないか。
 もし、あなたがなんのストレスもなく「楽しかった!」「良い場だった!」とどこに行っても思えるとしたら、それはあなたに特権性があるからなのかもしれません。

 どんなに楽しくても美味しくても、自分が透明化される場所に身を置くのは辛いものです。そんな思いをしたくないし、させたくもないので至らぬことがあったらご遠慮なく言ってください。私もどこかに言って「おや?」と思ったら言うようにします。声掛け大事。耳の痛いことを聞くのも大事。
 
 で、話を戻して。その後、帰る前にお土産を買わないと(蔡さんイベント向けの仕入)で金沢駅まで移動し、バスまでちょっとお茶するか〜と、ここで稲垣先生と別れ(アテンドありがとうございました泣)、駅前のサイゼでJaewonさんとちょうさんはデカンタ2本(ちょっとお茶ではない)を空け、帰りのバスでは走行中にちょうさんの姿が見えなくなったと思って心配していたら休憩のSAに着くなりトイレにダッシュするためドア前で待機してたと後で知り、そりゃあれだけ飲めばそうなるわというオチ。最低すぎて最高。

 土地と人と物語、出会いしかないとても濃いゼロ泊3日でした。続きは3月。

2月のこちらも良かったら。


いただいたサポートはスナック社会科運営資金として大切に使わせていただきます🍺 いつか乾杯しましょう!