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舞台版『華枕 〜願い巡りて〜』終演に寄せて

先週4月15日(日)を持って、舞台版『華枕 〜願い巡りて〜』全8ステージ終演いたしました。ご来場頂きましたお客様、キャスト、スタッフ、関係者様、本当にありがとうございました。連日ほぼ満席で好評中幕を下ろせた事、大変嬉しく思っております。脚本・演出を担当できて光栄でした。

簡単にではありますが、今作についてここに書き残しておこうと思います。

脚本について

今作では、第1巻と第2巻の内容を再構成+舞台版として成立させるためのオリジナル要素を追加させて頂きました。原作のもつ空気感や雰囲気をリスペクトしつつ、ただの再現だけではなく新しい可能性にまで踏み込めるような作品にチャレンジしたつもりです。ナデシコのエピソードを最後に持ってくるのは最初から決めていたので、そこに如何に繋げていくかを考えながら執筆しました。話数形式での進行にしたのは、原作の流れをあまり壊したくなかったことが一つと、凝縮された情報が流れていくのを少しでもリセットして緩和したかったことがあります。時間の都合で泣く泣くカットしたエピソードもありましたが、なんとか形にできてよかったです。

オリジナル要素について

主軸をはっきりさせたくて、主人公のアサガオに焦点を当てた脚本を執筆しようと思い、アサガオの悩みや葛藤をより浮き彫りにするため、"ヒガンバナ"というキャラクターを置く事を提案させて頂きました。ヒガンバナは、原作には登場していないキャラクターではありますが、抱き枕としては存在しており、ビジュアル等が個人的にとても好きでそのまま使わせて頂きました。ヒガンバナは最終的にアサガオだけでなく作品全体を調律するような位置付けになり、彼女の存在で一つまとまりを出せたのかなと個人的には思っております。ちなみにボクっ娘になったのは完全に僕の趣味です……(笑) 小玉さん(原作脚本)の寛大さのおかげで、ヒガンバナのシーンは伸び伸びと描かせて頂きました。本当に感謝しかありません。

ヒガンバナの他にも"三華(カルミア・ベニバナ・アザミ)"という三人組のキャラクターを描かせて頂きました。華壇の日常ドタバタ感を彩るために登場させた三人。キャストの熱演もあって、愛されるキャラクターたちになったのではないかな。普段このようなギャグ担当(?)を描くことは少ないので、自分としても新鮮で発見のあるキャラクターたちでした。

オリジナルキャラクター登場による影響を調整した他にも、細かい部分で加筆させて頂きましたが、全部指摘していると終わりそうにないので(汗)それはまた別の機会にお話できればと思います。

演出について

影枕(アンサンブル)や障子パネルなど今までやったことのない演出方法をさせて頂きました。まだ舞台化が決まる前、原作を読んでいる時から「自分が舞台化するならこういう表現をする」という妄想があって(笑)それを形できて嬉しかったです。特に第一話の折り紙→湯浴み→添い寝の流れは、初めて稽古場でやった時感動したのを覚えています。今作に関しては「とにかく持てる力を全て出し尽くそう」と思っていたので、普段からやっている演出をたくさん盛り込ませて頂きました。演出の要である影枕チームのみんなが頑張ってくれて本当に感謝です。彼女たちの努力でこの作品は支えられていました。

ミニマムな視点だと「少女と少女の心のお話」という部分を大事にしました。僕は普段fragment edgeという団体で「百合」をモチーフとしたお芝居を作っているのですが、そこで培ったものを「心の物語」としてこの華枕にも添えさせて頂きました。キャラクターの心の動きが少しでも伝わっていたなら幸いです。(そこから何を見出すかは自由です……!)

スタッフチームは、今回fragment edgeでお世話になっているメンバーを集めてクリエイションさせて頂きました。どのセクションも僕が信頼し尊敬するチームです。たくさんのアイディアと表現で、裏側から華枕の世界を作り上げてくれました。このチーム(一部は変わりますが)でまた7月上旬に僕、淡乃晶のオリジナル作品を上演しますので、もし気になる方はぜひ……(巧妙なステマ)

おわりに

今回、原作ものを任せて頂くという貴重な経験をさせて頂きました。今回の作品は各方面からの「想い」がいっぱい詰まっていて、それが熱となり、作品の完成度を上げてくれたと感じています。舞台版を観劇して興味を持った人は、ぜひ原作漫画を読んでみて下さい。違いを楽しむのもよし、世界観に浸るのもよし。そして、よかったらぜひこの『華枕』という作品を多くの人に広めて貰えたら嬉しいです!

<原作漫画『華枕 〜儚のまにまに〜』ご購入はこちら→第1巻(5月頭まで無料配信中)/第2巻

漫画は現在雑誌「E☆2」さんで連載中ですので、もしかしたら舞台版の続編もあるかもしれません。続きができるように僕らも努力して参りますので、今回素晴らしい活躍を見せてくれたキャスト・スタッフを含め、原作ならびに舞台版『華枕』を応援して下されば幸いです。

それでは、またお会いできる時を願って……!

舞台脚本・演出:淡乃晶


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