見出し画像

お座敷一箱古本市に出店しました

先週の土曜日、田原町のReadin'Writin'BOOKSTOREで毎月第一土曜日に開催されているお座敷一箱古本市に初参加しました。
元は材木屋さんだったという天井の高さを利用したロフトのお座敷スペースで、出店者もお客さんも靴を脱いでお話しながら売るスタイル。とても楽しかったです。
ずっと人が来てて、のべつ幕なしキャッキャしていた。という訳でもなく、静かな時間も挟みつつ、何でこんなに楽しいんだろう?と思ったのですが、
「本屋さんのイベントには本が好きな人しか来ない」
ということに気付きました。

ましてや、大型チェーンや小型店でも店主の思想も思考も嗜好も無いような本屋さんでは、欲しい本を探すのも一苦労だし、見たくない本ともしばしば出会ってしまうし、そういった意味でReadin'Writin'さんは全くストレスのない本屋さんで、本を探すのも一苦労どころかお金持ちだったら棚買いしたいほど欲しい本しかないし、そんな本屋さんを好む本好きしか来ない、って、めちゃくちゃ多幸感あふれるひと時だったのでした。

※欲しい本ばっかりの棚や平台↓

画像1

画像2

これは店主の手腕や熱意による処がさぞ大きいのだろうと、素人はつい思ってしまいますが、そんな素人の想像を打ち砕く店主の飄々とした佇まいにもしびれます。ふれしゃかフェスの時の棚作りについての話(※1)もしびれましたが。

本を並べつつ、スナック社会科開催時と同じようにフライヤーも持参して小さなプラットフォーム作戦も展開。FREEUSHIKUさんのフライヤーを見て、「ZINE買ったんですよー」と話しかけてくれた方、プリズンサークルのフライヤーを見て「これは見たので」と、他の映画のフライヤーを手に取って行って下さった方、フライヤーを並べてること自体に興味を持って下さる方(そして、どことも全く無関係で配りたくてお声がけしたんです、と言ってびっくりされたり)、webを見てて、気になってもっと広げたくなってリンク飛んだり、検索したり、ということを小さくアナログでやることが目的なので、反応が見られて嬉しい。

画像3

自分が持っている本の中で、これは大事にしてくれる人に送り出したいと思う本や、スナック社会科でvol.1と2のテーマだった移民と在日コリアン、そして延期中の次回テーマの沖縄、そのテーマを学んで来た方や知りたくて探す人は手に取らないだろうなって本を持って行きました。
調べたり、知りたかったりで論文やノンフィクション、エッセイ、色んな記事も読むのですが、一見して関連が見えないフィクション小説や漫画で物語として体感する。というのも大切な体験だと思っています。
前回、海外にルーツのある研究者だけど専門外のケイン樹里安さんに無茶振りでお願いしたのも、他のスピーカーにミュージシャンの方にお願いしたのも(※2)、企画協力をライターの金村詩恩さんにお願いしたのはそんな意図もありました。
専門家を集めて一方向に話を聞いて学ぶような場は他にあるし、そこは私の目指すところではないので。

来れなかった友人に写真を送ったら「少数精鋭ですね」と返事が来て嬉しかった。2000円という古本にしては強気な値段で出した「その女、ジルバ」を「読んでみたかったから」と回った後に戻って来て買って下さった方も嬉しかった。「コンセプトはなんですか?」と聞いてくださった方と「ポリコレを調べていて」と、手に取ってくださった方のお二人連れも嬉しかった。「スナック社会科行きたかったんですけどチケット取れなくて」と来てくださったふれしゃかファンの方も、ひとつひとつは小さくて短い会話なんだけど、安心できる場で好きなものに囲まれた場所で交わすひとつひとつが本当に尊かった。
あと、出版業界や書店関係者の方も結構いらっしゃって、本好きとしては、作り手も本好きである(しかも、物凄く)。という、当たり前そうで当たり前じゃないかもって不安になってた気持ちが晴れてよかった。上には上がいすぎる幸せよ。
お隣のHUG書店さんと村上春樹の話が出来たのも嬉しかった。説明がいらずに「そうそうそうなの!」って話が出来る嬉しさったらないよ。

画像4

一番奥だった糸糸さんは、ファンの方も多く、奈良にお引越しされてしまうということもあってか沢山の方が見えていました。私は一番手前だったので、やっと見れるかなと思った時は閉店間際。小さなスペースなのに並べ方もそこだけ違うお店が浮き上がったようになっていて、プロとは世界の作り方から違うなと思いました。可愛らしくて暖かな空間。奈良でまた始められたらいつか伺いたい。
その隣のビーナイスさんは、出版社をされながらいろんな所に出店して売る人にもなったりする方、というだけあってラインナップが好きで好きで作りましたというような小冊子やZINEばかりで、本愛に溢れるものばかりでした。どれも面白そうなんですけど、その中でも、これまた出版社に勤めながら、"17時退勤社"という出版レーベルを立ち上げZINEを発行した橋本さんという方の「うもれる日々」というZINEが気になり、その後、ご本人も来店されて、その後、〇〇で働いてますが、●●をしています。という人たちが次々現れて意外と皆さん自由で面白いと思いました。
HUG書店さんに至っては現役の学生さんで、今度下北の書店さんに棚を間借りして出店されるそうです(書店名失念してしまった…)。

読書ってインドアで非アクティブなイメージがありますが、私は本がきっかけで出向くところや出会える人が増えたので、アウトドアでアクティブでもあると思っていたのですが、いやいやそんなものではなかった。たくさんの小宇宙があって、宇宙を駆け巡って交流してるような次元を垣間見ました。

個人的なことを言うと、コロナ禍以降のパンデミック下においてオフラインな場を作るということ、また、あえて歌舞伎町の飲み屋を会場に選んでた身として、スナック社会科のこれからを思い悩んでいました。直接答えが見えたわけではありませんが、こういう場がある。と知ったことは凄い助けになったのでした。
また、お忙しいところオンラインイベントについてお話してくださった店主の落合さん。本当にありがとうございました。出店された皆様、ご来店された皆様、ありがとうございました。

そして、翌日は都知事選挙で小池圧勝という厳しい現実を見るわけですが、あんな人を選んでおきながらもそれに反して、ますます安全な場というものが求められて行くと思いました。九州の豪雨災害もどんどん被害が広がり、こんな「嬉しかった!楽しかった!」っていうレポートを出すタイミングではないのでは、と思いましたが、自粛の要請というおかしな日本語のもと日に日に人が減っていく新宿に、そして自粛の要請の解除というこれまたおかしな日本語のもと日に日に人が増えて行く新宿に、通勤していた日々を助けてくれたのは本や音楽といった自分が好きなものたちでした。
振り返れば、いつどうにかなってもおかしくなかった局面で助けてくれたのは、本当にそういうもの達だったと思います。そして、日々の中から拾ったことば達。

好きなものや好きなことがあると非常時に強い。

お腹を埋めはしてくれないけど、たましいを温めてくれるものだと思います。物語や歌やカルチャーが必要なのはそういうことなのかなと思います。だから好きなものは手放しちゃいけないし、その時思ったことに蓋はしたくない。

豪雨で被災された方、コロナ禍により辛い思いや苦しい生活を余儀なくされている方にお見舞い申し上げます。

より良い方へ進めますように。しんどいと楽しいは両立する。フェアであること、シェアすること。ダラダラ長くなってしまいましたがお読みいただきありがとうございました。

※1 Readin'Writin'さんで行われたふれしゃかフェスより。

※2 スナック社会科vol.2「在日は誰だ!〜Who makes the wall?」
出演:蔡忠浩(bonobos)、Moment Joon、FUNI、ケイン樹里安
企画協力:金村詩恩








いただいたサポートはスナック社会科運営資金として大切に使わせていただきます🍺 いつか乾杯しましょう!